ChatGPTの社内活用に興味はあるものの、具体的な方法や注意点がわからず、導入に踏み切れずにいませんか?
このような状況が続くと、業務効率化の機会を逃し、競合他社に後れをとってしまう可能性があります。
本記事では、ChatGPTの社内利用はできるかどうか、具体的な活用例、さらには導入時の注意点や必要なガイドラインまで包括的に解説します。
企業向けプランの利点や、情報漏えいリスクへの対策なども取り上げています。
この記事を読むことで、ChatGPTを安全かつ効果的に社内導入する方法を理解し、業務効率の大幅な向上と組織の競争力強化を実現できるようになるでしょう。
|監修者
(株)SHIFT AI 代表取締役 / GMO他複数社AI顧問 / 生成AI活用普及協会理事 / Microsoft Copilot+ PCのCMに出演 / 国内最大級AI活用コミュニティ(会員5,000人超)を運営。
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ChatGPTは社内利用できる?するべき?
結論、ChatGPTは社内業務に利用できますし、したほうがよいものです。
ChatGPTの利用すると、業務効率と生産性が向上し、コスト削減や顧客満足度向上につながります。
ChatGPTを利用する主な魅力は以下の4つです。
- 業務時間を大幅に短縮できる
- アイデアの創出や活動をサポートできる
- 時間や場所を問わず利用できる
- 多言語に対応している
文書作成やデータ分析、顧客対応などの日常業務において、ChatGPTは私たち人間を補助し、作業の質と速度を向上させてくれるのです。
AIの活用が日常的になってきている今日、多くの企業がAI導入を始めていて、とくにChatGPTは中心的に利用されています。
業務効率や生産性の向上・従業員のスキルアップ・労働環境の改善を図り、競合他社に遅れをとらない企業に育てていくためには、ChatGPTの導入・活用が必須と言えるでしょう。
ChatGPTの機能や使い方について、以下の記事で網羅的に解説しています。「ChatGPTを使いこなす自信がない」という方はぜひご覧ください。
社内業務へのChatGPT活用例
ChatGPTは、さまざまな社内業務で活用できる多機能なツールです。
具体的な活用例を知ることで、他企業がどのようにChatGPTを導入し、業務効率の向上を図っているのか理解できます。
代表的な活用例は以下の3つです。
- メールや文書作成
- 議事録の作成
- 社内データを用いたFAQ(よくある質問)作成
それぞれ詳しく解説します。
メールや文書作成
ChatGPTは、メールや各種ビジネス文書の作成を効率化する強力な支援ツールです。
日常的なコミュニケーションから公式文書まで、幅広い文書作成タスクをサポートし、文書作成の時間を大幅に短縮できます。
たとえば、以下画像のような顧客への返信メールや、企画書・報告書のテンプレートを短時間で作成可能です。
また、文法チェックや表現の改善も行えるため、文書のブラッシュアップもできます。
ただし、プロンプト(AIへの指示文)やこれまでの学習データによって、意図と異なる回答をする場合があります。
ChatGPTが生成した文章はあくまで下書きとして扱い、人間の目を通して内容の確認や修正を行いましょう。
議事録の作成
時間や労力が削がれる会議の議事録作成も、ChatGPTを活用すれば大幅な効率化が可能です。
会議中のメモや録音の文字起こしをChatGPTに入力することで、構造化された議事録の下書きを生成できます。
今回は、予算案に関する会議内容を設定し、議事録を作成してもらいました。できあがった議事録は以下画像のとおりです。
ChatGPTは重要なポイントを整理し、論理的な構成で議事録をまとめてくれました。
また、会議中の会話をテキストで提供したパターンもご紹介します。提供したテキストは以下の画像です。
提供したテキストをもとに作成してもらった議事録は以下の画像です。今回は表形式で出力してもらいました。
見た目にもわかりやすいので、参加していない人でも会議の内容をすんなりと把握でき、時間や労力の削減につながります。
社内データを用いたFAQ(よくある質問)作成
ChatGPTは、社内の膨大なデータを活用したFAQ(よくある質問)の作成に役立ちます。
社内の各種マニュアルや過去の問い合わせ履歴などのデータをChatGPTに学習させ、社員からの質問に迅速で正確な回答をしてくれるチャットボット※を作成可能です。
※※チャットボット:テキストや音声で質問への回答や情報提供、タスクの実行を行うプログラム
FAQ(よくある質問)があると、社内での質問や回答の手間が省けます。
別部署の担当者にメールやチャットで質問したり、回答を待ったり、回答するのに必要なさらなる質問・相談がなくなったりするのです。
ただし、社内データを活用する際は、情報セキュリティに注意する必要があります。
個人情報や機密情報の取り扱いには細心の注意を払い、適切なアクセス制限を設けましょう。
また、定期的にFAQの内容を見直し、最新情報への更新も忘れてはいけません。
ChatGPTを社内活用している企業・行政の例
国内・海外を問わず、ChatGPTを社内活用している企業・行政が多くあります。前例を参考にすれば、自社でも応用できるアイデアが見つかるでしょう。
企業や行政の実例や業務への具体的な活用方法は以下の記事で解説しています。ぜひ参考にしてください。
関連記事:ChatGPTの活用方法17選!国内企業や海外企業の活用事例も解説
今回は、日本の企業や行政の実例を3つ抜粋して紹介します。
- 伊藤忠商事株式会社
- 横浜銀行
- 埼玉県戸田市
それぞれ詳しく解説します。
伊藤忠商事株式会社
伊藤忠商事は2023年7月から、全社的にChatGPTを導入し、約4200人の従業員がこのAIツールを利用できるようになりました。
この施策の主な目的は業務効率の改善です。大手商社がこのような大規模なAI導入を行うのは画期的で、商社業界全体にとって生成AI活用の新しい道を切り開く取り組みとなっています。
また、伊藤忠商事では、ブレインパッドやシグマクシスなどと共同で「生成AI研究ラボ」を立ち上げ、生成AIのビジネス利用に向けた実証研究を進めています。
社内のビジネスチャット「Benefitter」とのAPI連携※を通じて業務効率の向上が期待されています。
※API:他のアプリケーションやサービスと連携する仕組み
今後は議事録作成や調査業務などへの応用を検討しているほか、特化型生成AIの開発も視野に入れているそうです。
参考:伊藤忠商事が「社内版ChatGPT」を4200人に導入開始…“商社が使う生成AI”への期待(Business Insider)
参考:ChatGPT等の生成AIを用いた企業の業務変革や新規ビジネス開発支援を行う「生成AI研究ラボ」の設立について(伊藤忠商事株式会社)
横浜銀行
横浜銀行は、2023年11月に「行内ChatGPT」と呼ばれる生成AI情報分析プラットフォームを導入しました。
このシステムは、文章の要約やメール文案の作成、行内規定やマニュアルの照会など、幅広い業務に活用されています。
導入の目的は、業務効率化と生産性向上です。
とくに、文書作成にかかる時間を平均37%削減できると試算されており、従業員がより高付加価値の業務に注力できるようになることが期待されています。
セキュリティ面では、Azure OpenAIを利用して行内の閉鎖された環境で運用することで、情報漏えいのリスクを最小限に抑えています。
また、生成AIの特性上発生する可能性のあるハルシネーション(事実に基づかない情報の生成)に対しては今後の課題として、対策を講じているといいます。
ミスが許されない金融業界にもかかわらず、果敢に生成AIを導入している横浜銀行の今後の動向に注目です。
参考:横浜銀行、チャットGPTを導入 効率化で営業強化(日本経済新聞)
製造業における生成AIの活用事例については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:製造業における生成AIの活用事例3選 | 導入のポイントや具体的なステップも
埼玉県戸田市
埼玉県戸田市は、生成AIを活用して行政業務の効率化を図り、1か月で500時間相当の労働時間を削減しました。
戸田市はChatGPTを活用することで、住民からの問い合わせや申請手続きに関する対応を自動化しています。
たとえば、住民が提出する書類のチェックや、よくある質問への対応をAIが自動で行うことで、職員の手間を大幅に削減しました。
さらにAIの導入により、住民サービスの質も向上し、市民からの満足度も高まっています。
今後も戸田市は生成AIの活用を進め、さらなる行政サービスの効率化と向上を目指しているとのことです。
参考:埼玉県戸田市公式サイト
自治体の生成AI活用事例の詳細については、以下の記事でもあわせてご覧ください。
関連記事:自治体の生成AI活用事例10選!導入状況や活用のメリットまで紹介
本記事で紹介している活用事例以外も見たい方は、以下の資料も確認してみてください。
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ChatGPTを使うなら企業向けプランがおすすめ
企業がChatGPTを本格的に活用する場合、一般向けの無料プランや個人向けの有料プランではなく、企業向けプランを利用するのがおすすめです。
企業向けプランには、ビジネス利用に特化した機能や利点があり、組織全体でChatGPTを効果的に活用するための環境を整えられます。
企業向けプランの主な利点は、セキュリティの強化です。
最重要事項である機密情報や顧客データの保護に対し、企業向けプランでは、データの暗号化やアクセス制御などの高度なセキュリティ機能が提供されます。
また、企業のポリシーに合わせたカスタマイズが可能で、特定の情報へのアクセスを制限したり、利用ログを詳細に管理したりできます。
企業向けプランには「Team」と「Enterprise」があります。それぞれの違いは以下表のとおりです。
特徴 | Team | Enterprise |
---|---|---|
対象 | 中小企業・組織 | 大企業 |
料金 | 年額プラン:月額25ドル/ユーザー(約4,000円) 月額プラン:月額30ドル/ユーザー(約4,800円) | 要問い合わせ |
セキュリティ | 標準的なデータ保護 | 高度なデータ保護 |
利用人数 | 複数人 | 複数人 |
GPT-4oの利用 | 利用可能 | 無制限 |
GPT-4oの速度 | 通常速度 | 通常の2倍 |
カスタマイズ性 | 一般的 | 高い |
チャットの文字数制限 | 通常の2倍 | 通常の4倍 |
サポート | 一般的なサポート | 優先サポート |
企業向けプランを選択する際は、自社のニーズと予算を慎重に検討し、提供される機能や条件を十分に吟味するようにしましょう。
企業向けプラン「Team」と「Enterprise」は以下URLから利用手続きを行えます。
ChatGPT for Enterpriseの利用はこちらから
社内でChatGPTを利用する2つの注意点
ChatGPTの社内利用には多くの利点がありますが、同時に注意すべき重要な点もあります。とくに重要な注意点は以下の2つです。
- 無闇に推し進めない
- 情報漏えいのリスクがある
それぞれ詳しく解説します。
無闇に推し進めない
無闇にChatGPTの導入を推し進めてしまうと、結果として、業務効率や生産性の低下を招くおそれがあります。
理由は、従業員それぞれや担当業務によってChatGPTを活用できる範囲が異なり、業務によっては別ツールも必要になる可能性があるからです。
たとえば企画やマーケティング、エンジニアなど、公開済みの情報をもとにした業務ならば、ChatGPTがあれば問題ありません。アイデア出しやターゲット設計、コードの基盤の作成ができます。
しかし、社内の資料や情報を扱う業務の場合、ChatGPTだけの利用では難しいでしょう。
この場合に使用したい社内の資料や情報は、多くの場合非公開のものです。ChatGPTは通常時、非公開の情報を参照できません。
ですから、無闇に「ChatGPTを使って」とだけ指示しても、活用しきれず、生産性が低下したり従業員のストレスにつながったりするのです。
ChatGPTの導入進めていくならば、まずは担当業務や扱うものの範囲を把握し、各部署や業務に必要な機能・性能を考慮しましょう。
そして、社内情報を学習させたチャットボットを作成したり、他のツールの導入を検討したり、総合的に考える必要があります。
情報漏えいのリスクがある
ChatGPT利用の最大の懸念は、情報漏えいのリスクです。
ChatGPTは、入力されたデータが外部のサーバーに送信され、そのデータを学習して回答を生成します。
それだけでも機密情報や個人情報が流出する可能性がありますし、社内の多数の人間で扱うのですから、さらに危険性は高まります。
実際、2023年には、韓国の大手企業Samsung(サムスン)で情報流出が起こりました。
情報漏えいを防止するには、ChatGPTにデータを学習させない設定が有効です。
さきほどご紹介した企業向けプラン「Team」や「Enterprise」を利用したり、オプトアウト設定(入力データをAIモデルが学習しない設定)を行ったりしましょう。
オプトアウト設定については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:ChatGPTのオプトアウトで情報漏えい対策!概要や設定方法を解説
ChatGPTの利用には社内ルール(ガイドライン)が必須
ChatGPTを社内で利用する場合、注意点でも挙げたように、情報漏えいのリスクがあります。
さらに、利用者によって出力結果のクオリティに差が出て、修正や編集に手間がかかり、結果的に業務効率を下げる可能性もあります。
ですから、社内ルール(ガイドライン)を設けて、使用権限や禁止事項を定めたり、的確なプロンプト(指示文)を共有したりするのが必須です。
社内ルール(ガイドライン)には、以下のような要項を含めましょう。
- 利用目的の明確化:ChatGPTを使用できる業務範囲や具体的な用途
- セキュリティポリシー:機密情報や個人情報の取り扱い・データの暗号化・アクセス制御などのセキュリティ対策
- 利用者の責任:ChatGPTの出力結果の確認義務・不適切な使用に対する罰則
- トレーニング要件:ChatGPTを使用する従業員に必要なトレーニングの内容と頻度
- モニタリングと監査:ChatGPTの利用状況を定期的に監視してガイドライン遵守を確認する手順
- 倫理的配慮:AI利用の倫理的問題・著作権などの法的問題への対応方針
- 更新プロセス:技術の進化や法規制の変更に応じたガイドラインの見直し・更新の手順
ChatGPTを活用して業務効率や生産性アップ!
今日、AIの活用が日常的になっており。多くの企業もAIを導入し始めています。
競合他社に遅れをとらない企業に育てていくためには、ChatGPTの導入・活用が必須と言えるでしょう。
ChatGPTを導入すると、業務効率や生産性の向上・従業員のスキルアップ・労働環境の改善などを図れます。
また、ChatGPTの利用には、情報漏えいや結果的な生産性の低下といったリスクがあります。
このリスクを避けるために、社内ルール(ガイドライン)の作成して安全に利用できる環境を整えましょう。
ただし社内ルール(ガイドライン)は、単に文書として存在するだけでなく、組織全体に浸透させ、日常的な業務の中で実践されなければなりません。
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