画像生成AI「FLUX.1（フラックス）」とは？始め方や使い方、活用例を紹介

昨今、さまざまな画像生成AIが誕生している中、Stable Diffusion開発チームが立ち上げたBlack Forest Labsという組織によって「Flux（フラックス）」と呼ばれる画像生成AIがリリースされました。
※Fluxはサービス名、FLUX.1やFlLUX1.1はモデルのバージョン名を示します。本記事ではFlux.1で統一します。

Flux.1は従来の画像生成と比較してハイクオリティな画像を生成できるAIとして注目を集めています。画像生成AIの中でもっとも性能が高いと言われていたMidjourney（ミッドジャーニー）を超えたと言われています。

本記事では、Flux.1の基礎知識や始め方、使い方などを解説しています。また、実際に生成した画像や、理想の画像の生成方法なども紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。

Flux.1は商用利用が可能なモデルも発表されているため、ビジネス利用も可能です。本記事を読んでFlux.1の可能性を確認し、画像生成AIを活用した業務効率化のヒントを得ましょう。

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Flux.1とは

本章では、以下4つの項目について解説します。

• Midjourneyの性能を超えている
• リアリティのある画像を生成できる
• 破綻が少ない
• オープンソースモデルとして公開されている

まずは本章を読んで、Fluxの基礎を把握しましょう。

Midjourneyの性能を超えている

Flux.1は、画像生成AIの分野で長らくトップの座を守っていたMidjourneyを性能面で凌駕しました。Artificial Analysis Text to Image Model Leaderboardというランキングサイトで、Flux.1は2〜8位を独占し、Midjourneyを抜いています。

Fluxの最新モデルはFlux1.1であり、それらが上位を独占しています。

このリーダーボードは、AIが生成した画像をユーザーが評価することでランキングを決定する信頼性の高いプラットフォームです。

Flux.1の優位性は、とくにリアリティ、細部の精密さ、そして多様な表現力にあります。たとえば、人物の肌の質感や髪の毛一本一本、光の反射など、細部まで丁寧に表現できる点が高く評価されています。

この性能向上により、クリエイターはより精密で魅力的なビジュアルコンテンツを作成できるようになり、デザインや広告、エンターテインメントなど幅広い分野での活用が期待されています。

リアリティのある画像を生成できる

Flux.1では、人物、風景、物体などあらゆる被写体に対して、まるで写真のような精密な描写が可能です。

たとえば、人物画像では自然な顔立ちや表情が生成され、建築物では複雑な構造やテクスチャが精密に再現されます。

このリアリティの高さにより、広告やコンテンツ制作、プロダクトデザインなど、さまざまな分野での活用が期待できます。Flux.1を使用することで、クリエイターは自身のイメージをより正確に視覚化し、より説得力のある作品を生み出せるようになるでしょう。

破綻が少ない

Flux.1の特筆すべき特徴の一つは、生成される画像の破綻が極めて少ないことです。

従来の画像生成AIでは、人物の指の表現や、複雑な構造物の描写において不自然さが目立つことがありました。しかし、Flux.1ではこれらの課題が大幅に改善されています。

たとえば、指の形状や関節の表現が自然で、違和感のない手の画像を生成できます。また、建築物や風景においても、遠近感や光の当たり方など、物理的に矛盾のない描写が可能です。

デザイナーやアーティストは、Flux.1を使用することで、修正作業を最小限に抑え、創造的なプロセスに集中できるようになるでしょう。

オープンソースモデルとして公開されている

Flux.1はオープンソースモデルとして公開されており、開発者や企業は自由にFlux.1のコードを閲覧し、改変できます。

オープンソース化によって、Flux.1をベースとした新たなツールやアプリケーションの開発、独自の学習データを用いたモデルの改良などの可能性が広がります。

たとえば、特定の業界や用途に特化したカスタマイズが可能になります。また、コミュニティによる継続的な改善や、透明性の確保にも貢献します。

Flux.1のオープンソース性は、企業が安心して生成AIを使えるようになるだけでなく、生成AIの発展と社会実装を後押しする可能性を秘めているのです。

【2024年11月】Flux.1のプラン別特徴と料金

Flux.1には主に5つのプランがあり、それぞれの特徴と料金体系は以下のとおりです。

特徴	FLUX 1.1 Pro（ultra）	FLUX 1.1 Pro	FLUX 1 Pro	FLUX.1 Dev	FLUX.1 Schnell
画像品質	最高	非常に高い	高い	高い	高い
プロンプト再現	非常に高い	非常に高い	非常に高い	高い	高い
商用利用	可能	可能	可能	条件を満たせば可能	可能
速度	中程度	中程度	中程度	高速	最速
価格（画像生成1枚あたり）	0.06ドル（約9円）	0.04ドル（約6円）	0.05ドル（約7.5円）	0.025ドル（約4円）	0.003ドル（約0.4円）

基本的には、最高品質で商用利用もできるFLUX 1.1 Pro ultraやFLUX 1.1 Proがおすすめです。速さやコストを重視するなら、Schnellを使用しましょう。

FLUX.1 Devの商用利用に関しては注意が必要です。Devを商用利用する際は、以下の規約を守りましょう。

• モデル自体を商用目的で使用しないこと（例：モデルを使用して画像生成サービスを提供するなど）。
• 生成された画像を競合するAIモデルの訓練や改良に使用しないこと。
• その他のライセンス条項に違反しないこと。

つまり、生成した画像は商用利用できる一方、競合モデルへの利用やモデル自体を改変したサービス提供は禁止であるということです。詳しくは公式の規約を確認してみてください。

それぞれのモデルの特徴を把握して、ニーズに合ったものを利用しましょう。

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Flux.1と他の画像生成AIとの比較

本章では、Flux.1とよく使われている画像生成AI3つを比較した結果を紹介します。

以下に、Midjourney・（Adobe）Firefly・DALL•EとFlux.1でそれぞれ生成した画像を並べます。

それぞれまったく同じプロンプトを使って画像を生成しています。上記画像を見ると、Flux.1とMidjourneyがとくにリアルな画像を生成していることがわかります。

MidjourneyとFlux.1の違いは、Flux.1の方がよりリアリティのある画像を生成していることです。Midjourneyもリアルですが、人物の美しさを重視しすぎているとも捉えられます。一方でFlux.1は、本当に存在する人物かのようなリアリティで画像を生成しました。

つまり、よりリアルに近い画像を生成したい場合、Flux.1は最適な生成AIであるといえます。

以下の記事ではイラスト生成におすすめの画像生成AIを紹介しています。「AIでイラストを作りたい」という方はぜひチェックしてください。

Flux.1のアカウント登録方法

Flux.1を利用する前に、以下のステップでアカウントを作成しましょう。

Flux.1の使い方

アカウントを作成したら、以下のステップで画像を生成しましょう。

Flux.1はXでも利用できる

Xの有料プラン「プレミアム」「プレミアムプラス」加入者は、X上で利用できる生成AI「Grok」で、Flux.1による画像生成機能を利用できます。

この機能により、Xユーザーは直接X上で高品質な画像を生成できます。

ただし、すべての有料ユーザーが即座に利用できるわけではなく、段階的に提供されている点に注意が必要です。

Xプレミアム・プレミアムプラスの利用者は、X上でFluxを試してみてください。

Flux.1を実際に使ってみた

本章では、筆者が実際にFlux.1で生成した画像を紹介します。

• ダイビング中に撮影したウミガメ
• Fluxと書かれたTシャツを着た女性
• （アニメ風）猫と遊ぶ老人
• パノラマ撮影した湖

画像と一緒にプロンプトも紹介しているため、参考にしてみてください。

ダイビング中に撮影したウミガメ

まずは生物の画像を生成した結果を紹介します。

以下は、ダイビング中に撮影したウミガメをリアルに再現した画像です。

このように、人物だけでなく生物でも、まるで実写のような画像を生成できます。

上記のプロンプトは非常に長く、自分で作成することは難しいと思う方は多いと思いますが、実はChatGPTで簡単に作成できます。プロンプトの作り方は記事後半をご覧ください。

Fluxと書かれたTシャツを着た女性

次に、指定した文字を画像内に挿入した画像を紹介します。

以下の画像は、プロンプトで「Fluxと書かれたTシャツを着ている」ことを命令したものです。

画像内に文字を入れる際は、プロンプトに「the word “入れたい文字列”」や「the text “入れたい文字列”」と入力すると反映しやすくなります。Flux.1を利用する際には参考にしてみてください。

（アニメ風）猫と遊ぶ老人

Fluxはリアルな画像を生成できる点が注目されがちですが、実はリアル風以外の画像も得意です。

たとえば以下のように、アニメ風の画像を生成できます。

他にも、抽象画風やピクセルアート風など、さまざまなスタイルの画像を生成できます。

リアル風以外の画像も生成できることで、利用の幅が大きく広がります。さまざまな場面でFlux.1を活用してみましょう。

パノラマ撮影した湖

Flux.1では、風景の画像も生成できます。以下は、湖の画像をパノラマで撮影した瞬間を再現した画像です。

人物や風景などを生成する際には、カメラの画角や位置を指定することが、理想の画像を生成するコツのひとつです。広角やズーム、360°など、さまざまなカメラワークを試してみてください。

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Flux.1 で理想の画像を生成するコツ

次に、Flux.1 で理想の画像を生成するコツを紹介します。

• 英語でプロンプトを入力する
• できるだけ詳細なプロンプトを入力する
• 生成AIにプロンプトを作成してもらう

Flux.1 だけでなく他の画像生成AIにも共通するコツなので、ぜひ参考にしてみてください。

英語でプロンプトを入力する

Flux.1 で高品質な画像を生成するには、英語のプロンプトを入力することが鍵です。Flux.1 をはじめとした画像生成AIの多くは、英語圏で学習しており、英語が得意であるためです。

英語に不安がある場合は、Google翻訳やChatGPTなどを活用して、日本語のプロンプトを英語に変換するとよいでしょう。

英語のプロンプトを使用することで、生成AIがより正確にユーザーの意図を解釈し、期待通りの画像を生成する確率が高まります。反対に、日本語でのプロンプトでは、正確にプロンプトの内容を反映しにくくなります。

Flux.1 を利用する際は、必ず英語でプロンプトを入力するように心がけましょう。

できるだけ詳細なプロンプトを入力する

Flux.1 では、具体的な描写、色彩、雰囲気、構図などを細かくプロンプトで指定することで、意図した画像に近づけられます。

たとえば、「夕暮れ時の東京スカイツリー」という簡単なプロンプトではなく、「Majestic Tokyo Skytree at sunset, vibrant orange and purple sky, reflecting on the Sumida River, bustling city lights in the background, wide-angle shot」のように、細部まで描写することが効果的です。

また、画像のスタイル（photorealistic, oil painting, anime style など）や光の当たり方（soft ambient light, dramatic backlighting など）を指定することで、さらに細かい調整が可能です。

このような詳細なプロンプト作成を心がけることで、Flux.1 の性能を最大限に引き出せるようになり、表現の幅を広げられます。

生成AIにプロンプトを作成してもらう

プロンプトを英語で記述したり、具体的に書いたりすることが難しい場合は、ChatGPTやGeminiのような文章生成AIにプロンプトを生成してもらうのがおすすめです。

たとえば「都会を歩く女性」を生成したい場合は、以下のプロンプトを使い、具体的かつ英語で記述されたプロンプトを作成してみてください。

以下の画像生成AIに送るプロンプトの具体性を20点として、100点に近づけるためのプロンプトを作成してください。なお、プロンプトは英語にしてください。
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都会を歩く女性

このプロンプトを入力すると、以下のプロンプトが出力されます。

この方法を使うことで、英語が得意でない人や、作りたい画像の具体的なイメージができていない人でも、効果的なプロンプトを作成できます。

さらに、生成AIが提案したプロンプトをもとに微調整を加えることで、より精度の高い画像生成が可能です。

このテクニックを活用すれば、Flux.1 の性能を最大限に引き出せるようになるでしょう。

以下の資料でも、Flux.1 で理想の画像を作成するコツを紹介しています。無料でダウンロードできるので、ぜひご確認ください。

Flux.1に期待される活用方法

Flux.1 は、たとえば以下の分野での活躍が期待されています。

• マーケティング
• ゲーム・エンターテインメント
• ファッション・アパレル
• 教育・トレーニング

自身がFlux.1 を活用している様子をイメージしながら、本章を確認してみてください。

マーケティング

Flux.1 は、高品質で魅力的なビジュアルコンテンツを迅速に生成できるため、広告キャンペーンやSNS投稿の効率が向上します。

たとえば、新製品のプロモーション画像や、季節ごとのキャンペーン画像を、わずか数分で作成できます。Flux.1 によって、広報チームの作業負荷が軽減され、より多くの時間を戦略立案に充てられるようになるでしょう。

また、A/Bテストのための複数のバリエーションを簡単に生成できるため、マーケティング施策の最適化にも貢献します。

Flux.1 を活用することで、常に魅力的なコンテンツを提供でき、顧客エンゲージメントを高められるでしょう。

ゲーム・エンターテインメント

ゲーム・エンターテインメント業界において、Flux.1 はキャラクターデザイン、背景アート、コンセプトアートなど、ゲーム開発のさまざまな段階で活用できます。

たとえば、新しいゲームのワールド設定を短時間で視覚化し、開発チーム内での共通理解を促進できます。また、映画やアニメーションの制作においても、ストーリーボードの作成やビジュアルエフェクトのプロトタイピングに役立ちます。

また、今後動画生成AIが進化すれば、Flux.1 で生成した画像を自由に動かせるようになる未来も到来する可能性があります。

Flux.1 によって、従来は時間とコストがかかっていた作業が大幅に効率化されます。Flux.1 で創出した時間や費用を、さらに別の業務に充てることで、より良いコンテンツを制作できるようになるでしょう。

ファッション・アパレル

ファッション・アパレル業界では、新しいスタイルや素材の組み合わせを瞬時に視覚化し、実験できるようになることが期待されます。

たとえば、季節のトレンドカラーを取り入れた新作ドレスのデザインを、さまざまなバリエーションで生成し、最適な選択肢を素早く見つけ出せるようになります。

また、バーチャルファッションショーやデジタルカタログの制作にも活用でき、実際の製造前に消費者の反応を測りやすくなります。

Flux.1 を活用することで、ファッション業界はより効率的な製品開発サイクルを実現し、顧客満足度の向上につなげられるようになるかもしれません。

Flux.1 を使って手軽に高品質画像を作成しよう

Flux.1 は、現在リリースされている画像生成AIの中でも、トップクラスの性能をほこる画像生成AIです。

また、Flux.1 は商用利用が可能なモデルもリリースされているため、ビジネスでの活用も期待できます。

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