【実績者インタビューVol.6】年長者こそAIを使い倒して欲しいーー地方在住、完全未経験の私が50代でAIと出会って見つけた「新たな生き方」

【実績者インタビュー】では、SHIFT AIに所属し、AIを活用してユニークな実績を出している方々を『AIシフター』と銘打ち、インタビューを行います。彼らがどのような軌跡をたどり、どんな風にAIを活用しているのか。素朴な疑問をぶつけながら、その成功の秘訣を探ります。
今回は、標高1,000mの八ヶ岳南麓でシフォンケーキ専門店を営む高橋淳子さんに話を伺いました。シフォンケーキとAI、一見無関係にも思えますが、高橋さんは可愛いイラストやキャラクターをAIで作成し、お店のインスタグラム運用にAIをふんだんに活用しています。
50代後半でAIと出会い、仕事も暮らしもアップデートしてきた高橋さんのリアルなストーリーをお届けします。

職種 | 八ヶ岳シフォン工房 月のひるね店主 |
SHIFT AI受講歴 | 2025年1月に入会 |
受講した講座 | ライトニングトーク会 |
目次
地方移住によって手に入れた生活の余白
高橋さんは神奈川県・湘南エリアの大学で25年間、職員として安定した日々を過ごしていました。
「特に不満があったわけでもなく、仕事も生活もそれなりに満足していましたが、“八ヶ岳で暮らしたい”という思いがふと湧き上がったんです。」
「安定した職を捨てて大丈夫?」と周囲からは心配や反対の声も多く、いわゆる“ドリームキラー”の存在も感じたといいます。
「大学職員は安定しているし、辞めたらどうするの?と何度も言われました。でも、やりたいことをやらずに後悔したくなかったんです」
移住後は「八ヶ岳シフォン工房 月のひるね」というシフォンケーキの専門店を開業し、週末3日だけの営業スタイルを確立しています。
「平日は自分の時間や新しいチャレンジに使える“余白”が生まれました。」
地方移住によって手に入れた生活の余白が、AIへの挑戦につながりました。
AIへの好奇心で“100ページ漫画”に挑戦
当初はAIに興味がなかったという高橋さんですが、偶然「AI漫画」に出会ったことで、持ち前の好奇心が刺激されました。
「最初は自分には関係ないと思っていましたが、AI漫画に出会い、イラストやストーリーがAIで作れることに衝撃を受け、挑戦を決めました」
そして、転機となったのは、AI漫画制作コミュニティで開催していた「2ヶ月で漫画を1冊出版する」という企画でした。100ページ以上のAI漫画を作成するという条件に不安を感じながらも「せっかくの機会だし、やってみよう」と参加を決めます。
「ストーリー作りや構成、登場人物の設定、セリフ、イラスト生成まで、すべてAIと二人三脚。ChatGPTやClaude、Geminiで文章やアイデアを出し、AnifusionやCanvaなどのツールで画像を仕上げていきました。」
本業のケーキ店と両立しながら、約1ヶ月で100ページ超のAI漫画『世界一やさしい新NISA』のKindle出版を実現させました。
「全くの未経験でも、AIの力を借りればここまでできるんだと自信になりました。学びながら出版までできたのは、AI時代ならではの体験です」

時代の変化に乗り遅れないためにSHIFT AIに参加
Kindle出版を通して、AI活用の可能性を感じた高橋さんは、2025年1月末にSHIFT AIに参加しました。
「以前にもAI講座やウェビナーを受けたことがありましたが、その時はピンと来ませんでした。でも、AI漫画に挑戦したいという気持ちと、時代の変化のスピードに乗り遅れたくないという危機感から、今しかないと入会を決断したんです」
SHIFT AIの圧倒的な情報量と同じ志を持つ仲間の存在が参加の決め手でした。
「迷子になるくらい情報が多いですが、欲しい知識をピンポイントで探せるし、コミュニティの雰囲気も温かい。初心者にも優しく、分からないことを気軽に相談できる環境がありがたいです」
AI漫画制作の動画講座や実践型イベント、オンライン交流会などに積極的に参加している高橋さんですが、3分から5分程度の短い時間でプレゼンする「ライトニングトーク会」の登壇者にも立候補しています。
「AI漫画の失敗談や悩んでいたポイントを伝えたら、初めてAIを使う人の後押しになるんじゃないかと思って登壇を決めました」
生成AIで自分の新しい生き方を拓いた高橋さん。5月には2冊目の電子書籍「ひとり起業のための生成AI活用術」をkindleで出版しました。
「これからはAIを活用していない人たちに、私みたいに小さな事業主でもAIは活用して大きく変わることができるっていうのを伝えたいんです」

AIとの出会いによって仕事も趣味を生活も楽しめるように
その言葉の通り、AIを学び始めてから、仕事も暮らしも大きく変化しました。
「AIを使って漫画やイラストを制作し、SNS発信や商品のPRに活用できるようになりました。AIで効率化したことで、週末3日営業のスタイルを維持しながら、平日は新しいことにチャレンジしたり、自分の時間を大切したりできるようになったんです。」
また、AIの活用は仕事だけにとどまりません。知人の画家にAIを使って作品タイトルを提案したことも。「彼の絵を写真に撮ってChat GPTにタイトルを考えてもらったらドンピシャのタイトルが続々と出てきて。彼が半日も頭を捻りながら考えていたのが5分で終わったので驚かれました」
こんな風に、日常のちょっとした悩みやアイデア出しにもAIを活用しています。
「AIは仕事のためだけでなく、趣味や生活の中でも楽しめるもの。年齢や経験は関係ありません」

豊富な人生経験がAIの力を引き出す
高橋さんは「AIは年齢に関係はない」と指摘します。それどころか「人生経験が豊かな年長者ほどAIの力を引き出せる」と断言します。
「年齢を重ねて身に付けた表現力の引き出しが、AIへの指示の出し方にも生きてくると感じています。世代で区切るのは良くないとは思いますが、私達の世代は手紙からメール、PC、スマホへと対応してきました。様々な蓄積があるはずで、特に言語化して伝達するのは得意なはずなんです。その表現力と引き出しの多さがAIのアウトプットにも差として出てくると思うんですよ」
今後は、AIの楽しさや便利さを同世代や初心者にも伝えていく活動にも力をいれる予定です。
「特に年長者の方にお伝えしたいのは、やらない理由を考えるより、まずは触れてみてほしい。AIは仕事のためだけでなく、日常を豊かにするツールですから」
高橋さんの挑戦は、誰もが自分らしく、そして楽しくAIを使いこなせる時代が来ていることを体現しています。

(撮影:栗原洋平)
記事を書いた人

福住花和