GPT-4oを超える?DeepSeek-V3の特徴や使い方を解説!
2024年12月26日、DeepSeek社から「DeepSeek-V3」が発表されました。
DeepSeek-V3は、毎秒60トークン生成可能な高速処理や671BのMixture-of-Experts(MoE)パラメータを搭載し、従来のモデルを超える精度と効率を実現したオープンソースモデルです。
とはいえ、「DeepSeek-V3って何が進化したの?」「前モデルのV2とはどう違うの?」「具体的にどう使えばいいの?」といった疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、DeepSeek-V3と他の生成AIとの違いから特徴や実演結果などを詳しく解説します。
本記事を読めば、DeepSeek-V3を使ってより効率的にタスクを進める方法や、プロジェクトでの導入ステップを理解できるでしょう。
監修者
SHIFT AI代表 木内翔大
(株)SHIFT AI 代表取締役 / GMO AI & Web3株式会社AI活用顧問 / 生成AI活用普及協会理事 / Microsoft Copilot+ PCのCMに出演 / 国内最大級AI活用コミュニティ(会員1万人超)を運営。
『日本をAI先進国に』実現のために活動中。Xアカウントのフォロワー数は10万人超え(2025年1月現在)
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目次
DeepSeek-V3とは?
DeepSeek-V3は、2024年12月26日に発表された、生成AIの新しいスタンダードとなるモデルです。
従来のバージョンから進化した設計により、さらに高い精度と効率を実現しています。
本章では、DeepSeek-V2からどのような点が進化したのか、そして他のモデルと比べてどのような性能を発揮するのかについて解説します。
DeepSeek-V2から進化したポイント
DeepSeek-V3は、前バージョンであるDeepSeek-V2から、幅広いタスクへの対応力が大幅に強化された生成AIモデルです。
たとえば、数学的な問題を解いたり、プログラミングのコードを生成したりといった高度な推論能力を必要とするタスクで、より優れた結果を示しています。
以下は、DeepSeek-V3とDeepSeek-V2の性能を比較した表です。
ベンチマーク (評価指標) | DeepSeek-V2 | DeepSeek-V3 |
---|---|---|
アクティブパラメータ数 | 21B | 37B |
総パラメータ数 | 236B | 671B |
英語 (Pile-test BPB) | 0.606 | 0.548 |
BBH (3-shot) ※推論問題への対応力を測る指標 | 78.8 | 87.5 |
MMLU (5-shot) ※多分野タスクの正確性を測る指標 | 78.4 | 87.1 |
ARC-Challenge (25-shot) ※科学クイズに対するAIの知識力を測る指標 | 92.2 | 95.3 |
コード (HumanEval 0-shot) | 43.3 | 65.2 |
数学 (GSM8K 8-shot) | 81.6 | 89.3 |
中国語 (C-Eval 5-shot) | 81.4 | 90.1 |
多言語 (MMMLU) | 64.0 | 79.4 |
DeepSeek-V3は数学タスク(GSM8K 8-shot)で89.3%、コード生成(HumanEval 0-shot)で65.2%を達成し、DeepSeek-V2を大きく上回る性能です。
また、多言語対応(MMMLU)では79.4%のスコアを記録し、国際的なデータセットにも高い適応力を示しています。
このような進化により、DeepSeek-V3は研究や開発の現場だけでなく、ビジネスや教育の場でも幅広い活用が期待されています。
DeepSeek-V3が他のモデルを上回る性能を発揮
DeepSeek-V3は、DeepSeek-V2から進化しただけでなく、他の生成AIモデルと比較しても優れた性能を示しています。
以下は、数学やプログラミング、質疑応答タスクにおけるDeepSeek-V3と他モデルの比較結果です。
上記の表からも明らかなように、DeepSeek-V3は多くの分野で他モデルを上回る結果を記録しています。
たとえば、数学タスク(MATH 500)では90.2%のスコアを記録し、GPT-4o(74.6%)やClaude 3.5(78.3%)を大きく引き離しています。
また、プログラミングタスク(Codeforces)においても、DeepSeek-V3は51.6%のスコアを達成し、GPT-4o(23.6%)やClaude 3.5(20.3%)を上回っています。
これらの結果から、DeepSeek-V3は他モデルを上回る性能を発揮できることを示唆しています。
DeepSeek-V3の特徴4選
本章では、DeepSeek-V3の特徴を4つ紹介します。
- 高性能とコスト削減の両立を実現
- 最新のアーキテクチャを採用
- 最新技術で短期間の学習を実現
- 長い文脈を処理する能力を実現
それぞれの特徴について詳しく解説します。
高性能とコスト削減の両立を実現
DeepSeek-V3は高性能を維持しながら、コスト削減を実現しています。
GPT-4oやClaude 3.5 Sonnetと同等の性能を持ちながら、APIコストを約10分の1に抑えています。
これは計算リソースの最適化によるものです。
たとえば、顧客対応の自動化に利用する場合、運用コストを大幅に抑えつつ、高い精度の応答が可能です。
コスト削減により、スタートアップや中小企業でも高性能なAIを導入できるため、ビジネス規模を問わず効率的な業務改善ができます。
最新のアーキテクチャを採用
DeepSeek-V3は効率性を重視した最新アーキテクチャを採用しています。
6,710億パラメータのうち、各トークン処理時には約370億パラメータのみを活性化するMixture of Experts(MoE)アーキテクチャを使用しているため、計算リソースを大幅に節約できます。
複雑な法律文書や技術マニュアルの解析において、精度の高い回答を瞬時に生成しながら、リソース消費を抑えます。
リソースの効率的活用により、クラウドコストの削減や環境負荷の軽減も期待できます。
最新技術で短期間の学習を実現
DeepSeek-V3は、効率的な学習手法によって短期間で高度なモデルを構築しています。
FP8混合精度トレーニングやDualPipeアルゴリズムを活用し、学習のスループットを向上させています。
これにより、2,048個のNVIDIA H800 GPUでわずか2ヶ月間でモデルを完成させました。
学習期間の短縮により、新しい技術の市場投入が迅速に行え、競争優位性を確保できます。
長い文脈を処理する能力を実現
DeepSeek-V3は、長文解析において他のモデルを圧倒する性能を持っています。
最大128Kトークン(約128,000単語)の長文テキストを処理可能で、重要な情報を高い精度で抽出できます。
研究論文のような長いテキストデータを分析し、要約を生成するタスクで圧倒的な成果を上げています。
長文の処理能力により、時間を短縮し、効率的なデータ解析が可能になります。特に情報が膨大な分野での業務効率化に寄与します。
DeepSeek-V3の使い方
DeepSeek-V3を使用するには、以下の2つの方法があります:
- DeepSeek-V3のウェブ版を使用
- DeepSeek-V3をAPIで使用
それぞれの使い方について、具体的な手順を解説します。
DeepSeek-V3のウェブ版を使用
DeepSeek-V3のウェブ版は、公式サイト上で提供されており、ユーザーはブラウザから直接アクセスして利用できます。
アカウント作成またはログイン
ここで、電話番号またはメールアドレスとパスワードを入力するか、Googleアカウントを使用してログインできます。
今回はGoogleアカウントでログインしていきます。
ログイン時には、セキュリティのためにCAPTCHA認証が必要です。以下のような画面で、指定されたオブジェクトをクリックするよう求められます。
使用するGoogleアカウントを選択して「次へ」をクリックすると、DeepSeek-V3のChat版にアクセスできます。
ログインが完了すると、以下のようなインターフェースが表示されます。
ここで質問やタスクを入力すると、DeepSeek-V3が応答します。
DeepSeek-V3をAPIで使用
DeepSeek-V3はAPIを通じてプログラムやアプリケーションに統合することが可能です。以下の手順に従って利用を開始してください。
アカウント作成またはログイン
APIを利用するには、DeepSeek-V3プラットフォームにログインする必要があります。
電話番号またはメールアドレスとパスワードを入力するか、Googleアカウントを使用してログインを行います。
今回はGoogleアカウントでログインしていきます。
ログイン時、セキュリティ確認としてCAPTCHA認証が表示されます。
ログイン後、API管理用のダッシュボードが表示されます。
APIキーの取得
ダッシュボードのメニューから「API Keys」を選択します。
選択後、画面下部の「Create new API key」ボタンをクリックします。
ポップアップが表示されるので、APIキーに名前をつけて入力します。
名前を入力後「Create API key」をクリックします。
作成されたAPIキーが表示されます。
このキーは一度だけ表示されるため、忘れないようコピーをして安全に保存してください。
これでAPIキーの作成が完了です。このAPIキーを使用して、DeepSeek-V3の機能をアプリケーションやスクリプトで活用できます。
DeepSeek-V3のウェブ版を試してみた結果
本章では、DeepSeek-V3のウェブ版を試した結果を紹介します。
プロンプトも公開しているため、ぜひ参考にしてみてください。
①数学タスク
プロンプト:微分方程式 dy/dx = x^2 + 3x + 2 を解いてください。
②コードタスク
プロンプト:HTMLとCSSを使って簡単なポートフォリオページを作成するコードを書いてください。
出力したポートフォリオ
③多言語タスク
プロンプト:英語、フランス語、日本語で『リモートワークのメリット』について簡単な記事を書いてください。
これらの出力結果から、DeepSeek-V3が幅広いタスクにおいて優れた能力を発揮することがわかります。
ぜひ、あなた自身でもDeepSeek-V3を使ってさまざまなプロンプトを試してみてください。
DeepSeek-V3は商用利用できる?
DeepSeek-V3はオープンソースで公開されており、商用利用も可能です。
モデルやトレーニングフレームワーク、研究論文がすべて自由に利用できるため、技術者が独自の改良を加えたり商用プロジェクトで活用できます。
研究者が新しいアプローチを試すためにカスタマイズしたり、企業が自社システムに統合するなど、多様な利用方法が報告されています。
オープンソースであることにより、導入コストが削減されるだけでなく、技術革新を促進し、幅広い応用が可能です。
DeepSeek-V3で生成AIの可能性を拡大しよう!
本記事で解説したように、DeepSeek-V3は従来モデルを大きく上回る性能を持ちながら、コスト削減や環境負荷の軽減も実現しています。
高度な数学タスクやプログラミング、長文の解析まで対応できる能力は、研究や教育、ビジネスといった多岐にわたる分野で活用できます。
本記事を参考にして、DeepSeek-V3をどのように活用できるかをぜひイメージしてみてください。
高性能な生成AIを試してみたい方は、公式サイトを訪れてその実力を体感してください。
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記事を書いた人
西啓汰
大学での学びと並行して活動するフリーランスのSEO/Webライター。
研究テーマは「Music to Video」。音楽の歌詞や曲調を分析し、自動で映像を生成する仕組みの開発中。
生成AIツールを実際に触れ、体験を通じて得た知見を活かし、価値を届けるライティングを実践。
趣味は野球観戦とラジオ聴取。
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