2025年のAIニュース総復習!「聞くAI」から「やってくれるAI」になった1年だった

執筆者
アンドデジタル株式会社 チーフAIエバンジェリスト /NewsPicks 生成AIトピックス IKIGAI lab.モデレーター /SHIFT AI 公認講師
國末拓実
生成AIを活用した業務改革・人材育成・組織変革を専門とするAIエバンジェリスト。
2023年より全国で生成AI研修・導入支援・イベント登壇を実施。
SHIFT AIには2023年10月より準パートナー講師として参画。企業現場での生成AI推進から、実践的なプロンプトノウハウまで、幅広く講座を担当。
NewsPicksトピックス「IKIGAI lab.」モデレーターとしても活動し、社会とAIの関わり方をテーマに発信している。また、DMM 生成AI CAMPにて教材開発やSHElikes 生成AI入門コースの講師を務めるなど、日本のAIリテラシー教育にも力を注ぐ。
主な寄稿:AINOW、HP Tech & Device TV、Newspicks トピックス
主な専門領域:生成AI導入戦略、プロンプトエンジニアリング、AIリテラシー教育、生成AI導入支援
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2025年を一言で言えば、「AIが自分で考え、現場で汗をかき始めた年」です。
画面の中で会話するだけだった存在が、複雑な問題を解き、物理的なインフラを動かす巨大産業へと進化しました。
技術の進化速度は「ドッグイヤー(人間の1年=犬の7年分の変化)」どころではなく、数週間で業界の勢力図が変わり続けています。
この記事では、激動の2025年を時系列とデータで振り返ります。この1年で何が変わり、2026年に向けてどんな流れが始まっているのかを整理していきます。
SHIFT AIでは、ChatGPTやGeminiなどの生成AIを活用して、副業で収入を得たり、昇進・転職などに役立つスキルを学んだりするためのセミナーを開催しています。
また、参加者限定で、「初心者が使うべきAIツール20選」や「AI副業案件集」「ChatGPTの教科書」など全12個の資料を無料で配布しています。
「これからAIを学びたい」「AIを使って本業・副業を効率化したい」という方は、ぜひセミナーに参加してみてください。
目次
【保存版】2025年 生成AI主要トピック 月次振り返り表

記事の最後に、データで見る2025年のAI事情についてもまとめています。
【タイムライン】激動の2025年を四半期で振り返る
2025年は単なる新製品のラッシュではなく、各四半期ごとに明確なテーマが存在しました。ここでは時代の空気感とともに主要なマイルストーンを整理します。
| 時期 | 概要 |
|---|---|
| 第1四半期(1-3月) | 「AIは高い」という常識が崩壊。衝撃の「価格破壊」でスタート |
| 第2四半期(4-6月) | 「会話」だけでなく「パソコン操作」を代行し始めた春 |
| 第3四半期(7-9月) | 待望のGPT-5が登場。仕事で「確実に使える」方向へ進化 |
| 第4四半期(10-12月) | Google・OpenAI・Anthropicの三つ巴。「最強モデル」が勢揃いした怒涛の年末 |
第1四半期(1-3月):「AIは高い」という常識が崩壊。衝撃の「価格破壊」でスタート
2025年は、アメリカのシリコンバレーではなく、中国からの衝撃で幕を開けました。
1月20日、中国から登場した「DeepSeek-R1」は、OpenAIのo1シリーズと同じくらい賢いのに、利用料金が圧倒的に安いAIでした。
「高性能AIは高くて当たり前」という常識が崩れ、資金の少ない企業や個人でも高性能AIを使えるようになったのです。
一方で、米国では翌1月21日、OpenAIなどが主導する「Stargateプロジェクト」が発表されました。
4年間で最大5,000億ドル(約75兆円)を投じるこの計画は、AI開発がソフトウェアの領域を超え、巨大なハードウェア・電力産業へと変貌した瞬間です。
2月に入ると、xAIが「Grok 3」(2月19日)、Anthropicが「Claude 3.7 Sonnet」(2月24日)を続けて発表しました。
特にClaude 3.7は、「すぐに答えるモード」と「時間をかけてじっくり考えるモード」を1つのAIで使い分けられる、業界初のモデルとして注目を集めます。

第2四半期(4-6月):「会話」だけでなく「パソコン操作」を代行し始めた春
春になると、注目の的は無料公開されているAI(オープンソース)に移りました。
Metaが4月5日に発表したLlama 4は、「得意分野の違う複数のAIが協力して答えを出す」仕組み(MoE:専門家混合)を使っていました。
同じくして、Anthropicが「Computer Use」機能の開発を進めます。
これは、AIが人間の代わりにマウスを動かしたりキーボードを打ったりして実際のパソコン作業をこなす機能で、「AIに仕事を任せる」ことが現実的になりました。
また、かねてより英語圏で好評だったNotebookLMの音声概要が日本語に対応したのもこのタイミングです。
難解な論文、退屈な社内マニュアル、長文の契約書などをアップロードするだけで、「聞きやすく、分かりやすいラジオ番組」に変換できる、革命的な機能でした。

第3四半期(7-9月):待望のGPT-5が登場。仕事で「確実に使える」方向へ進化
夏、世界中が待ち望んでいたGPT-5が8月7日についに登場しました。しかし、業界の反応は意外と冷静でした。
2023年にGPT-4が出たときのような「魔法みたいな進化」ではなく、以下のような地道な改善が中心だったからです。
- もっともらしい嘘をつく頻度が減った
- ユーザーの指示どおりに動くようになった
注目すべきは、同じ時期にOpenAIがGPT-OSS(8月5日)を発表したことです。
2019年のGPT-2以来、6年ぶりにAIの設計情報(重みデータ)を無料で公開したのです。
さらに「Sora 2」の登場により、AIが物理法則や音を理解する映像制作の相棒へと進化しました。
誰もが映画級の作品を作れるようになり、Cameo機能により現実とデジタルの境界が消失したと言えます。
また、Claude Sonnet 4.5や、画像編集が得意なGoogle「Gemini 2.5 Flash Image(Nano Banana)」がリリースされたのもこのタイミングでした。

第4四半期(10-12月):Google・OpenAI・Anthropicの三つ巴。「最強モデル」が勢揃いした怒涛の年末
年末、Google・OpenAI・Anthropicの3社から最新のモデルがリリースされ、正面からぶつかり合う展開となっています。
さらにGoogleは「Nano Banana Pro」をリリースしました。
AIの弱点だった「日本語の文字入れ」や「キャラの固定」を大きく克服し、誰でも漫画やチラシが作れるようになる出来事です。
設備投資の面では、投資会社BrookfieldとAI半導体大手のNVIDIAなどが協力し、約15兆円規模のAIインフラ投資ファンドを立ち上げました。
電力供給から半導体製造まで、AI産業に必要なあらゆる分野への投資が加速しています。

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無料AIセミナーに参加する【ニュースを振り返って】結局2025年はどんな年だった?
ニュースを順番に追うだけでは見えてこない、技術とビジネスの「根本的な変化」を3つのポイントで解説します。
これらは2026年以降、当たり前になっていく変化です。
- 「反射的なおしゃべり」を卒業。AIが回答前に「じっくり考える」ようになった
- AIはもう「ただのソフト」じゃない。電気と場所を取り合う「物理的な産業」へ
- 「チャット相手」から「仕事を代わりにやってくれる存在」へ
「反射的なおしゃべり」を卒業。AIが回答前に「じっくり考える」ようになった
2024年までのAIは、「次に来そうな言葉」を反射的に選んでいるだけでした。
人間でいえば、深く考えずに直感で答えている状態です。

ここで覚えておきたい言葉として、以下の用語があります。
- 推論時計算(AIが答えを出す瞬間に追加で考える処理)
- 思考の連鎖(AIが途中の考えを順番に書き出しながら最終回答にたどり着く方法)
AIはもう「ただのソフト」ではなく、電気と場所を取り合う「物理的な産業」になりました。
AIはもう「ただのソフト」じゃない。電気と場所を取り合う「物理的な産業」へ
2025年に起きた以下のニュースは、AI産業がもはや普通のIT産業とは別物になったことを示しています。
- 5,000億ドル(約75兆円)のStargateプロジェクト
- Microsoftによるスリーマイル島原発の再稼働契約

「チャット相手」から「仕事を代わりにやってくれる存在」へ
Anthropicの「Computer Use」やOpenAIのOperator機能により、AIはチャットで会話する対話相手から、私たちのパソコンを操作して作業する「エージェント」へと役割を変えました。
以下のような、これまで人間が手を動かしてやっていた作業を、AIがこなせるようになり始めています。
- ウェブブラウザの操作
- プログラミング
- システムの不具合修正
2026年に向けて、人間に求められるスキルも変わっています。
「AIにうまく指示を出して文章を書かせる」だけでなく、「AIに仕事の手順を教えて、一連の作業を任せる能力」が重要になっていくでしょう。
2026年への展望:汎用人工知能(AGI)実現への「最後の一歩」は、私たち人間の手にかかっている
2025年、私たちは約75兆円規模のインフラ投資と、人間に近い思考能力を持つAIモデルを手に入れ、設備とソフトウェアの準備は整いました。
では、人間のようにあらゆる仕事ができるAI(汎用人工知能、AGI)が社会に広まり、本当の価値を生み出すために残っているものは何でしょうか。
それは、AI用半導体の数でもデータセンターの電力でもありません。
私たち人間が「実際に使いこなす力」と「使おうとする意思」なのです。


まとめ:AIの「お試し期間」は終わった
2025年は、生成AIの「お試し期間」が終わった年だと言えます。
AIが社会の基盤として定着するための課題(電力問題、仕事のあり方の変化)もはっきり見えてきました。
しかしそれ以上に、科学研究のスピードアップや圧倒的な生産性の向上といった成果も見えています。
ここから先、世界は大きく二つに分かれていくでしょう。
AIに振り回される側に留まるか、AIという強力なエンジンを乗りこなして新しい価値を生み出す側に回るか。その選択は、一人ひとりに委ねられています。
2026年は、AIが電気や水道のように「あって当たり前の道具」になる最初の年だ、筆者は考えています。
Gemini 3も、GPT-5.2も、Claude Opus 4.5も、指示を待っている状態です。
このかつてない知的なインフラを使って何を作るのか、どの仕事を変えていくのか。それを決めるのは、私たち自身の意思にかかっています。
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- 実際に成果を出しているロールモデルの紹介
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無料AIセミナーに参加する付録:データで見る2025年(保存版)
2026年の企画書やレポート作成時に引用しやすいよう、それぞれのAI到達点を客観的に整理しました。
主要な最先端AIモデルの性能・特徴比較(2025年末時点)
| モデル名 | 開発元 | 特徴・強み | SWE-bench (Coding)※ |
|---|---|---|---|
| Claude Opus 4.5 | Anthropic | エージェント操作・コーディング最強 | 80.9% |
| GPT-5.2 | OpenAI | 自然な対話・統合バランス型 | 80.0% |
| Gemini 3 Pro | 数理推論・マルチモーダル・検索連携 | 76.2% | |
| DeepSeek V3.2 | DeepSeek | 低価格で高性能・設計情報を無料公開 | 73.1% |
世界の大規模AI投資プロジェクトTOP5
| プロジェクト名 | 規模(計画) | 主体企業 | 概要 |
|---|---|---|---|
| Stargate | 最大5,000億ドル | OpenAI, SoftBank等 | 米国AIインフラ構築 |
| Amazon CAPEX | 1,250億ドル/年 | Amazon | データセンター拡張 |
| France AI | 約1,090億ユーロ | UAE, Brookfield等 | 欧州データセンター |
| Brookfield AIインフラ | 1,000億ドル規模 | Brookfield, NVIDIA | インフラ全域への投資 |
| Stargate UAE | ・1GWクラスター ・5GW級キャンパス計画の一部 | G42, OpenAI, Oracle | 中東AIキャンパス |





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