生成AIの活用が広がる中、大学でも導入が進んでいます。
しかし、「どのように活用すればいいのかわからない」「倫理的な課題が心配」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
そのような悩みを抱えたままでは、生成AIの恩恵を十分に享受できないばかりか、リスクにさらされてしまう恐れがあります。そのためには、生成AIを適切に活用するためのモラルとリテラシーが欠かせません。
本記事では、大学における生成AI活用事例と、モラルおよびリテラシーの重要性について解説します。生成AIの可能性を最大限に引き出しつつ、リスクを最小限に抑える方法が学べます。
記事を読み終えた頃には、生成AIの適切な活用方法が理解でき、大学での効果的な導入に向けた第一歩を踏み出せるはずです。
|監修者
(株)SHIFT AI 代表取締役 / GMO他複数社AI顧問 / 生成AI活用普及協会理事 / Microsoft Copilot+ PCのCMに出演 / 国内最大級AI活用コミュニティ(会員5,000人超)を運営。
『日本をAI先進国に』実現の為に活動中。Xアカウントのフォロワー数は9万人超え(2024年9月現在)
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生成AIを活用する大学や学生は増えることが想定される
データサイエンティスト協会の調査結果から、現在の学生の生成AI活用率は29%と、まだ普及の途上にあることがわかります。
しかし、生成AIの認知度が上がるにつれ、活用率も増加していくことが予想されます。
生成AIは、学生の学習や研究活動を大きく変革する可能性を秘めており、以下のようなさまざまな場面で活用できるツールです。
- レポート作成
- 論文執筆の効率化
- アイディア発送の補助
- 外国語学習でのライティング支援
今後、生成AIの性能がさらに向上し、使いやすさが増せば、多くの学生が生成AIを学習に活用するようになるでしょう。
それに伴い、大学側も教育カリキュラムに生成AIを組み込んだり、活用のサポートする体制を整えたりと、対応を迫られることになります。
生成AIは、大学教育の在り方そのものを変える可能性のあるテクノロジーです。学生の生成AI活用率の増加は、そうした変革の予兆とも言えるのです。
各大学は、生成AIを効果的に活用し、学生の学びを最大限に引き出す方法を模索していく必要があるでしょう。
大学に限らず幅広い分野で活用されている事例については、以下の記事をご覧ください。
生成AIを活用している大学事例10選
生成AIの活用が広がる中、先進的な取り組みを行なっている大学も出てきています。
ここでは、現時点で生成AIを積極的に活用している10の大学を紹介します。
カリキュラムの中にAI活用に関するリテラシー向上の教育を設けている大学や、生成AIを学習の中で活用している大学など、多様な取り組みが行なわれています。
ただし、生成AIの技術は日進月歩で進化しているため、今後活用の範囲や方法が変わる可能性があることをあらかじめご了承ください。
- 立命館大学
- 近畿大学
- 東北大学
- 上智大学
- 東洋大学
- 武蔵野大学
- 東北工業大学
- 大阪電気通信大学
- 立教大学
- 九州大学
それぞれの大学について、1つずつ生成AIの活用事例を確認していきましょう。
1. 立命館大学
立命館大学では、「Transable(トランサブル)」という英語学習ツールを2023年4月から9月まで試験導入しました。
「Transable」とは、ChatGPT(チャットジーピーティー)と翻訳ツールを組み合わせた英語学習ツールです。
この取り組みはAI技術の積極活用を通じて、学生が能動的に英語スキルを体得することを目指しています。
生成される英文をそのまま使用するのではなく、AIから生成された英文を学生たちが修正をして使用しているのが特徴的です。
指導している教授も「生成されたものをそのまま読み上げることは禁止」という指導方針にしています。
立命館大学では、生成AIを用いて叩き台を作るなど、最初のアイデア出しにうまく活用しています。
参考:大学の英語授業に機械翻訳とChatGPTを組み合わせたサービスを試験導入(立命館大学)
2. 近畿大学
近畿大学は、「Graffer AI Studio(グラファー AI スタジオ)」を2024年1月22日から3月31日までの期間、試験導入しました。
「Graffer AI Studio」とは、生成Aiの業務活用を推進するプロダクトであり、導入の目的は、大学職員の業務効率化を図ることです。
「Graffer AI Studio」を用いて以下のようなサービスの設置を行ないました。
サービス名 | できること |
---|---|
チャットサービス | 学内に関する質問を対話形式でAIが回答する |
ナレッジベース | 学内の保有データを高精度でAI情報検索できる |
一括処理アプリケーション | プロンプト1つで大量の処理を迅速に完了できる |
上記による経営企画・広報・教務などの業務効率化を目的とした取り組みを行ないました。
参考:近畿大学が生成AI活用プラットフォーム「Graffer AI Studio」を導入(大学プレスセンター)
3. 東北大学
東北大学では、ChatGPTの導入で業務効率化を推進しています。
同大学では「コネクテッドユニバーシティ戦略」という学内DX化の推進戦略を掲げており、DX化の加速がChatGPT導入の狙いです。
また、導入に際してAI活用に関する留意事項を整理しています。
- AIが生成する内容は必ずしも正確ではない
- AIが生成したものをそのままレポート提出することは自分の勉強にならない
- 著作権に抵触する生成がされることもある
- 入力データを学習に使用しないオプトアウト申請の利用検討も必要
上記のような内容を学生向けと教員向けに分けて発信を行ない、生成AI活用に関するリテラシー教育も並行して行っています。
参考:全国の大学に先駆けてChatGPTを導入〜AIを串しDXの最先端を切り拓く〜
4. 上智大学
上智大学では、学内の基盤教育センターにてAIに関する積極的な発信を行っています。
2023年10月から12月にかけては、AIと社会変化をテーマにした連続セミナーを開催しました。
また、「データサイエンスプログラム」として、AIの基本的な知識・技術を学べる仕組みを用意しています。
上智大学が示している生成AIの利用ガイドラインでは、講義や課題に対する生成AIの活用例が具体的に示されています。
たとえば、ブレインストーミングを行う際にChatGPTを利用する、といった内容です。
上智大学では、生成AIを適切に活用するために必要な指針や方針を整備しています。
参考:AIと社会変化をテーマにした連続セミナーを開催します(上智大学)
5. 東洋大学
東洋大学では、「AI-MOP」を導入しました。
「AI-MOP」とは、OpenAIのGPT-4を活用した新しい教育システムです。
この教育システムの導入は、生成AIを利用した自学自習により教育効果を高めることが目的です。
「AI-MOP」では、Slack上でGPT-4にボット形式でアクセスする手法を採用しています。
これにより個人や部門単位での管理や制限が可能で、全員が不公平なくGPT-4を利用して学べる環境整備を行っています。
東洋大学では、「生成系AIと対話を繰り返すことが自分の考えを深める」として生成系AIの活用を推奨しています。
参考:INIAD(東洋大学情報連携学部)全学生向けにGPT-4を活用させる革新的な教育システム導入(東洋大学)
6. 武蔵野大学
武蔵野大学は、生成AIが搭載されたICTヘルプデスクチャットボットの導入を2023年7月より開始しました。
武蔵野大学では以前より、AI非搭載のシナリオ型チャットボットを提供していました。
新たに導入した生成AIを搭載したチャットボットでは、学生や教職員がより迅速かつ正確な情報の入手を目標としています。
チャットボットに生成AIを搭載することで、以下のようなメリットがあると考えられています。
- より自然で高度な対話が可能
- チャットボット自身が学習と改善を続けることが可能
- 将来的には個人の利用データ蓄積によるコンシェルジュ化が可能
セキュリティ面に関しても、学内利用のみに限定し「Azure OpenAI Service(アジュール・オープンエーアイ・サービス)」を利用することで対応しています。
参考:【武蔵野大学】国内大学で初!生成AI搭載のICTヘルプデスクチャットボットが誕生(PR TIMES)
7. 東北工業大学
東北工業大学は、「ユーザーローカル ChatAI」の無償トライアルを実証実験という形で受け入れました。
「ユーザーローカル ChatAI」とは、株式会社ユーザーローカルが提供する、学内でChatGPTを安全に利用するための生成AIプラットフォームです。
このプラットフォームでは、生成AIを使う上でのリスクや課題に対して、以下のような対策が施されています。
- 個人情報・機密情報を入力に対してフィルター機能がある
- ChatGPTとAPI通信することで安全に利用できる
- 組織の独自ルールについても回答対応可能
この実証実験を通じて、「職員全体で効果的な生成AIの使い方を学べた」という導入担当者からのコメントも寄せられています。
参考:株式会社ユーザーローカル
8. 大阪電気通信大学
大阪電気通信大学では、2023年5月に情報工学科のSlack内へChatGPTボットを導入しました。
このChatGPTボットは、GTP-4を利用しているものです。
ChatGPTボットの導入により、プログラミングや情報工学に関する質問の回答が迅速かつ丁寧になりました。
導入後には「学習がスムーズに進む」という学生からの反響が寄せられており、高い評価を得られているとのことです。
今後は他の学部学科に広がっていくことも予想されます。
参考:情報工学科がSlackにChatGPTボットを導入!プログラミングなどの質問に即答(大阪電気通信大学)
9. 立教大学
立教大学では、2021年8月から「AI型 チャットボット」(自動応答システム)を導入しています。
このチャットボットの目的は、学生・教員へのサービス向上と職員の業務効率化です。
定型の質問に対する業務を自動化させることで、学生や教員はいつでも迅速に知りたい内容の問い合わせが可能になりました。
その分、複雑な質問や他の業務に対する時間配分が可能となり、職員の業務効率も向上します。
また同学では、2020年4月に日本初の「AIに特化した研究科」である人工知能科学研究科を大学院に設立しています。
生成AIの導入だけではなく、AIの専門家を輩出することにも取り組んでいる大学の事例です。
10. 九州大学
九州大学では、積極的な学生のChatGPT活用事例について学内での情報共有が行われています。
たとえばプログラミングにおける活用事例です。
具体的な事例共有として、以下のようなものがありました。
解決したいこと | ChatGPT活用事例 |
---|---|
エラーが発生した場合 | エラー内容をChatGPTに聞いてみる |
プログラミングに詳しくない場合 | 達成したいことをChatGPTに伝えてプログラムを生成してもらう |
周りの人に質問しにくい場合 | ChatGPTなら気にせずどんどん不明点を質問できる |
上記のような具体的な活用事例を情報共有し、「特徴を理解して積極的に使ってほしい」という基本姿勢をとっています。
参考:大学生の生成系AI活用実態と今後の展望(国立情報学研究所)
参考:大学生の学習における生成系AI活用方法と今後の課題点(Speaker Deck)
文部科学省の生成AIガイドライン
文部科学省は、大学における生成AIの適切な活用を促進するため、ガイドラインを策定しています。
このガイドラインでは、生成AIを教育や研究に活用する際の留意点や推奨される取り組みが示されています。
ガイドラインによると、大学における生成AIの主な活用場面は以下の通りです。
- レポートや論文の作成支援
- プログラミングや外国語学習の補助
- 研究アイデアの発想や仮説の生成
- 実験や調査の設計支援
- 教材や試験問題の作成補助
- 学生の質問への自動応答や学習進捗の管理
これらの場面で生成AIを活用することで、学生の学習効率や研究の質の向上が期待できます。
大学における生成AIの活用は始まったばかりですが、文科省や各大学のガイドラインを参考に、適切かつ効果的な活用方法を模索していくことが求められます。
生成AIサービスの最新情報については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:【最新】おすすめの生成AIサービス一覧!各ツールの種類と特徴も徹底解説
大学で生成AIを活用する4つのメリット
本章では、大学で生成AIを活用する4つのメリットをまとめました。
- 業務の効率化が図れる
- 学生の教育・学習の効率化につながる
- 学生ごとに適した学習アドバイスを提供できる
- 学内の知見や情報共有が円滑に進む
それぞれのメリットについて、1つずつ確認していきましょう。
生成AIの使い方や効果的な活用のコツに関しては、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:生成AI(ジェネレーティブAI)の使い方!効果的な活用のコツや注意点を解説
1. 業務の効率化が図れる
AIと役割分担をすることで業務の効率化が実現します。
大学の教職員は、学生からさまざまな質問を受ける機会が多くあります。
その際に、生成AIが答えられる質問をチャットボットに任せることで、業務の時間配分の最適化が可能です。
AIに役割を任せた業務に費やす時間が減れば、その分学生に向き合う時間が増えるため、教育の質の向上も期待できます。
このようにAIの特徴を理解して役割分担を行うことで、業務の効率化が図れます。
2. 学生の教育・学習の効率化につながる
生成AIによって自学自習を促進させることで、学生の教育・学習の効率化にも役立ちます。
たとえば、講義の課題や問題に対する理解が追いついていない場合にサポートしてくれる人がおらず、取り残されてしまう学生は多くの大学で一定数存在します。
生成AIを活用すれば、学習していてわからないところがいつでも質問可能です。質問相手として活用することで、生成AIは学習の効率化をサポートしてくれます。
3. 学生ごとに適した学習アドバイスを提供できる
生成AIによって、学生ごとに適した学習アドバイスが提供可能です。
個人ごとの学習記録や成績などをインプットすることで、生成AIが最適な学習アドバイスや学習計画を立案してくれるのです。
たとえば、ある学生が数学の特定分野で苦手を持っている場合、生成AIはその学生の過去の成績や学習パターンを分析し、効果的な学習方法や復習計画を提案します。
これにより、一人ひとりに合わせたきめ細かい学習サポートが実現します。
4. 学内の知見や情報共有が円滑に進む
生成AIの活用により、学内の知見や情報の共有が円滑に進む仕組みの構築が可能です。
具体的には、以下のような内容を学習させることで、必要な情報を的確に引き出せるようになります。
- 大学の蔵書
- 授業に関する情報
- 学内の各種手続きマニュアル
- 過去のトラブル事例
- 学校独自のルールや取り決め
AIチャットボットや、AIによる情報検索システムなどを構築することで、迅速かつ適切に学内の情報を共有できるようになります。
大学で生成AIを活用する4つのデメリット
本章では、大学で生成AIを活用する4つのデメリットをまとめました。
- 機密情報や個人情報の流出・漏えいする恐れがある
- 必ずしも情報が正しくて倫理的とは限らない
- 学生の学力や思考力の低下が懸念される
- 一時的にコストが上がる
それぞれのデメリットについて、1つずつ確認していきましょう。
1. 機密情報や個人情報の流出・漏えいする恐れがある
生成AIを活用する上で非常に重要なリスクが、機密情報・個人情報の流出に関するデメリットです。
生成AIを活用する際、機密情報や個人情報を入力してしまうと、その情報が外部に流出・漏えいする恐れがあります。
とくに大学では研究データや学生の成績情報など、機密性の高い情報を多く扱うため、情報管理には細心の注意を払う必要があります。
機密情報・個人情報の流出リスクがあることを踏まえた上で、生成AIを活用しましょう。
2. 必ずしも情報が正しくて倫理的とは限らない
生成AIは学習データにもとづいて出力を生成するため、必ず正しい情報が出るとは限りません。
間違った情報や、倫理的に不適切なアウトプットが生成される恐れがあります。
生成AIの出力を鵜呑みにしたり、そのまま貼りつけて使用したりするような方法は避けましょう。
このデメリットを対策するポイントは以下の通りです。
- 著作権に抵触しないかチェックをする
- 利用許可申請が必要な情報かどうかをチェックする
- 情報が事実かどうかチェックする(ファクトチェック)
生成AIの出力結果は、間違っているかもしれないことを知っておきましょう。
3. 学生の学力や思考力の低下が懸念される
何も考えずに丸写しする道具として生成AIを使った場合、学びが生まれないというデメリットがあります。
課題やレポート、論文の作成を生成AIにすべて任せてしまえば、学生自身が考える機会が減ってしまいます。その結果として、学力や思考力の低下を招く恐れがあります。
このデメリットを対策するためには、生成AIの使用目的や任せる範囲を明確にさせることが重要です。
利用者と生成AIの役割分担ができていない状態での使用は、学力や思考力の低下が懸念されます。
4. 一時的にコストが上がる
生成AIの導入時には一時的にコストが発生します。
具体的には、導入するための金銭的な負担や意図した運用を行うための環境整備の労力が導入時に生じます。
たとえば、以下のようなものがコストの代表例です。
- 生成AIを安全に使うためのカスタマイズ費用
- 生成AIを正しく使うためのガイドライン作成の手間
- 生成AIを活用するための専門家に対するコンサルティング費用
生成AIの活用は、とくに初期投資が大きくなる可能性があるため、費用対効果を十分に検討する必要があります。
大学が生成AIを活用する5つのポイント
本章では、大学で生成AIを活用する5つのポイントをまとめました。
- 最適な生成AIの活用範囲を設定し導入ツールを決める
- リスクを最小限に減らすためのマネジメントを行う
- 教職員・学生向けの利用ルール・マニュアルを作る
- 生成AI活用におけるリテラシーが求められる
- 定期的な生成AI活用の見直しを行う
それぞれのポイントについて、1つずつ確認していきましょう。
1. 最適な生成AIの活用範囲を設定し導入ツールを決める
生成AIに任せる範囲を決めて、適したツールを選ぶことがAI活用のポイントです。
生成AIはすべての業務に万能なわけではなく、得手不得手があります。導入する際は生成AIの長所と短所を見極め、最適な活用範囲を設定しましょう。その上で、活用範囲に最も適したツールを選定することが重要です。
生成AIにさせたい作業を具体的に書き出してみるとわかりやすいでしょう。
たとえば、「プログラミングのエラー解決をさせたい」「就活生のビジネスメールを添削させたい」などです。
活用範囲を明確にすることで、費用対効果も向上します。
2. リスクを最小限に減らすためのマネジメントを行う
大学で生成AIを活用する上で、リスクを最小限に減らすためのマネジメントを行うことも重要です。
生成AIの活用にはリスクやデメリットが伴います。
リスクを最小限に減らすためには、どのようなリスク・デメリットが存在するのか正しい知識を身につけましょう。
その上で、学習させるデータの正確性や偏りのなさ、機密性の保持などを対応しましょう。
適切なデータマネジメントを行うことで、データの質を確保し、情報漏えいや誤った情報生成のリスクを低減できます。
3. 教職員・学生向けの利用ルール・マニュアルを作る
生成AIの使用目的や使用範囲、倫理ガイドラインなど、利用に関するルールやマニュアルを策定することも大切です。
作成したルールやマニュアルが適切に運用されるためにも周知徹底を行ないましょう。
また、ルールが適切に守られているかをモニタリングすることも重要です。
たとえば、Slack上にボットとして導入することで、個人のアカウントによる使用状況を把握できるようにするなどが考えられます。
利用ルール・マニュアルは作って終わりではなく、正常に運用される環境整備も含めて対応することが重要です。
4. 生成AI活用におけるリテラシーが求められる
教職員・学生共に生成AIを適切に活用するためには、リテラシーが求められます。
利用者のAIリテラシーによって、生成AIの活用成果やアウトプットが大きく左右されるためです。
そのため、研修プログラムや実践的なトレーニングなどを通じて、AIリテラシーの向上を図ることが有効です。
たとえば、学生・教職員向けにAIリテラシー向上のためのe-ラーニングを導入する、講義の前段としてリテラシーの理解度チェックを行うなどの方法があります。
教職員と学生の両方共にAIリテラシーを高めるための環境整備を行ないましょう。
5. 定期的な生成AI活用の見直しを行なう
常に国内外の最新動向をキャッチアップし、定期的に生成AI活用の在り方を見直すこともポイントです。
生成AIの技術やサービスは日々進化しており、新たな活用方法の発見やリスクが生じる恐れがあるからです。
ChatGPTだけを見ても、GPT-3が発表されてから5年足らずでGPT-4oが使えるようになり、新たな活用方法が生まれています。
定期的に生成AIの最新情報を手に入れて、ブラッシュアップしていきましょう。弊社SHIFT AIで開催している無料セミナーを受講すれば、最新の情報を手軽に得ることができます。
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大学が生成AIを導入するには?6ステップで解説
生成AIの大学での活用が進む中、適切な導入プロセスを経ることが重要です。ここでは、大学が生成AIを導入する際の6ステップを解説します。
- 生成AIの活用方針と目的を決める
- 学内のシステムやルールなどの利用環境を構築する
- プロトタイプの開発と運用を行う
- 全職員へ活用を浸透させる
- システムの開発と運用・継続的な改善を行う
- 生成AI定着化のために文化形成させる
それぞれのステップについて、1つずつ確認していきましょう。
1. 生成AIの活用方針と目的を決める
導入最初のステップとして、学内で生成AIを具体的にどう活用していくのか、その方針と目的を決める必要があります。
ここで定める活動方針は、投資対効果を左右するため、大学の目的に合った内容にすることが重要です。
たとえば「教員の業務効率化」や「学生への教育効果の向上」など、生成AIを導入することでどのような成果を得たいのかを具体的にします。
教員の研究支援や学習資料の自動生成、学生の課題提出のサポートなど、具体的な活用事例を盛り込み、導入の具体性を高めることも効果的です。
生成AIの導入成果を最大限に引き出すためにも、どのような目的で、どの範囲で使っていくのか明確に定めましょう。
2. 学内のシステムやルールなどの利用環境を構築する
次に、学内の環境整備を行う必要があります。
生成AIを活用する際に重要なポイントやリスク、デメリットを踏まえた上で、その対策が施された利用環境の構築がおすすめです。
たとえば、代表的なリスクとして、機密情報漏えいなどのセキュリティリスクの懸念点が挙げられます。
以下に、代表的な例を箇条書きでまとめました。
- 導入・運用に関する専門チーム
- 利用に関するガイドライン
- ソフトウェアやツールの環境
- コンピューティングなどのインフラ環境
- 産学連携、学内コミュニティなどの協力体制
- 利用者への教育体制
上記のような環境整備を行うことで、導入時・運用時ともに意図した形で生成AIを導入できます。
3. プロトタイプの開発と運用を行う
導入時にはプロトタイプの開発と運用(PoC)を行うことで、本開発の精度を上げられます。
プロトタイプ開発と運用を行う具体的な理由は、以下の通りです。
- 実際の運用環境における現実的な効果測定ができる
- 使用状況にもとづいたカスタマイズができる
- 当初予期していなかった問題や課題を見つけ、本格導入時には解消できる
- 本格導入より前に学内で生成AIの利用教育を行うことで、リテラシーを高められる
プロトタイプの開発導入を行えば、コストを抑えてインパクトを検証し、改善点から本開発の精度を高められます。
4. 全職員へ活用を浸透させる
生成AIの活用を全職員へ浸透させるためには、AIリテラシーの向上が重要です。
職員一人ひとりがAIの基本的な仕組みや利用方法を理解することで、生成AIの活用効果が最大化されるからです。
そのため、職員向けの教育プログラムを実施し、実践的なスキルを身につけてもらうことが重要です。
たとえば、以下のような内容が考えられます。
- 学生や教職員を対象としたAIリテラシー向上のためにオンラインコースを実施
- 教職員の業務シナリオに沿った活用事例を共有する勉強会
- AIを実際に使ってみるワークショップやハンズオン
このように、学内での教育プログラムを実施し、基本的な仕組みや利用方法などを理解してもらうことが有効です。
5. システムの開発と運用・継続的な改善を行う
生成AIの活用効果を最大にするためには、継続的な改善が必要です。
学内独自のデータ基盤の構築や、特定の活用シーンに合わせたアウトプット精度の改善を行うことで、生成AIの効果を最大限に引き出せるからです。
試験開発・運用(PoC)の結果をもとに、本開発を進めることで、費用対効果を最大化できます。
想定される例として、以下のような流れが考えられます。
- 生成AIを活用した学習支援システムを開発
- プロトタイプでシステムの有効性を検証後、特定の科目に特化した機能を追加
- 運用中のフィードバックも反映して継続的な改善を実施
- 学生の学習効率が向上・教員の業務負担も削減
このように、生成AIを活用したシステムの開発と運用・継続的な改善は、費用対効果を最大化するために必要な工程です。
6. 生成AI定着化のために文化形成させる
最後に、生成AIを学内に定着化させるには、文化形成が欠かせません。
生成AIの価値を最大限に引き出すためには、積極的な利用や学習、成長が重要です。
持続的に活用するためには、技術の導入だけではなく、それを支える文化や風土を醸成する必要があります。
たとえば、生成AIの活用によるメリットを日常的に実感できるような文化形成が考えられます。
具体的には、生成AIの成功事例・失敗事例の共有や、新たな活用方法の発表を行うワークショップや勉強会の開催などです。
積極的な利用や学習を促す取り組みを通じて、生成AIの価値を最大限に引き出し、大学全体のパフォーマンス向上に繋げていきましょう。
大学で生成AIを活用するにはモラルやリテラシーが必要
大学で生成AIを適切に活用するためには、生成AIに対するモラルやリテラシーが非常に重要です。
下記にモラルやリテラシーについてまとめました。
重要なポイント | 内容 |
---|---|
モラルの重要性 | 著作権や個人情報の取り扱いには注意する |
リテラシーの重要性 | AIの長所と短所を正しく理解し、鵜呑みにしない |
大学の取り組み | ガイドラインを設定し、リテラシー教育を行う |
上記のようなモラルとリテラシーの向上に対する具体的な取り組みとして、今すぐできることがあります。
それは、SHIFT AIが用意している無料の配布資料を受け取ることです。
この機会に、AI活用に対するモラルとリテラシーの向上への第一歩を踏み出してみましょう。
まずは、資料をダウンロードしてご覧ください。
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