「画像生成AIをビジネスで使いたいけど、商用利用してもいいの?」「著作権リスクはある?」と悩んでいる方は多いでしょう。
実際、画像生成AIのコンテンツは商用利用ができなかったり、最悪の場合、著作権侵害で訴訟されたりする可能性があります。
本記事では、主要な画像生成AIサービスの商用利用条件を詳しく解説し、著作権侵害のリスクや適切な利用方法について具体的に説明します。
この記事を読むことで、画像生成AIの商用利用に関する正しい知識を身につけ、法的リスクを回避しながらコンテンツを安心してビジネス活用できるようになるでしょう。
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|監修者
(株)SHIFT AI 代表取締役 / GMO他複数社AI顧問 / 生成AI活用普及協会理事 / Microsoft Copilot+ PCのCMに出演 / 国内最大級AI活用コミュニティ(会員5,000人超)を運営。
『日本をAI先進国に』実現の為に活動中。Xアカウントのフォロワー数は9万人超え(2024年9月現在)
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各画像生成AIの商用利用の条件を解説
本章では、人気の画像生成AIサービスに焦点をあてて、商用利用可能かどうか解説します。
- Stable Diffusion
- DALL•E
- Midjourney
- Copilot
- Adobe Firefly
- Canva
- Leonardo AI
- Novel AI
料金プランや会社規模によって商用利用の可否が変わるため、ぜひ確認してみてください。
Stable Diffusion
Stable Diffusionは基本的に商用利用が可能です。
ただし、開発元のStability AIが提供するモデル(SDXLやStable Diffusion Turboなど)を商用利用する際には、月額20ドルのメンバーシップへの加入が必要です。また、大企業の場合は、エンタープライズプランが用意されています。メンバーシップに関しては、公式サイトをご確認ください。
商用利用の際は、使用するモデルのライセンスを必ず確認し、違反のないように利用しましょう。
Stable Diffusionはカスタム性が高く、多種多様なスタイルの画像を作成できる点が魅力です。ビジネスで柔軟に使える画像生成AIとして、Stable Diffusionはおすすめのひとつといえます。
ChatGPT(DALL•E)
OpenAIは、利用規約とコンテンツポリシーを遵守することを条件に、DALL•Eで生成した画像の所有権をユーザーに譲渡し、商用利用することを許可しています。これは、無料または有料プランで生成した画像に関わらず適用されます。
ただし、生成された画像が人間によって作成されたと偽って表現することは禁止されています。また、OpenAIのコンテンツポリシーに違反する画像(例:性的、暴力的、著名人の画像など)の生成は禁止されており、このような画像を商用利用できません。
また、DALL•Eによって生成した画像によってユーザーが何かしらの損害を被った場合、OpenAI側は関与しないと利用規約に書かれています。
参考:Terms of use(OpenAI)
ChatGPTで使うDALL•Eは使い勝手が良く、初心者でも扱いやすい点が魅力です。利用規約の範囲内で商用利用を検討してみてください。
Midjourney
Midjourney(ミッドジャーニー)で生成した画像は、基本的に商用利用が可能です。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 年間収益が100万ドル以上の企業は、ProプランまたはMegaプランに加入する必要がある
- 他のユーザーの画像をアップスケールした場合、その画像の所有権は元のクリエイターにある
- 生成した画像のNFT化や販売も可能
また、Midjourneyの利用規約では商用利用可能とされつつも、生成された画像の著作権に関しては法的に明確ではない点に注意が必要です。
参考:Terms of Service(Midjourney)
Midjourneyはリアルな画像だけでなく、イラストやアート風の画像生成も得意とするオールラウンダーな画像生成AIです。誰でも簡単に使えるため、規約に従って、適切に商用利用してみてください。
Copilot
Microsoft Copilot(コパイロット)で生成した画像は、エンタープライズプランに限り商用利用可能です。
また、無料ユーザーに関しては商用利用が難しく、個人向け有料プラン「Copilot Pro」ユーザーに関しては商用利用が明確に許可・禁止されていません。Copilot Proの場合は、商用利用ができる可能性があるが、利用は自己責任と考えましょう。
また、エンタープライズプランの場合、Microsoftからインシデントからの保護を受けられます。もしCopilotを活用して訴訟された場合、Microsoftが顧客を守るために訴訟費用や和解金を支払います。
参考:Microsoft Copilot Copyright Commitment(Microsoft)
安心して商用利用に活用できる点で、Copilotは優秀なツールといえるでしょう。
Adobe Firefly
Adobe Firefly(アドビ・ファイアフライ)は、2023年9月13日から商用利用が可能になりました。Adobe公式の利用規約によると、ベータ版※ではない生成AI機能のコンテンツは商用利用できます。
※テスト段階の機能
Adobe Firefly最大の特徴は、著作権の心配がないという点です。Adobe FireflyはAdobeがもつ著作権フリーの画像のみで学習を行っているためです。また、エンタープライズプランの場合、仮に著作権侵害で訴訟された場合にも、Adobeが金銭を負担する規約です。
参考:Drive business results with Firefly generative AI.(Adobe)
参考:Adobe Generative AI User Guidelines(Adobe)
高品質な画像を作れる上、著作権完全フリーで商用利用可能であるため、企業向けの画像生成AIといえるでしょう。
Adobe Fireflyについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:【著作権完全フリー】画像生成AI「Adobe Firefly」の特徴やできることを解説
Canva
Canvaで生成したAI画像は、基本的に商用利用が可能です。Canvaは、AIによって生成された画像の著作権を主張しないと明言しています。
ユーザーは、Canvaの利用規約に従う限り、生成した画像の著作権を所有し、合法的な目的で使用できます。ただし、以下のポイントに注意しましょう。
- 有名キャラクターやブランドなどの使用を避ける
- Canvaで作成した画像の商標登録はできない
- AIによって生成されたコンテンツであることを閲覧者に明示する
Canvaはデザイン機能がメインであるため、生成した画像とデザインを組み合わせて商用利用できます。適切な範囲内で画像を生成し、デザインの生産性を高めてみてください。
参考:Use Canva to design digital and physical products for sale(Canva)
参考:AI Product Terms(Canva)
Leonardo AI
Leonardo AIで生成された画像は商用利用が可能です。公式のFAQによると、無料ユーザーも含めて、プラットフォームで生成された画像を商用利用できます。
ただし、利用条件には注意が必要です。有料プランで非公開設定で生成した画像の場合、ユーザーが全ての権利を保持します。一方、無料プランや公開設定で生成した画像は、Leonardo AIや他のユーザーも利用できる権利を持ちます
具体的には、有料プランでプライベート生成を行った場合、ユーザーは生成された画像の完全な所有権、著作権、その他の知的財産権を保持します。商用利用の際は、これらの条件を十分に理解した上で適切に活用することが重要です。
Leonardo AIは、画像だけでなく動画生成も可能です。生成AIで多様なコンテンツを作成し、ビジネスに活用してみましょう。
参考:Commercial Usage(Leonardo AI)
Novel AI
Novel AIの画像生成AIで作成したコンテンツは原則商用利用可能です。Novel AIの利用規約によると、ユーザーはコンテンツのすべての権利および所有権を保持し、Novel AI側はユーザーのコンテンツに対していかなる所有権も主張しないと明記されています。
ただし、生成されたコンテンツの責任はユーザー自身が負う規約です。既存の著作物を侵害していないか、生成物のチェックは必要不可欠です。また、Novel AIの画像生成機能は有料ユーザーでなければ使用できません。
また、Novel AIの利用規約は更新される可能性があるため、最新版を確認することが重要です。商用利用を検討する際は、常に最新の公式利用規約を参照することをお勧めします。
Novel AIはアニメ・イラスト系の画像生成に強いAIであるため、目的に合う方はぜひ使ってみてください。
参考:Terms of Service(Novel AI)
画像生成AIを商用利用して違反になるケース
画像生成AIの商用利用には注意が必要です。利用規約に違反したり、そもそも商用利用が認められていないサービスを使用したりすると、法的トラブルに巻き込まれる可能性があります。本章で、具体的なケースを見ていきましょう。
利用規約に違反した使い方をしてしまう
画像生成AIサービスの多くは、利用規約で生成した画像の使用条件を定めており、これらの規約に違反して使用すると、契約上の義務違反となる可能性があります。
利用規約に違反する具体的なケースとしては、以下のようなものが挙げられます。
行為 | 説明 |
---|---|
無料プランで生成した画像を商用利用する | 多くのサービスでは、商用利用には有料プランへの加入が必要 |
著作物や商標、著名人の写真の加工や編集を行う | 多くのAIツールの利用規約では、これらの行為が禁止されている |
一定規模以上の企業が適切なプランに加入せずに使用する | 企業規模に応じた特別プランへの加入が必要な場合がある |
生成した画像の権利を主張する | 多くのサービスでは、生成された画像に対する権利はユーザーに帰属しますが、AIサービス提供会社が一定の権利を留保している場合がある |
これらの違反を避けるためには、利用するAIサービスの最新の利用規約を必ず確認し、遵守することが重要です。
そもそも商用利用が一切できない
一部の画像生成AIサービスでは、商用利用が完全に禁止されているケースがあります。このようなサービスを使用して生成した画像を商用目的で使用すると、明確な規約違反となります。
商用利用が禁止されているサービスの例は以下のとおりです。
- 一部の無料版AIサービス
- 研究目的や個人利用に限定されたAIツール
- ベータ版や試験運用中のサービス
これらのサービスを使用する際は、個人的な使用や非営利目的の使用に限定する必要があります。商用利用を検討している場合は、明確に商用利用が許可されているサービスを選択することが重要です。
商用利用可能な画像生成AIを使用して著作権侵害になるケース
画像生成AIを商用利用する際には、著作権侵害のリスクに注意を払う必要があります。本性では、特に注意が必要な2つのケースについて詳しく解説します。
生成AIが著作物を学習している場合
生成AIが著作物を学習している場合、学習方法によっては著作権侵害となる可能性があります。
日本において、生成AIの学習段階では、著作権法第30条の4に基づき、原則として著作権者の許諾なく著作物を利用できます。なお、LoRAの学習も原則適法です。
しかし、第30条の4には「ただし書」が存在し、著作権者の利益を不当に害する場合は著作権侵害になる可能性があることが明記されています。
ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
引用元:著作権法第30条の4(e-Gov)
上記のように、権利者に不当な不利益を与えると判断された学習を行った生成AIを使う場合、著作権侵害を訴えられる可能性があります。また、訴訟されるのは開発者の場合もあれば、利用者の場合もあるため注意しましょう。
依拠性・類似性が認められた場合
生成AIで作成されたコンテンツは、「依拠性」と「類似性」が認められると著作権を侵害したとされる可能性が高まります。
項目 | 説明 |
---|---|
依拠性 | 他人の著作物を認識して自己の作品に利用することを指す。 |
類似性 | 他人の著作物と同一または類似していることを指し、コンテンツの表現形式や特徴的な要素が判断基準。ただし、一般的な表現方法は著作権の保護対象外。 |
拠性と類似性を総合的に考慮し、著作権侵害が判断されますが、これらの基準は明確ではなく、ケースバイケースで異なります。生成AIを利用する際は、著作権侵害の可能性を常に考慮することが重要です。
なお、生成AIと著作権についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
画像生成AIで生成したコンテンツは著作物認定される可能性あり
文化庁によると、生成AIによって作成したコンテンツに、以下に解説する「創作意図」と「創作的寄与」があるかどうかで、著作権の付与が決定するとされています。
項目 | 説明 |
---|---|
創作意図 | 思想又は感情を、ある結果物として表現しようとする意図 |
創作的寄与 | AIが生成したものに対し、思考作度や加筆・修正を行うこと |
とくに、創作的寄与が重要であるとされています。
たとえば以下のケースでは、著作権が認められる可能性が高いです。
- プロンプトを極めて詳細に記述して作成している場合
- 生成・修正・加筆を何度も行っている場合
- 自分のコンテンツを生成AIで出力する場合
一方で、生成AIの設定(パラメーター)を操作するだけでは、著作権は認められにくいとされます。
ビジネスを行う上で、コンテンツの著作権の有無は非常に重要です。生成AIを扱う際には、自社のコンテンツへ著作権が認められるかどうかも重視してみてください。
【事例紹介】画像生成AIを商用利用する方法
実際に商用利用できる画像生成AIを使う場合は、以下のような活用例があります。
- 広告・プロモーション
- 書籍・マンガ
- 建築
それぞれ具体例も紹介するため、参考にしてみてください。
広告・プロモーション
画像生成AIは、多様なビジュアルコンテンツを迅速かつ低コストで作成できるため、広告やプロモーションなどのマーケティング業務を効率化できます。
たとえば、パルコは広告の動画・ナレーション・音楽を全て生成AIで作成し、効果的なキャンペーンを展開しました。また、日本コカ・コーラはAIを活用した消費者参加型の広告を展開し、ブランドの認知度を高めることに成功しています。
このように、画像生成AIを活用することで、クリエイティブな広告コンテンツを短時間で大量に生成し、A/Bテストやターゲティング広告など、データドリブンなマーケティングを容易にします。
ただし、生成された画像の著作権や倫理的な問題には十分注意を払う必要があります。広告・プロモーション分野での画像生成AIの活用は、ブランドの差別化や消費者との新たなコミュニケーション方法を生み出す可能性を秘めており、今後さらなる発展が期待されています。
書籍・マンガ
画像生成AIを活用することで、書籍やマンガの制作過程を大幅に効率化し、創造性を高められます。
画像生成AIは、人間では思いつかないようなアイデアや視覚表現を生み出すことができるため、従来よりも魅力的なコンテンツを低コストかつ短時間で実現できるためです。
たとえば、近年AmazonのKindle市場では、画像生成AIを使った絵本や塗り絵などの出品が盛んです。また、AIマンガというジャンルも確立されつつあり、盛り上がりを見せています。
ただし、AIを使用する際は著作権や利用規約に十分注意する必要があります。とくに、他者の著作物を模倣したコンテンツの公開・販売は避けるべきです。
画像生成AIは書籍やマンガの制作プロセスを変化されつつあります。今後も技術の進化に伴い、さらなる活用方法が生まれることが期待されます。
建築
建築業界では、画像生成AIが設計プロセスを効率化させている事例があります。
たとえば大林組では、生成AIが人間のスケッチをもとに、複数の建物デザイン案を提案するAIを導入しています。この技術により、建築家は短時間で多様なデザインを生成し、クライアントに提示できるようになりました。
このような活用方法により、建築の初期段階での意思決定が迅速化され、クライアントの満足度向上にもつながっています。また、設計プロセスの効率化により、建築家はより創造的な作業に時間を割けるようになるでしょう。
エンタメ分野だけでなく、画像生成AIは建築土木分野にも浸透しつつある技術なのです。
商用利用可能な画像生成AIを使ってビジネスを加速させよう
画像生成AIは商用利用の可否がサービスによって異なるだけでなく、同じサービスでも、料金プランや会社規模によっても条件が変わります。
そのため、画像生成AIを商用利用する前に、本記事とあわせてツール提供会社の利用規約を十分読み込むことを推奨します。
利用規約は英語である場合が多いですが、ChatGPTのような生成AIにファイルを提供して「商用利用についてどう書いてある?」と聞くことで労力が激減します。ぜひ、試してみてください。
画像生成AIの活用事例は多岐にわたります。先進企業の取り組みを貴社の参考にしていただけるよう、実践的な事例集を無料でご用意いたしました。以下のリンクより、ぜひご活用ください。
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