2024年7月26日、ChatGPTの開発元であるOpenAIから「SearchGPT(サーチ・ジーピーティー)」が発表されました。
SearchGPTはインターネット上の情報を瞬時にまとめることに特化したAIで、GoogleやYahooでの検索に代わるものとして注目を集めています。
インターネットでの情報収集が日常的になった現代において、AIを活用して検索を行うことは、ビジネスや日常生活の生産性を大きく高めます。
本記事では、SearchGPTの基本情報や使用するメリットなどについて詳しく解説します。また、メディア運営者向けに、SearchGPTのセキュリティ面についても解説しています。
この記事を読むことで、SearchGPTの基本がすべてわかり、自分に合った活用方法をイメージできるようになるでしょう。
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|監修者
(株)SHIFT AI 代表取締役 / GMO他複数社AI顧問 / 生成AI活用普及協会理事 / Microsoft Copilot+ PCのCMに出演 / 国内最大級AI活用コミュニティ(会員5,000人超)を運営。
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SearchGPTとは?
本章では、まずSearchGPTの基本知識について解説します。
- Webの情報を簡単にまとめられる
- 情報をわかりやすく視覚化できる
- 情報の引用元を表示できる
- 出版社やクリエイターとの提携により信頼性が高い
上記の項目について、詳しく解説します。
Webの情報を簡単にまとめられる
SearchGPTの最大の特徴は、Web上の膨大な情報を簡単にまとめられることです。現在のChatGPTのブラウジング機能と似た機能ですが、SearchGPTは検索に特化しているAIとして開発されており、情報収集の性能が高くなっています。
GoogleやYahooのような従来の検索エンジンでは、必要な情報を得るために適したキーワードを入力し、関連する情報を自分でまとめる必要がありました。
しかし、SearchGPTはAIの力を活用し、ユーザーの質問に対して関連する情報を自動的に収集し、要約してくれます。また、AIモデルによって、海外の情報を日本語に訳す性能をもっていることも期待されています。
たとえば「日本の少子高齢化問題について教えて」という質問に対して、SearchGPTは複数の信頼できるソースから情報を集め、現状、原因、影響、対策などを簡潔にまとめた回答を提供します。
SearchGPTにより、ユーザーは時間をかけてWebサイトを閲覧する必要がなくなり、より効率的に情報を得られるようになります。
情報をわかりやすく視覚化できる
SearchGPTのもう一つの強みは、情報を視覚的にわかりやすく提示できることです。テキストだけでなく、グラフ、チャート、図表などを用いて情報を表現することで、ユーザーの理解を深めることができます。
たとえば、世界の人口統計に関する質問に対して、SearchGPTは数値データだけでなく、人口増加のトレンドを示す折れ線グラフや、地域別の人口分布を表す円グラフなどを生成し、提供することができます。
これにより、複雑なデータや統計情報も直感的に理解しやすくなります。SearchGPTがChatGPTで使えるようになると、データをもとにしたレポートの作成も同時に可能になることが期待されます。
情報の引用元を表示できる
SearchGPTは、提供する情報の信頼性を担保するため、常に引用元を明確に表示します。これは、従来の検索エンジンとの大きな違いの一つです。
ユーザーは提供された情報がどこから得られたものかを即座に確認でき、必要に応じて原典にアクセスすることができます。
たとえば、医療に関する情報を検索した場合、SearchGPTは回答と共に、その情報源となる医学ジャーナルや公的機関のウェブサイトへのリンクを提供します。
引用元を確実に表示することで、ユーザーは情報の信頼性を自分で判断することができ、さらに詳しい情報を得たい場合にも簡単にアクセスできるようになります。
出版社やクリエイターとの提携により信頼性が高い
SearchGPTの開発にあたり、OpenAIは多くの出版社やコンテンツクリエイターと提携しており、情報の質と信頼性が担保されています。
具体的には、The AtlanticやNews Corpといった大手メディア企業との提携が進められています。これらの提携により、SearchGPTは信頼性の高い最新のニュースや分析を含む回答を提供できます。
また、出版社やクリエイターにとっても、SearchGPTを通じて新たな読者層にリーチできるというメリットがあります。
SearchGPTは、AIの力とウェブ上の豊富な情報、そして信頼できるパートナーとの提携を組み合わせることで、ユーザーに価値ある情報を提供することを目指していると発表されています。
SearchGPTはまだ一般公開されていない
SearchGPTは現在、OpenAI社が開発中のプロトタイプ段階にあり、まだ一般公開されていません。また、一般公開の日程も未公表です。
なお、2024年7月25日時点では、少数のユーザーと出版社を対象に試験運用されている状況です。その少数のユーザーのひとりが、以下のように実際に使った動画を公開しています。
現時点で一般ユーザーはSearchGPTを利用できませんが、OpenAIのウェブサイトではウェイティングリスト(waitlist)への登録を受け付けています。
ウェイティングリストに登録することで、一般公開後に早めのアクセスが可能になります。
SearchGPTをいち早く使ってみたい方は、以下のリンクからウェイティングリストに登録しましょう。
ウェイティングリストのリンクはこちら>https://chatgpt.com/search
SearchGPTの今後
SearchGPTに関しては、OpenAIから基本情報以外にも、今後追加予定の機能も発表されました。
本章では、SearchGPTに今後追加される機能について紹介します。
ChatGPTと統合
SearchGPTは、将来的にChatGPTと統合される予定であると発表されています。
ChatGPTとSearchGPTの統合により、ユーザーは自然な会話の流れの中で、リアルタイムの情報を含む高度な検索機能を利用できるようになります。
たとえば、ユーザーが「今日の東京の天気は?」と尋ねた後に「週末はどうなる?」と続けて質問した場合、ChatGPTは文脈を理解し、東京の週末の天気予報を即座に提供できます。
現時点で搭載されているChatGPTのブラウジング機能でも同じことができますが、検索に特化したSearchGPTを使うことで、より多くの信頼性の高い情報源にアクセスできるようになります。
ChatGPTとSearchGPTの統合により、GoogleやYahoo!での検索よりも、自然で直感的な情報アクセスが可能になると期待されています。
なお、ChatGPTの基礎知識を学びたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
さまざまな機能の追加
SearchGPTの今後の展開として、位置情報にもとづいた検索結果の表示や、ビジネスで活用できる便利機能の追加なども計画されています。
たとえば「近くのイタリアンレストランでおすすめは?」という質問に対して、ユーザーの現在地を考慮した上で、評価の高いレストランのリストや営業時間、メニューの特徴などを即座に提供できるようになります。
ビジネス面で利便性の高い機能に関しては「最新のスマートフォンの比較」といった質問に対して、価格、スペック、ユーザーレビューなどの最新情報を総合的に分析し、ユーザーの購買決定をサポートする機能が期待されています。
OpenAI社は、ユーザーと出版社からのフィードバックを慎重に分析しながら、段階的にこれらの機能を実装していく方針です。SearchGPTの今後の展開は、AIと検索技術の融合がもたらす新たな可能性を示すものとして、多くの人々から注目されています。
【セキュリティ】SearchGPTに情報漏えいリスクはある?
メディアを運営している方は、SearchGPTによるコンテンツの学習に懸念をもっている方は多いでしょう。
本章では、SearchGPTのセキュリティ面について解説します。
- SearchGPTはWebコンテンツの内容を学習しない
- GPTBotが学習を行う可能性がある
- メディア側はSearchGPTのブラウジングを制御できる
それぞれの項目について詳しく解説します。
SearchGPTはWebコンテンツの内容を学習しない
SearchGPTでは、検索のために収集したWebコンテンツを、AIモデルの学習に使用しないことが発表されています。
OpenAI社は、SearchGPT用のクローラー※として「OAI-SearchBot」を使用しています。このクローラーは、検索結果の生成と表示のみを目的としており、OpenAIのAIモデルの訓練には一切使用されません。
※Webサイトを閲覧するボットのこと。クロールがWebサイトを閲覧することを「クロール」と呼ぶ。
つまり、OAI-SearchBotがウェブサイトから収集した情報は、検索結果としてユーザーに提供されるだけで、AIモデルの学習データとしては利用されないのです。
また、SearchGPTが検索したコンテンツを学習しない特性上、メディア側がAIの学習をブロックする設定をしていても、SearchGPTはサイトを閲覧して情報を確認できます。
この特性のおかげで、ユーザー側の利便性は下げることなく、メディア側は自社のコンテンツがAIモデルの訓練に無断で使用されるリスクを低くしながら読者を獲得できるのです。
GPTBotが学習を行う可能性がある
一方で、OpenAI社は「GPTBot」というボットも使用しており、GPT-4oやGPT-4o miniなどのAIモデルをより有用で安全なものにするために使用しています。このボットは、AIモデルの訓練に使用するためにコンテンツをクロールします。
つまり、GPTBotがウェブサイトをクロールした場合、そのコンテンツがOpenAIのAIモデルの訓練データとして使用される可能性があります。これは、SearchGPTとは別の目的で行われる活動です。
たとえば、技術ブログや学術論文のウェブサイトがGPTBotによってクロールされた場合、そこに含まれる情報や知識がAIモデルの訓練に使用され、モデルの性能向上に貢献する可能性があります。
ただし、自社のコンテンツを学習されることに抵抗がある企業は多いでしょう。自社コンテンツの学習を防ぎたい方は、次に解説する方法でGPTbotのクロールをブロックできます。
メディア側はブラウジングや学習を制御できる
メディア側には、OAI-SearchBotやGPTbotによる、ブラウジングや学習を制御する権限が与えられています。
たとえば、以下のような制御が可能です。
- OAI-SearchBotを許可し、検索結果に表示されるようにする。
- GPTBotを拒否し、コンテンツがAIモデルの訓練に使用されないようにする。
- ChatGPT-User※を許可し、ウェブサイトの情報を参照できるようにする。
※ChatGPTを利用している一般ユーザー
OpenAI社は、robots.txtタグを使用して制御することを推奨しています。具体的には、以下のコードを入力することが効果的です。
制御項目 | 設定内容 | 例 |
---|---|---|
OAI-SearchBot | サイトのクロールとSearchGPTの検索結果表示を制御 | 全体を許可する場合: User-agent: OAI-SearchBot Allow: / 特定ディレクトリのみを許可する場合: User-agent: OAI-SearchBot Allow: /public/ Disallow: / |
GPTBot | サイトのクロールとAIモデルの訓練に使用されるコンテンツを制御 | 全体を拒否する場合: User-agent: GPTBot Disallow: / 特定ディレクトリのみを許可する場合: User-agent: GPTBot Allow: /ai-training/ Disallow: / |
ChatGPT-User | ChatGPTユーザーのサイト情報参照を制御 | 全体を許可する場合: User-agent: ChatGPT-User Allow: / 特定ページへのアクセスを制限する場合: User-agent: ChatGPT-User Disallow: /private/ Allow: / |
複合設定の例 | 各ボットごとに異なる制御を組み合わせる | User-agent: OAI-SearchBot Allow: / User-agent: GPTBot Disallow: / User-agent: ChatGPT-User Allow: /public/ Disallow: / |
IPベースのフィルタリング | OpenAIの各ボットのIPアドレス範囲を使用してサーバー側でアクセスを制御 | Apacheサーバーの.htaccessファイル例: <IfModule mod_rewrite.c> RewriteEngine On RewriteCond %{HTTP_USER_AGENT} GPTBot [NC] RewriteRule ^ – [F] </IfModule> |
たとえば、ニュースサイトの運営者は、自社のコンテンツがSearchGPTの検索結果に表示されることを望むかもしれません。その場合、robots.txtファイルでOAI-SearchBotを許可し、GPTBotを拒否することで、検索可能性を維持しつつ、コンテンツの独自性を保護できます。
上記の制御オプションにより、Webサイト運営者やメディア企業は、自社のコンテンツが生成AIとどのように相互作用するかを細かく管理できます。ボットの制御について、さらに詳細を確認したい方は、公式サイトを確認してみてください。
SearchGPTの活用例
SearchGPTの活用例を4つ紹介します。
- 商品・サービスを比較する
- 旅行計画を立てる
- 業界のトレンドを分析する
- 海外の情報をまとめる
実際にSearchGPTが利用できるようになった際
商品・サービスを比較する
SearchGPTを使用することで、複数の商品やサービスを効率的に比較できます。従来の検索エンジンでは、ユーザーが複数のウェブサイトを閲覧し、情報を自分でまとめたり、比較サイトの限られた比較対象から商品・サービスを選んだりする必要がありました。
SearchGPTは、そういった面倒な作業を大幅に簡略化します。
たとえば「最新のスマートフォンの機能と価格を比較して」と尋ねると、SearchGPTは複数の信頼できる情報源から最新の製品情報を収集し、機能、価格、ユーザーレビューなどを整理して提示します。
ユーザーは短時間で商品の特徴を把握し、的確な判断を下せるようになるでしょう。
旅行計画を立てる
SearchGPTで旅行先の情報を収集・整理し、自分に合った旅行計画を立てるといった使い方も便利です。インターネット上にある、目的地の情報、交通手段、宿泊施設、観光スポットなど、旅行に必要なさまざまな情報を、SearchGPTは瞬時に収集できます。
たとえば「来月の京都3泊4日の旅行プランを立てて」というリクエストに対し、SearchGPTは季節に応じた観光スポット、おすすめの宿泊施設、現地の交通情報、人気のレストランなどを含む詳細な旅程を提案できます。
また、ユーザーの好みや予算に応じて計画を調整するといった使い方もできるでしょう。
業界のトレンドを分析する
SearchGPTは、最新のニュース、市場調査レポート、専門家の意見など、多様な情報源から関連データを収集し、特定の業界や市場のトレンドを分析できます。
たとえば「AI産業の最新トレンドと今後5年間の予測を教えて」という質問に対し、SearchGPTは技術の進歩、市場規模の推移、主要プレイヤーの動向、規制環境の変化など、さまざまな情報源からAI産業の現状と将来予測を提示できるでしょう。
SearchGPTの高度な検索機能によって、ビジネス戦略の立案や投資判断に役立つ洞察を得られます。
海外の情報をまとめる
SearchGPTは、言語の壁を越えて海外の情報を効率的に収集し、まとめる能力をもっています。これは、海外展開を考えている企業や、国際情勢に関心のある個人にとって便利な使い方です。
たとえば「フランスの再生可能エネルギー政策について最新情報を教えて」という要求をしたとしましょう。
SearchGPTはフランス語や英語の情報源から最新のデータを収集し、政策の概要、導入状況、課題、将来の展望などを日本語で分かりやすくまとめて提供します。
AIの力で言語の壁を感じることなく、海外の最新動向を把握できるようになるため、ビジネスをより効率化できるでしょう。
SearchGPTを使ってリサーチ業務を高速に!
SearchGPTはネット検索に特化しており、GoogleやYahoo!での検索よりも瞬時に情報を収集できることが期待されています。
また、AIを活用するため、単なる情報収集ではなく、集めた情報をもとにしたレポート・コンテンツ作成も可能です。
SearchGPTがリリースされてすぐ利用できるようにするために、ウェイティングリスト(waitlist)に登録しておくことをおすすめします。
ウェイティングリストのリンクはこちら>https://chatgpt.com/search
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