「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」は、一部のiPhone、iPadおよびMacで利用可能で、Siriをはじめとする多くの機能を大幅に進化させています。
世界的ビックテック企業AppleのAIシステムが日常生活にもたらす変化は、いったいどのようなものになるのでしょうか?
本記事では、Apple Intelligenceが提供する新機能の詳細と対応機種について、わかりやすく解説しています。また、2024年9月9日に発表があったiPhone16についても解説しているため、最新情報を知りたい方も参考にしてみてください。
|監修者
(株)SHIFT AI 代表取締役 / GMO他複数社AI顧問 / 生成AI活用普及協会理事 / Microsoft Copilot+ PCのCMに出演 / 国内最大級AI活用コミュニティ(会員5,000人超)を運営。
『日本をAI先進国に』実現の為に活動中。Xアカウントのフォロワー数は9万人超え(2024年9月現在)
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※Apple Intelligenceの使い方に関しては記載していません
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【対応機種は?】Apple Intelligenceとは
Apple Intelligenceは、一部のiPhone、iPadおよびMacで利用可能なAIシステムです。
iOS 18、iPadOS 18、macOS Sequoiaに統合され、ユーザーの予定や過去の会話を深く理解することで、最適なサポートを提供し、日常生活を大幅に改善します。
Apple Intelligenceの対応機種は、以下のとおりです。
デバイス | 対応モデル |
---|---|
iPhone | iPhone 15 Pro / Pro Max iPhone16 / Plus、iPhone16 Pro/ Pro Max |
iPad | M1チップ以降を搭載したモデル ・iPad Pro 13インチ ・iPad Pro 12.9インチ (第5世代以降) ・iPad Pro 11インチ (第3世代以降) ・iPad Air (第5世代) ・iPad Air(11インチ・13インチ) |
Mac | M1チップ以降を搭載したモデル ・MacBook Air (2020年モデル以降) ・MacBook Pro (2020年モデル以降) ・Mac mini (2020年モデル以降) |
進化したSiriによる自然な会話、通知管理の強化、個別タスクの自動化など、多岐にわたる機能を備えたApple Intelligenceは、プライバシーを確保しつつ、個人に合わせてタスクを処理してくれます。
また、2024年9月9日に発表されたiPhone16は、Apple Intelligenceのために設計された初めてのiPhoneといわれています。Apple Intelligenceの機能をフル活用したい方は、iPhone16シリーズを検討してみてもよいでしょう。
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「世界中のユーザーがエージェントを使い始めるきっかけとなる」、そう期待する声も寄せられています。Apple Intelligenceは、ユーザーの生活をより豊かにすることを目指した、次世代のパーソナルAIアシスタントと言えるでしょう。
iPhone16専用機能「Visual Intelligence」とは
iPhone16には、カメラを使って撮影したものを認識・検索する機能「Visual Intelligence(ビジュアル・インテリジェンス)」が搭載されます。Googleサービスを利用している方は、Googleレンズをイメージするとわかりやすいでしょう。
iPhone16にはさまざまなカメラ操作を簡単に行える「カメラコントロール」というボタンがサイドに追加されました。このカメラコントロールボタンを長押しすることで、Visual Intelligenceが起動します。
たとえば上記画像のように、目の前の犬にカメラをかざすことで、その犬の犬種を解説します。他にも、カフェの外観を撮影して、カフェのレビューや提供されている食事などを確認することも可能です。
Visual Intelligenceを使うことで、iPhoneの利便性がさらに高まることが期待されています。
Apple Intelligenceの機能
Apple Intelligenceは、iPhone、iPad、Mac向けの次世代AIシステムとして、以下のような機能を提供します。
- ライティングタスクの効率化
- 大幅に進化したSiri
- スマートな通知管理
- 画像生成機能
- メモリームービー作成
これらの機能により、Apple Intelligenceは日常のさまざまな場面での利便性を向上させ、ユーザーの生活をよりスマートにサポートしてくれます。
ライティングタスク効率化機能
Apple Intelligenceは、システム全体で利用可能な新しいライティングツールを提供し、文章作成のプロセスを大幅に効率化してくれます。
このツールはMailやNotes、Safari、Pages、Keynoteなどのアプリに自動的に組み込まれていて、リライト、校正、要約など、ユーザーが自信を持って文章を作成できるようサポートしてくれます。
たとえば、メールを書く際、リライト機能で最適な表現を選んだり、校正機能で文法や語彙をチェックしたり、要約機能で長文の要点を抽出したりできます。
こうしたApple Intelligenceのライティングツールにより、ユーザーは短時間で質の高い文章を作成できるようになります。
テキストコミュニケーションを効率的に行える、まさに現代のビジネスパーソンに欠かせない機能と言えるでしょう。
SiriでChatGPTが使用可能
SiriがChatGPTの膨大な知識と高度な言語生成能力を活用できるようになり、ユーザーの多様な質問や要望に対して、これまで以上に具体的な回答を提供できるようになります。
たとえば、「新鮮な魚と庭の食材を使った豪華な食事のアイデアを教えて」とSiriに尋ねれば、ChatGPTの助けを借りて詳細なメニュー提案を行います。
Siriの進化した機能は、主に以下のとおりです。
進化した機能 | 概要 |
---|---|
過去情報の記憶 | ユーザーのメッセージ、メール、カレンダーイベント、写真などの情報を記憶し、文脈に応じた高度なサポートを提供 |
流暢な対話 | 高度な自然言語理解を活用し、ユーザーとの流暢な対話を実現 |
個人情報の参照 | ユーザーの連絡先、カレンダーイベント、写真、メッセージなどの個人情報を安全に参照し、より個人に合わせたサポートを提供 |
Type to Siri | テキスト入力でSiriを利用可能 |
それぞれの機能の詳細を解説します。
①過去情報の記憶
Siriは、ユーザーのメッセージ、メール、カレンダーイベント、写真などの情報をメモリに保存し、これを活用して文脈に応じた高度なサポートを提供できるようになりました。
たとえば、友人が送ってきた新しい住所を追加する際、「この住所を彼の連絡先に追加して」とSiriに指示するだけで自動的に情報が更新されます。
また、「娘の演劇に間に合うようにミーティングの時間を変更して」といったリクエストにも、過去のやり取りや予定を理解した上で対応してくれるのです。
こうしたSiriの進化により、ユーザーは日常生活をより効率的に管理できるようになります。必要な情報をいちいち探す手間が省け、ストレスフリーな毎日を送れるでしょう。
ユーザーの生活に寄り添う、頼れるパートナーとしてのSiriを実現しているのです。
②流暢な対話が可能に
Siriは、高度な自然言語理解を活用して、ユーザーとの流暢な対話を実現します。言葉に詰まっても、その意図を正確に把握し、適切に対応してくれます。
たとえば、「明日の高尾山の天気は?」と尋ねた後、「そこで9時にハイキングの予定を立てて」と続けるだけで、Siriは高尾山のことを理解し、適切にスケジュールを設定します。また、間違った情報を言い直す場合にも、スムーズに対応してくれます。
こうしたSiriの進化により、ユーザーは自然な会話の流れの中で、必要なサポートを得られるようになりました。まるで友人や秘書とやり取りするように、Siriとコミュニケーションできるのです。
③個人情報の参照
Siriは、ユーザーの連絡先、カレンダーイベント、写真、メッセージなどの個人情報を安全に参照し、より個人に合わせたサポートを提供してくれます。
たとえば、「先週田中さんが共有したファイルを見せて」とSiriに指示すると、過去のメールやメッセージを検索し、該当するファイルを瞬時に表示します。また、「お母さん、純子、私の写真を見せて」と尋ねれば、写真ライブラリから条件に合う写真を見つけ出してくれます。
こうしたSiriの進化は、ユーザーの日常タスクを大幅に効率化します。必要な情報をいちいち探す手間が省け、ストレスなくデータにアクセスできるのです。
もちろん、Appleはユーザーのプライバシーを最優先に考えていると発表しています。基本的にな情報処理はデバイス上で安全に行われ、個人データが外部に流出しないよう配慮されているようです※。
※デバイスの処理能力以上のタスクを行う場合、そのタスクのみサーバーに提供される
Siriが個人情報を適切に活用することで、ユーザーはより具体的で実用的なサポートを受けられるようになるでしょう。
④Type to Siri
Siriには、テキスト入力で利用できるType to Siri機能が追加されました。これにより、公共の場や静かな環境でもSiriを活用できるようになります。
たとえば、バスの中でアラームを設定したい時、Type to Siriを使えば周囲を気にせず静かに指示を出せます。また、音声入力で始めた指示を途中でテキスト入力に切り替えられます。
こうしたType to Siriの登場により、ユーザーはプライバシーを守りながら、状況に応じてSiriを柔軟に利用できるようになりました。音声入力とテキスト入力のスムーズな切り替えは、AIアシスタントの可能性を大きく広げるでしょう。
画像生成機能
Apple Intelligenceは、メッセージやノート、プレゼンテーションなどに、オリジナルの画像を簡単に追加できるようになります。
画像生成機能では、主に以下の機能が追加されています。
機能名 | 概要 |
---|---|
Genmoji | テキストや写真からオリジナルの絵文字を生成 |
Image Playground | テーマやアクセサリーを選択し、テキストで説明を入力してオリジナル画像を生成 |
Image Wand | Apple Pencilを使って粗いスケッチを洗練された画像に変換 |
これからのAIは、ユーザーの創造性を引き出すパートナーとしての役割も担っていくと考えられます。それぞれの機能について、詳しく見ていきましょう。
①Genmoji
Genmoji(ジェンモジ)は、ユーザーが独自の絵文字を生成できる機能です。Apple Intelligenceの力を借りて、テキストや写真から具体的な状況に合わせた絵文字を簡単に作成できるのが特徴です。
たとえば、「DJをやっているリス」や「チュチュを着てサーフボードに乗ったティラノザウルス」など、ユーザーの想像力を形にした絵文字が「メッセージ」アプリ内での生成が可能です。これらのGenmojiは、メッセージ内でステッカーとして使用したり、Tapbackで反応を示したりできます。
また、ライブラリ内の写真から特定の人物に似た絵文字の作成も可能です。友人や家族の写真を元にしたカスタム絵文字で、コミュニケーションがより楽しくなるでしょう。
Genmojiの使い方として想定されるのは、主に以下のとおりです。
機能 | 概要 |
---|---|
テキストベースの生成 | 具体的な状況を説明するテキストから絵文字を生成 |
写真ベースの生成 | ライブラリ内の写真から特定の人物に似た絵文字を生成 |
プレビューと改善 | 生成された絵文字をプレビューし、説明を追加して改善可能 |
メッセージアプリとの統合 | 生成された絵文字をステッカーとして使用したりTapbackで反応可能 |
Genmojiは、絵文字の新しい利用方法を切り開く機能と言えるでしょう。
②Image Plyaground
Image Playgroundでは、ユーザーがテーマやアクセサリーを選択し、テキストで説明を入力するだけで、オリジナルの画像を簡単に作成できます。
ChatGPTを利用している方は、DALL•E 3を想像するとわかりやすいかもしれません。
生成された画像は、Messages、Notes、Keynote、Freeformなど多くのアプリで利用できます。また、専用のImage Playgroundアプリも提供されます。
さらに、アニメーション、イラスト、スケッチの3つのスタイルから選択できるほか、ユーザーの写真ライブラリやメッセージの内容を元に、ユーザーに沿った画像を生成することも可能です。また、すべての画像生成がデバイス上で行われ、プライバシーが保護されるため安心して利用できます。
Image Playgroundで、Appleデバイス上で手軽に画像生成を体験してみましょう。
③Image Wand
Image Wandは、アプリ内でApple Pencilを使って粗いスケッチを洗練された画像に変換するツールです。
ユーザーはImage Wandを使って、ノートを視覚的に、かつ魅力的なものにできます。たとえば、ラフなスケッチを美しい画像に変換したり、空いているスペースに周囲の情報を使って画像を作成したりできます。
Image Wandは、Apple Pencilのツールパレット内にあり、Notesアプリ内で直接利用できます。さらに、Keynote、Freeform、Pagesなどのアプリや、Image Playground APIを採用している他社製アプリでも使用できます。
Image Wandは、以下のような使い方が考えられます。
アプリ | 利用方法 |
---|---|
Notes | 手書きのスケッチを洗練された画像に変換 |
Keynote | プレゼンテーションに使用する画像を作成 |
Pages | ドキュメント内に画像を作成・編集 |
Image Wandの登場により、誰でも簡単に印象的なコンテンツを作成できるようになるでしょう。
通知管理機能
Apple Intelligenceは、通知の優先順位を自動的に判断し、重要な通知を優先的に表示する機能を提供します。
この機能は、通知の内容を読み取り、緊急性の高いものを優先的に表示します。たとえば、レストランでの待ち合わせや午後の会議など、見逃せない情報をすぐに把握できるようにします。
Apple Intelligenceの通知管理は、ユーザーが重要な情報に集中し、不要な中断を減らすのに役立ちます。通知の氾濫に悩まされることなく、生産性を維持できるでしょう。
この機能は、現代社会における情報過多の問題に対する、Appleなりの解決策と言えます。AIを活用することで、ユーザーは通知に振り回されることなく、大切なことにフォーカスできるようになるのです。
メモリームービー作成機能
Apple Intelligenceは、写真やビデオを使って自動的にメモリームービーを作成する機能も備えています。
ユーザーは、家族の釣り旅行などのテーマを入力するだけで、関連する写真やビデオを選んでストーリー仕立てのムービーを作成できます。
Apple Intelligenceが、説明に基づいて最高の写真とビデオを選び、写真から特定されたテーマに沿ってチャプターに分かれたストーリーラインを作成してくれるのです。
Apple Intelligenceのメモリームービー機能は、大切な思い出を簡単に美しいビデオにまとめられる、画期的なツールと言えるでしょう。
Apple Intelligenceを日本語で使えるのは2025年以降
Apple Intelligenceを日本語で使えるようになるのは、2025年以降である可能性が高いとされています。
Apple公式によると、Apple Intelligenceの無料利用を、2024年10月から米国英語のみで開始するとされています。そして日本語、フランス語、スペイン語などは、今後1年にわたり実装されていく予定です。
ただし日本でも、Siriとデバイスの言語を英語(米国)に設定することによって、早期にApple Intelligenceを使えるようになります。英語を扱える方は、Apple Intelligenceへの早期アクセスにチャレンジしてみてもよいでしょう。
※現状ではまだ使用不可
Apple Intelligenceに使用されているモデルは何?
Apple Intelligenceは、ユーザーのプライバシーを守りながら高機能なAI体験を提供するために、独自のモデル構成を採用しています。具体的には、以下の2種類のモデルを組み合わせて利用しています。
- 30億パラメータのオンデバイス基本モデル
- Private Cloud Computeで動作するサーバーベース基本モデル
オンデバイスモデルは約30億パラメータを持ち、デバイス上で高速かつ効率的な処理を実現します。一方、サーバーベースモデルはより大規模な処理が必要な場合に利用され、Appleの独自サーバー上で動作します。
つまり、大規模な処理が必要ない日常タスクは自分のiPhone内のみで行われるため、高いプライバシーが保護されます。たとえば、写真編集やメッセージ生成などのタスクはデバイス上で迅速に処理され、複雑な自然言語処理やデータ分析はクラウド上で安全に行われます。
このようにApple Intelligenceには、生成AIのセキュリティリスクに対するAppleの工夫がみられます。
参考:Introducing Apple’s On-Device and Server Foundation Models(Apple公式)
OpenAIと組んだAppleの今後は?
AppleはApple IntelligenceとChatGPTの両方をデバイスに搭載することで、生成AIの普及をさらに進めようとしています。
将来的には、AppleがOpenAIの技術を取り入れることで、より高度な機能やAI駆動のデバイス間連携が実現すると期待されています。OpenAIにとっても、iOSのエコシステムに足がかりを得ることで、世界中のAppleユーザーにリーチできるようになるでしょう。
この2つのAIビックテック企業がどのように協力し、技術を世に送り出していくのか。今後の動向から目が離せません。
参考:OpenAI and Apple announce partnership to integrate ChatGPT into Apple experiences(OpenAI)
Apple Intelligenceで日常生活やビジネスを変革しよう
Apple Intelligenceは、これまで以上にAIを身近に感じられるアップデートです。
毎日使うスマホ・タブレット・MacにAIが組み込まれることで、Appleデバイスはより利便性の高いアシスタントになるでしょう。
また、2024年9月9日には、Apple Intelligenceのために設計されたiPhone16シリーズが発表されました。iPhoneでApple Intelligenceをフル活用したい方は、iPhone16シリーズが推奨されます。
Apple Intelligenceが使えるようになった際には、本記事を参考にして、機能に触れてみてください。
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