Microsoftのビジネス向けAIアシスタント「Copilot」は、どのプランでも商用利用が可能です。ただし、プランによって商用利用の条件が異なるため、使用するプランの規約を知っておく必要があります。
自分に関係する規約を把握していなければ、思わぬ損害を出してしまう可能性があります。
そこで本記事では、Copilotの各プランにおける商用利用に関する規約と注意点を解説します。
この記事を読むことで、Copilotの商用利用に関する懸念を払拭し、自社のニーズに最適なプランを選択できるようになります。そして、リスクを抑えた戦略的なCopilot導入が可能になるでしょう。
|監修者
(株)SHIFT AI 代表取締役 / GMO他複数社AI顧問 / 生成AI活用普及協会理事 / Microsoft Copilot+ PCのCMに出演 / 国内最大級AI活用コミュニティ(会員5,000人超)を運営。
『日本をAI先進国に』実現の為に活動中。Xアカウントのフォロワー数は9万人超え(2024年9月現在)
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Copilotは基本的にどのプランでも商用利用可能
Copilotは、無料版や個人向け有料版のCopilot Pro、組織向けのCopilot for Microsoft 365のいずれのプランでも、基本的に商用利用が認められています。
ただし、各プランの商用利用に関する利用規約は異なります。次に、各プランの特徴と商用利用の規約について解説します。
Copilotの特徴や使い方などを網羅的に理解したい方は、まずは以下の記事を参考にしてみてください。
Copilot for Microsoft 365
Copilot for Microsoft 365は、組織向けに特化したプランであり、安全な商用利用を実現するためにカスタマイズされています。このプランは、ビジネス環境での利用を前提に設計されているため、企業のデータセキュリティやコンプライアンスに配慮した機能が充実しています。
企業がCopilot for Microsoft 365を選択する最大の理由は、商用データ保護の機能です。このプランでは、Copilotの利用によって生成されたデータや入力されたデータが外部に漏洩しないよう、厳重な管理体制が整えられています。これにより、機密情報や知的財産を含む企業データを安全に扱えます。
さらに、このプランには著作権侵害に関する保護機能も含まれています。万が一、Copilotの使用によって著作権侵害が発生した場合、Microsoftが補償を行います。
以上の理由から、企業でCopilotを本格的に導入する場合は、Copilot for Microsoft 365の契約が強く推奨されます。ただし、商業データの完全な保護を確保するためには、適切なライセンスの取得も必要です。商用データ保護や著作権侵害の保護、具体的なライセンス要件については、後述の章で詳しく説明しますので、そちらも参照してください。
無料版とCopilot Pro
無料版とCopilot Proにおいて、商用利用は明確に禁止されていませんが、規約の理解が必要です。
「Copilot AI エクスペリエンスの使用条件」を参照すると、これらのプランにおける商用利用は明確に禁止されていませんが、同時に明示的な許可もされていません。この曖昧さから、商用利用をしても直ちに規約違反にはならないと解釈できます。
※ただし、商用利用が明記されていない以上、利用は自己責任です。
参考:Copilot AI エクスペリエンスの使用条件(Microsoft)
この解釈は、テキスト生成だけでなく、Copilotが提供する画像生成機能の利用にも適用されます。つまり、業務上の文書作成や、マーケティング用の画像生成など、幅広い用途でCopilotを活用できる可能性があります。
しかし、これらのプランでの商用利用には、企業向けプランと比べていくつかの重要な注意点があります。たとえば、データの取り扱いやセキュリティ、著作権に関する保護がないである点です。企業の機密情報や重要なビジネスデータを扱う際には、とくに慎重な対応が求められます。
これらのプランを商用利用する際の具体的なリスクと対策については、次の章で詳しく解説します。企業のニーズや利用目的、リスク許容度に応じて、最適なプランを選択しましょう。
Copilot Proの利用を検討している方は、以下の記事を確認してみてください。
関連記事:【実演あり】Copilot Proでは何ができる?価格や無料版との違いを解説
Copilotの無料・Proプランを商用利用する際の注意点
Copilotの無料・Proプランを商用利用する際には、以下の点にとくに注意しましょう。
- コンテンツの責任はユーザーに帰属する
- 規約に違反する使用によって停止措置がある
- 生成物がMicrosoftに使用される可能性がある
なお、利用規約は突然変更される可能性があります。Copilotを商用利用する方は、本章で解説する利用規約を定期的に確認するようにしましょう。
コンテンツの責任はユーザーに帰属する
無料版とCopilot Proを利用して生成されたコンテンツに関しては、その責任がユーザーに帰属することに注意しましょう。企業向けプランとは異なり、これらのプランではMicrosoftによる保証が適用されません。
Copilotの利用規約には、ユーザーの責任について明確に記載されています。
お客様は、本使用条件に記載されているとおり、コンテンツのすべての権利を有しているか、または別の方法で管理していることを保証および表明するものとします。これには、お客様がコンテンツを提供、投稿、アップロード、入力、または提出するために必要なすべての権利を含みますが、それに限定されません。
この規定により、Copilotを使用して生成したコンテンツに関する法的責任や著作権の問題は、すべてユーザー側が負うことになります。
そのため、生成されたコンテンツを業務で使用する際は、細心の注意を払い、必要に応じて法務部門に確認を取るなどの対策が不可欠です。
規約に違反する使用によって停止措置がある
Copilotの無料版とCopilot Proを利用する際は、規約に違反する使用を避けることが重要です。暴力的、差別的、または性的に露骨なコンテンツの生成や詐欺的な利用など、規約に反する使い方をした場合、アカウントが停止される可能性があります。
規約には次のように明記されています。
行動規範に対する重大な違反または繰り返しの違反があった場合、違反があったオンライン サービス、または、場合によってはすべてのオンライン サービスおよびその他のサービス (Microsoft サービス規約に規定) の利用を停止させていただくことがあります。
たとえば、Copilotを使用して違法な活動の計画を立てたり、他者の著作権を侵害するコンテンツを大量に生成したりした場合、アカウント停止の対象となる可能性があります。
このような事態を避けるためにも、企業内でCopilotの適切な使用方法に関するガイドラインを設けることが推奨されます。
生成物がMicrosoftに使用される可能性がある
無料版とCopilot Proでは、商用データ保護機能が含まれていないため、生成したコンテンツやプロンプトがMicrosoftによって使用される可能性があります。これは、企業の機密情報や知的財産を扱う際に注意が必要な点です。
規約には以下のように記載されています。
お客様は、オンライン サービスを使用し、コンテンツを投稿、アップロード、入力、提供、または送信することにより、Microsoft、その関連会社、および第三者パートナーに対し、その事業 (すべての Microsoft サービスを含むがそれらに限定されない) の運営に関連して、プロンプト、作成物、カスタマイズ品、および関連コンテンツを使用する許可を与えるものとします。
たとえば、新製品開発に関するアイデアをCopilotに入力した場合、そのアイデアがMicrosoftのサービス改善に利用される可能性があります。
このリスクを軽減するためには、無料・Proプランにおいては機密性の高い情報をCopilotに入力しないよう、従業員教育を徹底することが重要です。
Copilotをより安全に商用利用したいなら組織向けプランを推奨
Copilotを安全に商用利用するなら、組織向けプランのCopilot for Microsoft 365の利用が推奨されます。理由は以下のとおりです。
- 組織向けプランは商用データの保護が適用
- 著作権侵害に関する訴訟はMicrosoftが補償
それぞれの理由を確認して、Copilot導入の参考にしてみてください。
組織向けプランは商用データの保護が適用
Copilot for Microsoft 365では、商用データの保護が適用されます。商用データ保護は、職場または学校アカウント (Entra ID) でサインインしている資格のあるユーザーに付与されます。
また、対象となるライセンスは、以下のとおりです。
- 企業向けプラン
- Microsoft 365 E3 または E5
- Microsoft 365 F1 または F3
- Microsoft 365 Business Premium、Business Standard、または Business Basic
- Microsoft 365 Apps for enterprise または Microsoft 365 Apps for business
- Office 365 E1、E1 Plus、E3、E5、または F3
- 教育機関向けプラン
- Microsoft 365 A1、A3、または A5
- Office 365 A1、A3、または A5
商用データ保護の対象は多岐にわたります。まず、組織の機密情報や商業的に重要なデータの機密性が確保されます。職場でのチャット内容も保護され、ビジネス環境に適したセキュリティ対策が施されています。さらに、ユーザーの個人情報やプライバシーを守るための措置も講じられています。
また、Microsoftはユーザーや組織が提供したコンテンツの所有権を主張しません。これは、商用データの所有権が組織に帰属することを意味します。また、職場のIDやチャット履歴にもとづいた広告のターゲティングは行われません。
これらの保護措置により、組織は安心してCopilotを活用しつつ、重要な商用データを守れるようになります。ビジネスプランの選択は、データセキュリティを重視する企業にとって賢明な選択といえるでしょう。
著作権侵害に関する訴訟はMicrosoftが補償
Microsoftは組織向けプラン利用者に対して、Copilotの使用に起因する著作権侵害訴訟に関する補償を提供しています。
Microsoftの公式声明によると、顧客がCopilotを使用して生成した出力に関して著作権侵害の訴訟を受けた場合、Microsoftが顧客を弁護し、訴訟から生じる不利な判決や和解金を支払うことを約束しています。
さらに、2023年11月15日の更新では、この補償範囲がAzure OpenAI Serviceを使用する顧客にも拡大されました。
この補償制度は、Copilotの活用を検討している企業・教育機関にとって大きな安心材料となりるでしょう。
参考:Microsoft announces new Copilot Copyright Commitment for customers(Microsoft)
【全プラン共通】Copilotを安全に商用利用するポイント
全プランに共通して、Copilotを使用する際には以下のポイントに注意しましょう。
- 利用者のAIリテラシーを高める
- 人間が必ず出力を確認する
- 利用規約を理解する
- 社内ガイドラインを作成する
それぞれの項目を確認し、安全にCopilotを利用してください。
利用者のAIリテラシーを高める
Copilotの安全な商用利用には、利用者のAIリテラシーを高めることが不可欠です。実際にCopilotを使用する社員の知識やスキルが不足していれば、利用規約違反や著作権侵害などのリスクが高まる可能性があります。
AIリテラシーを高めるためには、以下の方法が考えられます。
- オンラインコースの提供
- 社内セミナーの開催
- ケーススタディを用いた実践的なワークショップ
- 外部講師によるセミナー
- 定期的なニュースレターでの最新情報の共有
これらの取り組みを通じて、社員がCopilotの特性や限界を理解し、適切に活用できるようになることで、Copilotを安全に利用できるようになるでしょう。
効率的にAIリテラシーを高め、著作権侵害リスクを限りなく抑えられるようになるには、SHIFT AIの無料セミナーがおすすめです。
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人間が必ず出力を確認する
Copilotはハルシネーション(幻覚)を起こしたり、意図しない出力をしたりする可能性があるため、生成した内容に対する最終的な人間のチェックが必須です。
たとえば、Copilotを使用して顧客向けの重要な提案書を作成する場合、生成した内容を鵜呑みにせず、人間が必ず事実関係や数値の正確性、文脈の適切さを確認する必要があります。
人間による最終チェックを徹底することで、Copilotの誤りや不適切な内容を未然に防ぎ、高品質なアウトプットを維持できます。
利用規約を理解する
Microsoftの利用規約を十分に理解することは、Copilotの商用利用におけるリスク低減のために不可欠です。
利用規約には、サービスの適切な使用方法、データの取り扱い、知的財産権に関する重要な情報が含まれており、これらを把握することで法的トラブルや予期せぬ問題を回避できます。
たとえば、Copilotで生成したコンテンツの著作権や、機密情報の取り扱いに関する規定を理解することで、適切な権利管理や情報保護措置を講じられます。また、禁止されている使用方法を把握することで、アカウント停止などのペナルティを回避できます。
定期的に利用規約を確認し、必要に応じて社内ガイドラインに反映させることで、Copilotの安全で効果的な活用が可能になります。
社内ガイドラインを作成する
適切なガイドラインを作成することで、リスクを抑えつつ、組織全体でAIツールの利用を促進できます。
社内ガイドラインの作成には、法務部門、IT部門、そして実際のユーザーである従業員の意見を取り入れることが重要です。これにより、法的リスク、技術的制約、実用性のバランスが取れたガイドラインを策定できます。
たとえば、ガイドラインには、Copilotの使用が適切な業務と不適切な業務の明確な区別、機密情報の取り扱い方法、生成されたコンテンツのレビュープロセスなどを含めます。
適切な社内ガイドラインを作成し、全従業員に周知徹底することで、Copilotの効果的かつ安全な活用が可能となり、組織全体の生産性向上とリスク管理の両立を実現できます。
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Copilotを安全に商用利用しよう
Copilotはどのプランでも基本的に商用利用が可能ですが、プランによって注意点が異なります。
とくに無料プランとProプランは商用利用についての明記が存在しないため、利用は自己責任になります。
そのため、企業や教育機関としては、商用利用が前提である組織向けプラン「Copilot for Microsoft 365」への加入を推奨します。
自社の状況にあったプランを選択し、リスクを抑えて商用利用を行いつつ、Copilotで業務を効率化させましょう。
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