Copilotの活用に興味はあるものの、著作権侵害のリスクが気になって導入をためらっていませんか?しかし、この懸念から生成AIの導入を先延ばしにすると、競合他社に後れを取り、業務効率化の機会を逃してしまう可能性があります。
本記事では、Microsoftが提供している、Copilotの出力に対する著作権保護プログラムについて詳しく解説します。このプログラムがどのように著作権侵害のリスクから企業を守るのか、適用条件は何か、さらにAzure OpenAI Serviceユーザーへの対応まで、幅広く情報をお伝えします。
この記事を読めば、Copilotを安心して活用するための知識が身につき、著作権リスクを最小限に抑えながら生成AIの恩恵を最大限に享受できるようになるでしょう。
|監修者
(株)SHIFT AI 代表取締役 / GMO他複数社AI顧問 / 生成AI活用普及協会理事 / Microsoft Copilot+ PCのCMに出演 / 国内最大級AI活用コミュニティ(会員5,000人超)を運営。
『日本をAI先進国に』実現の為に活動中。Xアカウントのフォロワー数は9万人超え(2024年9月現在)
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Copilotは著作権侵害リスクが低いAIサービス
本章では、Copilotの著作権リスクが低い理由を解説します。
まずは本章を読んで、Copilotと著作権の関係性を理解しましょう。
著作権侵害があってもMicrosoftが補償
Microsoftは、Copilotサービスの利用者を著作権侵害のリスクから守るため、Copilot Copyright Commitmentを発表しました。
第三者がマイクロソフトの Copilot または Copilot が生成する出力結果を使用した法人のお客様を著作権侵害で訴えた場合、お客様が製品に組み込まれたガードレールとコンテンツフィルターを使用しているという条件の下で、マイクロソフトはお客様を弁護し、訴訟の結果生じた不利な判決または和解により課された金額を支払います。
引用元:マイクロソフト、お客様向けの Copilot Copyright Commitment を発表(Microsoft)
このコミットメントにより、Copilotまたはその出力結果を使用したことで第三者から著作権侵害の訴えを受けた場合、マイクロソフトが法的防御を行い、不利な判決や和解に伴う費用を負担します。
Copilotを使用することで、著作権リスクが低減できると言われる理由が、このコミットメントなのです。
Azure OpenAI Serviceも対象
Microsoftは、Copilot Copyright Commitmentの対象をさらに拡大し、Azure OpenAI Serviceを利用する法人も含めています。Azure OpenAI Serviceは、自社に特化したAIチャットボットを、高セキュリティ下で作成できるプラットフォームです。
ただし、Customer Copyright Commitmentの恩恵を受けるためには、顧客がMicrosoftの提供するガードレールとコンテンツフィルターを守りながらCopilotを使用する必要があります。詳しくは、次章で解説する著作権侵害が補償される条件をご確認ください。
Copilotによる著作権侵害が補償される4つの条件
本章では、Copilotの利用による著作権侵害を、Microsoftが補償する条件について解説します。
- 法人プランに加入していること
- ガードレールとコンテンツフィルターを使用していること
- 意図的に著作権侵害物を生成していないこと
- Copilotの出力に対して訴えられること
上記4点を確認して、Copilotをより安全に使えるようになりましょう。
法人プランに加入していること
Copilot Copyright Commitmentの適用を受けるためには、法人向けのプランであるCopilot for Microsoft 365に加入している必要があります。
2024年9月時点で、Copilot for Microsoft 365はユーザーひとりあたり4,497円です。Copilot for Microsoft 365では、AIとのチャットだけでなく、ExcelやWordなどのOffice製品上でCopilotを使えたり、強固なセキュリティ環境下でCopilotを使えたりします。
もちろん、Copilotは法人プラン以外でも、商用利用可能です。しかし、いくつか注意点があるため、気になる方は以下の記事をご覧ください。
関連記事:【最新】Copilotは商用利用可能!各プランで注意すべきポイントを解説
ガードレールとコンテンツフィルターを使用していること
Microsoftの法的保護を受けるためには、Copilotやその他のAIサービスを使用する際に、ガードレールとコンテンツフィルター※を常に有効にし、適切に使用することが絶対に必要です。
※MicrosoftがCopilotに課している安全装置
ガードレールとコンテンツフィルターは、以下の理由から極めて重要です。
理由 | 説明 |
---|---|
著作権侵害のリスク低減 | 他者の知的財産権を侵害する可能性のあるコンテンツの生成や使用を防ぐことが重要。 |
法的問題の予防 | 不適切、攻撃的、あるいは違法なコンテンツの生成を制限し、潜在的な法的リスクを軽減することが重要。 |
倫理的利用の促進 | AIシステムが社会的規範や道徳的基準に沿った出力を生成することを保証する必要がある。 |
品質管理 | 生成されるコンテンツの質を一定の水準に保つことが求められる。 |
つまり、ガードレールとコンテンツフィルターを意図的に無効にすることは違反となり、保護の喪失や他の深刻な結果を招く可能性があります。
Microsoftが用意しているガードレールとコンテンツフィルターは、著作権保護の権利のために守りながらCopilotを使いましょう。
Copilotが生成した画像は著作権を侵害するケース
Copilotの出力(とくに生成した画像)は、著作権を侵害する可能性がゼロではありません。
条件を整えていれば著作権侵害をしてもMicrosoftに保護されますが、万が一の時のためにリスクを知っておきましょう。
依拠性がある場合
生成AIで作ったコンテンツが著作権を侵害する場合「依拠性」の有無がとくに重要な指標として見られます。依拠とは、他人の著作物を認識した上で、自己の作品の中に用いることです。
つまり、ユーザーが既存著作物を認識した上で、それを自分の作品に含めている場合、依拠性が認められる可能性が高くなります。
また、既存著作物が生成AIの学習データに含まれていて、偶然生成したコンテンツに依拠性が認められ、著作権を侵害してしまう場合があるため注意が必要です。
依拠性を直接証明するのは非常に困難であるため、次に紹介する類似性を含め、さまざまな要素を総合的に考慮します。
類似性がある場合
依拠性の他に、他人の著作物と同一、もしくは類似していることを示す「類似性」も重要視されます。
類似性の判断は、コンテンツの表現形式や構成、特徴的な要素などを総合的に考慮して行われます。
たとえば、生成AIが出力した小説のあらすじや登場人物の設定が、既存の著名な小説と酷似している場合、類似性が高いと判断される可能性があります。イラストの場合も、既存著作物の特徴と似ている場合、類似性が認められるケースがあります。
ただし、類似性の判断には注意が必要です。アイデアや事実、一般的な表現方法などは著作権の保護対象外であるため、これらの要素が似ていても必ずしも著作権侵害とはなりません。
重要なのは、表現の創作性や独自性が類似しているかどうかです。
最終的に、類似性と依拠性を考慮して、著作権を侵害しているかどうかが判断されます。AI生成のコンテンツに関して、主に判断基準とされる項目を以下に示します。
- 既存著作物が世の中によく知られている著作物か
- 既存著作物とAI生成物に類似性はあるか
- 少ない試行回数で類似度が高い表現が生成されるか
上記の項目を満たすと、著作権を侵害していると判断される可能性が高くなります。
ただし、依拠性と類似性の判断基準に関しては、明確な基準が存在しません。ケースによって判断基準が異なるため、法律で明確化できないためです。最終的には、人間によって判決が下されます。
生成AIを利用する際は、類似性と依拠性による著作権侵害の可能性が少しでも存在することを念頭に入れておきましょう。
意図せず著作権侵害になることもある
Copilotを使って、偶然既存著作物と同一、または類似したコンテンツが生成された場合でも、ユーザーの行為は著作権侵害に該当する可能性があります。
たとえば、以下のように学習データに既存著作物を利用して、それを知らずにユーザーが類似・同一のコンテンツを出力したケースが考えられます。
現状、ユーザーが既存著作物を認識している・いないに関係なく、上記のケースでも依拠性・類似性が肯定されて著作権侵害になる可能性が高いといわれています。
ただし、今まで裁判で争われたことがないため、判例ができるまでははっきりしないという点にも注意が必要です。
生成AI、とくに画像生成AIを扱う際には、使用するツールの学習データにも気を配る必要があるといえます。
Copilotの法人プランで著作権侵害リスクを軽減しよう
Copilotは、Microsoftによって著作権侵害リスクが抑えられているため、企業にとって使いやすい生成AIのひとつです。
ChatGPTをはじめとした生成AIの著作権リスクが気になっている方は、Copilotの導入を検討してみてください。Windowsとの相性が良いため、普段からExcelやWordを使っている場合、業務効率化を推進できるでしょう。
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