【使ってみた】OpenAIのDeep Researchとは?使い方や料金を解説

Deep Researchは従来の生成AIのように即座に回答するのではなく、複雑な質問に対して深く思考し、詳細なレポートを生成することに特化した、エージェント型のAIです。
本記事では、Deep Researchの特徴や料金プラン、ユースケース、注意点、今後の展望について詳しく解説します。
なお、本記事は、OpenAIの公式ブログの内容を参考にしつつ、筆者自身が実際にDeep Researchを使った体験をもとに執筆しています。
Deep Researchを活用して、リサーチ業務を効率化したい方は、ぜひ最後までお読みください。

監修者
SHIFT AI代表 木内翔大
弊社SHIFT AIでは、Deep Researchを始めとした生成AIを活用して、副業で収益を上げたり、独立・起業したりするためのノウハウ・ロードマップをセミナーを通じてお伝えしています。
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目次
OpenAI Deep Researchの特徴
Deep Researchは、従来のChatGPTのWeb検索機能とは一線を画す、高度なリサーチ機能です。主な特徴として、以下の6つが挙げられます。
- 多段階の情報収集と推論が可能
- 多様な情報ソースへの対応
- 長時間の自律的リサーチを実行
- 出典元を確認できる状態でレポートを生成
- 対話によって追加質問が可能
- Pythonを使った計算やグラフ作成が可能
多段階の情報収集・推論で詳細なレポートを作成
Deep Researchは、多段階の情報収集と推論を自律的に実行し、プロンプトに基づいて詳細なレポートを作成します。
以下は、筆者が実際にDeep Researchを行った結果です。20件の情報を調べ、長文レポートを作成してくれました。
従来のAIは、多くの場合、キーワードに基づいた単純な情報検索にとどまりますが、Deep Researchはより複雑なプロセスを辿ります。
まず、ユーザーの質問を深く理解し、質問の意図や背景を分析します。次に、関連性の高い情報をインターネット上の様々な情報源から収集します。この際、単に情報を集めるだけでなく、内容を分析し、論理的な推論を行います。
そして、必要に応じて検索戦略や質問内容を修正しながら、さらに深く情報を掘り下げていきます。
このように、Deep Researchはまるで人間の研究者のように、思考を巡らせながら多段階的に情報を収集し、最終的に質の高いレポートを生成できるのです。
多様な情報ソースへの対応
Deep Researchは、テキスト情報だけでなく、多様な情報ソースに対応している点も特徴です。
Deep Researchはより広範な情報源を活用でき、ウェブ検索はもちろんのこと、PDFドキュメントや表形式データ、画像データなど、さまざまな形式の情報から必要なデータを抽出・解析できます。
そのため、特定の情報源に偏ることなく、より多角的な視点から情報を収集し、分析できるようになります。
たとえば、市場調査レポートや学術論文などのPDFファイル、統計データがまとめられた表、製品の画像データなど、様々な情報源を組み合わせることで、より詳細で信頼性の高いレポート作成に繋がります。
長時間の自律的リサーチを実行
Deep Researchは、複雑な質問に対して、長時間にわたる自律的なリサーチを実行できます。
これまでのWeb検索機能は、即時的な回答を重視する傾向があり、短時間で結果を出していました。しかし、Deep Researchは質問の内容に応じて、5分から最大30分程度の時間をかけて、集中的にリサーチを行います。
筆者の場合、平均で6〜7分ほどの時間がかかりました。
この長時間のリサーチにより、従来では見落としがちだったニッチな情報や、深掘りが必要な情報も網羅的に収集できるようになります。
また、リサーチの実行中はバックグラウンドで動作するため、ユーザーは他の作業に集中できます。リサーチが完了すると通知が届き、詳細なレポートを確認できるため、時間を有効活用しながら、質の高いアウトプットを得られます。
出典元を確認できる状態でレポートを生成
Deep Researchは、レポートの信頼性を高めるために、出典元を明記した状態で生成します。

このように、Deep Researchはレポート内で使用したすべての情報について、参照元のURLや引用箇所を明確に提示します。
そのため、情報の透明性が向上し、ユーザーはレポートの根拠となった情報を容易に確認できます。
レポートの信頼性が重視されるビジネスシーンや学術研究において、Deep Researchは有効なツールとなるでしょう。
対話によって追加質問が可能
Deep Researchは、対話を通じてユーザーの意図を把握し、より精度の高い回答を出力します。
また、質問が曖昧な場合や、より詳細な情報が必要な場合に、Deep Researchはユーザーに追加の確認質問を行います。

このような対話的な質問応答により、ユーザー自身も気づいていなかった潜在的なニーズを Deep Researchが引き出し、結果として、より的確で質の高いレポートを生成できるようになります。
Pythonを使った計算やグラフ作成が可能
Deep Researchは、収集したデータに対し、Pythonのデータ分析ライブラリを活用して統計分析やデータ処理を実行できます。
Pythonは世界中で広く使われているプログラミング言語であり、データ分析やグラフ作成など、Deep Researchにおいてはレポートの質をより高める役割を担います。
たとえば、市場規模の推移をグラフで示したり、競合製品のスペックを比較表でまとめたりするなど、データに基づいた多角的な分析をレポートに反映できます。
従来まではExcelやPowerPointなどで作成していたデータ分析やグラフ作成も、ChatGPTだけで完結するようになりました。
※2025年2月3日直後はエラーが発生する可能性があることが公式より報告されているため注意
OpenAI Deep Researchの料金プランと利用制限
Deep Researchは、ChatGPTの有料プランであるProユーザー(月額約3万円)を対象に提供が開始されました。
ただし、今後Plus、Team、Education、Enterpriseプランにも順次展開される予定です。
また、Deep Researchは高度な処理能力を要するため、利用回数には制限が設けられており、月間で利用できる対話回数は100回までとされています。
料金プランの詳細や今後の展開については、OpenAIの公式発表をご確認ください。
出典:Introducing deep research(OpenAI)
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OpenAI Deep Researchの使い方
Deep Researchを使うためには、Proプランに加入しているChatGPTをブラウザで立ち上げ、プロンプト入力フォームの「Deep Research(詳細なリサーチ)」をクリックします。

Deep Researchボタンがオンになった状態でプロンプトを入力することで、Deep Researchが起動します。
なお、多くの場合、最初のプロンプトの後にChatGPTから追加情報を求められます。追加で詳細な情報を入力したらDeep Researchが本格的に始まります。

Deep Researchが始まった後は、そのチャットから離れて別のタスクを行っても、バックグラウンドでリサーチが続行します。
Deep Researchが完了したらChatGPTから通知が送られる仕様です。
Deep Researchの出力結果に疑問点や追加のリサーチ依頼があれば、さらにチャットで対話できます。
Deep Researchではどのモデルで動く?
GPT-4oやo3-miniなど、基本的にどのモデルを選択していてもDeep Researchは動きます。
ただし、Deep Researchはo3をベースにしたモデルで動いていると発表されているため、選択しているモデルは関係ないと考えられます。
OpenAI Deep Researchのユースケース
Deep Researchは、さまざまな分野で活用できる可能性を秘めていますが、とくに効果を発揮するユースケースとして、以下の4つが挙げられます。
- 市場調査
- マイナー情報の検索
- 学術文献・技術論文調査
- ネットショッピング
市場調査
Deep Researchは、インターネット上に公開されている企業や業界データをもとに、市場調査を効率的に行います。
たとえば、新しい市場への参入を検討する際にDeep Researchを活用することで、市場規模、競合状況、顧客ニーズなど、参入判断に必要な情報を網羅的に収集できます。
収集したデータは、表やグラフ形式で分かりやすくレポートにまとめられるため、担当者はレポートをもとに、迅速かつ的確な意思決定を行えるでしょう。
マイナー情報の検索
Deep Researchは、従来の検索エンジンでは見つけにくい、マイナーな情報を効率的に探し出せます。
たとえば、「数年前に見たテレビ番組のタイトルが思い出せない」といった曖昧な情報から番組名を特定したり、専門性の高い分野において、ニッチな研究論文や技術情報を探し出したりできます。
Deep Researchは、キーワード検索だけでなく、質問の意図や背景を深く理解し、多様な情報源を駆使して情報を収集するため、人間では時間がかかってしまう情報探索も実現できます。
学術文献・技術論文調査
Deep Researchがインターネット上で公開されている論文もリサーチできるため、特定分野の最新研究や、さまざまな論文をもとにした科学的根拠のあるアドバイスを得られます。
たとえば、筆者がAIの歴史について尋ねたときには、ChatGPTの根幹技術であるTransformerに関する論文を引用してきました。

ネットショッピング
Deep Researchは、ネットショッピングにおける製品比較や情報収集を効率化し、ユーザーに最適な製品選びを支援します。
たとえば、新しいパソコンの購入を検討する際に、Deep Researchに要望を伝えることで、ユーザーの要望に合致する製品を複数提案し、価格やレビュー、スペックなどを比較表にまとめてレポートを生成します。
ユーザーはDeep Researchが生成したレポートを参考にすることで、製品に関する詳細な情報を効率的に把握し、最適な製品を選択できます。
OpenAI Deep Researchを使う際の注意点
Deep Researchは、非常に強力なツールである一方、利用にあたっては注意すべき点もいくつか存在します。
主な注意点として、以下の3つを理解しておきましょう
- ハルシネーションに注意する
- リサーチに時間がかかる
- フォーマット上の細かい不具合が発生する
ハルシネーションに注意する
Deep Researchは、従来のChatGPTに比べハルシネーション(嘘をつく現象)のリスクは低減されているものの、完全にゼロではありません。
Deep Researchは、インターネット上の膨大な情報を基にレポートを生成しますが、その過程で誤った情報を学習したり、不正確な情報を引用してしまう可能性は依然として存在します。
筆者がDeep Researchを使った際には、以下のように誤った情報を生成しました。

重要なレポートを作成する際には、Deep Researchが生成した情報を鵜呑みにするのではなく、必ず出典元を確認し、情報の正確性をユーザー自身で検証することが重要です。
リサーチに時間がかかる
Deep Researchは、従来のChatGPTのように即時的な回答を返すのではなく、詳細なレポートを作成するために時間を要します。
質問内容や情報の複雑さによっては、リサーチに最大30分程度の時間がかかる場合があります。
そのため、Deep Researchは、即座に回答が必要な場面には適していません。Deep Researchを利用する際は、時間に余裕をもって質問し、レポートの完成を待つ必要があります。
フォーマット上の細かい不具合が発生する
Deep Researchは、リリース初期段階であるため、レポートのフォーマットに細かい不具合が発生する可能性があります
たとえば、文字の配置が乱れたり、表組みが崩れていたり、引用リンクが正しく機能しないといったケースが考えられます。
OpenAIは、これらの不具合を認識しており、今後のアップデートで改善を図っていくとしています。
Deep Researchを利用する際は、フォーマット上の不具合に注意し、必要に応じて手動で修正するなどの対応が必要になることを知っておきましょう。
OpenAI Deep Researchの今後の展望
OpenAIは、Deep Researchを単なるWebブラウジングAIではなく、より高度な分析を可能にするために、さまざまな機能拡張を計画しています。
発表されている内容は以下のとおりです。
カテゴリー | 詳細 | 予定時期 |
---|---|---|
プラン展開 | Plusユーザーへの提供 | 約1ヶ月後 (安全性チェック基準維持) |
Teamプランへの提供 | Plusユーザー提供後 (時期未定) | |
Educationプランへの提供 | Teamプラン提供後 (時期未定) | |
Enterpriseプランへの提供 | Educationプラン提供後 (時期未定) | |
アクセス方法 | モバイルアプリ対応 | 1ヶ月以内 |
デスクトップアプリ対応 | 1ヶ月以内 | |
機能拡張 | レポートへの埋め込み画像追加 | 数週間以内 |
レポートへのデータ可視化グラフ追加 | 数週間以内 | |
より専門的なデータソースへの接続 | 時期未定 | |
契約データベースへのアクセス | 時期未定 | |
企業内データベースへのアクセス | 時期未定 | |
カスタムデータへのアクセス | 時期未定 | |
より高速かつ費用対効果の高いバージョンのリリース | 時期未定 | |
小さいモデルを使用 | 時期未定 | |
全有料ユーザーのレート制限大幅引き上げ | 時期未定 | |
技術向上 | ハルシネーション (誤情報) の低減 | 継続対応 |
不正確な推論の改善 | 継続対応 | |
権威ある情報源と噂の区別能力向上 | 継続対応 | |
Confidence Calibration (確信度調整) の改善 | 継続対応 | |
フォーマットエラーの修正 | 継続対応 | |
タスク開始時間短縮 | 継続対応 | |
Operatorとの連携 | Operator機能による複雑なタスクの実行 | 時期未定 |
例: Deep Researchで市場調査 -> Operatorで広告出稿や製品発注を自動実行 | 時期未定 |
Deep Researchは、OpenAIが目指すAGI(汎用人工知能)開発においても重要な役割を担うと位置づけられています。
Deep Researchのような、長時間思考し、複雑な課題を解決できるAIエージェントの開発は、AGI実現に向けた大きな一歩となるでしょう。
OpenAI Deep Researchを活用してリサーチ業務を爆速に!
Deep Researchは、OpenAIが提供する革新的なリサーチ機能であり、情報収集・分析業務のあり方を大きく変える可能性を秘めています。
Deep Researchを活用することで、これまで時間と手間がかかっていたリサーチ業務を大幅に効率化し、より高度な情報分析や意思決定に注力できるようになります。
Deep Researchは、ビジネスパーソン、研究者、クリエイターなど、幅広い分野のプロフェッショナルにとって、強力な武器となるでしょう。
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記事を書いた人

SHIFT AI TIMES編集長
大城一輝
フリーランスとしてライター、ディレクター、生成AIコンサルタントとして活動している。AI活用の講師も多数経験。
SHIFT AIではオウンドメディア(SHIFT AI TIMES)の編集長を担当。
また、SHIFT AIのモデレーターとしてコミュニティ運営や講師にも携わっている。
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