OpenAIが最強推論モデル「o3」を発表!進化したポイントやリリース時期を解説
2024年12月21日(日本時間)、OpenAIから新モデル「o3」が発表されました。o3は、これまでのAIモデルの能力と比較して、突出した推論能力をもつ最新モデルです。
とはいえ、「o3って具体的に何がすごいの?」「従来のモデルとどう違うの?」「いつから使えるの?」など、疑問をもっている方も多いでしょう。
そこで本記事では、o3が従来モデルから進化したポイントや他モデルとの比較、リリース時期、そして今後の展望まで、徹底的に解説します。
本記事を読めば、o3の基本がすべてわかり、最新のAIトレンドをキャッチアップできるでしょう。
監修者
SHIFT AI代表 木内翔大
(株)SHIFT AI 代表取締役 / GMO他複数社AI顧問 / 生成AI活用普及協会理事 / Microsoft Copilot+ PCのCMに出演 / 国内最大級AI活用コミュニティ(会員9,000人超)を運営。
『日本をAI先進国に』実現の為に活動中。Xアカウントのフォロワー数は9.7万人超え(2024年12月現在)
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目次
o3とは?驚異的な進化と性能を解説
o3は、OpenAIが開発した、推論※に特化したAIモデルです。従来のAIモデルの多くは、特定のタスクや学習した知識の範囲内でのみ機能することが一般的でした。しかしo3はその枠を超え、未知のタスクや複雑な問題に対して、人間のように柔軟に対応できることを目指して開発されています。
※与えられた情報やデータに基づいて新しい知識や結論を導き出すこと
本章では、OpenAIから新しく発表されたo3の基本情報を解説します。
o3とは?o1から進化したポイント
o3は、OpenAIが以前に発表した高性能モデル「o1」から、未知のタスクへの適応力が大幅に強化されています。未知のタスクとは、たとえば、ある問題を解決するためのプログラミングコードを書いたり、難解な数学問題や複雑なパズルなどを解いたりすることなどが挙げられます。
この進化を証明するように、o3はo1シリーズと比較して、数学・プログラミング・博士課程レベル相当の科学的推論問題といった、高度な推論能力を必要とするテストで、より優れた結果を示しています。
上の画像から、o3はo1と比べて、どのタスクでも性能が高いことがわかります。
また、o3は複雑な問題を、より高速に、かつ少ないエネルギーで処理できるようになりました。これは、AI技術の進化が、効率的で環境に優しい社会の実現に貢献できる可能性を示唆しています。
ARC-AGIベンチマークでも高得点を獲得
o3の性能を測るため、前述したテストのほかに「ARC-AGI」という特別なテストが行われました。ARC-AGIとは、AIにとって非常に難しいタスクを集めたテストで、人間にとっては比較的簡単でも、AIがなかなか正解できない問題が多数含まれています。
このテストは、AIの「汎化能力」、つまり未知の状況に対応する能力を測ることを目的としています。o3は、このテストで過去のAIモデルを大きく上回るスコアを記録しました。
特に注目すべきは、o3が「高効率(LOW)モード」で記録した75.7%というスコアです。このスコアは、AIが与えられた問題をただ解くだけでなく、効率的に、より少ないコストで解決策を見つけることができることを示しています。
さらに、o3は「高計算量(HIGH)モード」では、87.5%というさらに高いスコアを達成しました。これは、o3がより多くの計算資源を使うことで、さらに高い性能を発揮できることを示唆しています。
ARC-AGIでの高いスコアは、o3が非常に高い知能をもつことを示唆しており、今後のAI研究や社会に影響を与える可能性があります。
o3-miniのリリースも発表!
今回の発表では、o3の小型版である「o3-mini」のリリースも同時に発表されました。o3-miniは、o3の優れた性能を継承しつつ、より軽量で高速な処理を可能にしたモデルです。o3-miniは、リソースが限られた環境でも、高度なAI機能を活用できるようにすることを目的として開発されました。
発表動画では、o3-miniのパフォーマンスを試すデモンストレーションが行われ、高速性と効率性が示されました。また、o3-miniは、プログラミングなどの複雑なタスクもこなすことができ、幅広い分野での活用が期待されています。
また、デモンストレーションから、o3-miniは推論の労力を調整できる複数のモードを備えていることが示されました。シーンにあった推論レベルを選択できることにより、速度を求める場合は短時間、正確性が必要な場合は長時間の推論といったように、使い分けが可能になると考えられます。
※上画像のlow・medium・highに該当。確定情報がないため推察である点をご了承ください。
o3-miniの登場により、より低コスト・高速に推論モデルを使用できる環境を整備できる可能性が高まりました。
o3はいつから使える?料金は?
2024年12月20日時点では、o3はまだ一般公開されておらず、利用はできません。しかし、OpenAIは、o3の高速かつ効率的なモデルである「o3-mini」を、2025年1月末に一般公開する予定であることを発表しました。
最初の公開は、「ChatGPT Pro」プランからになる可能性が高いと予想されます。ChatGPT Proは月額200ドル(約3万円)の有料プランです。o3-miniの優れた性能を最大限に活用したいユーザーにとっては、有力な選択肢となるでしょう。ChatGPT Proでは現在、o1 proやSoraなど、OpenAIの最高性能モデルを活用できます。
最新の情報については、OpenAIの公式サイトや、関連するニュース記事をご確認ください。
参考:OpenAI公式X
o3やo3-mini、GPTといった高性能モデルを扱うために必要なのが、モデルやプラットフォーム(o3やGPTの場合はChatGPT)への理解と、指示の仕方(プロンプトエンジニアリング)です。これらのスキルについて、弊社SHIFT AIではChatGPT活用セミナーで解説しています。ご興味のある方は、以下のリンクから詳細を確認してみてください。
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o3の内部構造に迫る!なぜこんなに高性能なのか?
o3が、これほどまでに高い性能を発揮できる理由は何でしょうか?その秘密は、従来のAIモデルとは異なる、o3の独自の内部構造と処理プロセスにあります。o3は、単に大量のデータを学習するだけでなく、複雑な推論を可能にするためのメカニズムを備えています。
従来のAIモデルは、与えられた質問に対して、過去の学習データにもとづいて最も適切な答えを「検索」するような仕組みでした。しかし、o3はそれだけでなく、与えられた問題を解決するための「プログラム」を自ら生成し、実行できます。これは、人間が複雑な問題を解く際に、頭の中でさまざまな知識や思考プロセスを組み合わせるのと似ています。o3は、この能力を「連鎖的な思考(Chain of Thought: CoT)」と呼ばれる技術を活用して実現しています。
CoTは、o3が問題を段階的に分解し、それぞれのステップで論理的に思考することを可能にします。さらに、o3は問題を解く過程で、複数の解決策を試行錯誤し、最も適切な答えを選択できます。o3は、この試行錯誤のプロセスを、高速かつ効率的に行うことができるため、従来のAIモデルでは困難だった複雑な問題や、未知の状況に対応することができるのです。
さらに、o3の内部では、知識を柔軟に再構成するメカニズムが働いています。従来のAIモデルは、学習した知識をそのまま利用することが基本でしたが、o3は、既存の知識を組み合わせて、新しい解決策を生成できます。この能力は、AIが単なるツールではなく、人間の知的なパートナーへと進化するための重要な要素といえるでしょう。
o3の課題と今後の展望
o3は非常に高い性能を発揮しますが、まだ完璧なAIとはいえません。たとえば、以下の課題が挙げられます。
課題 | 詳細 |
---|---|
人間の直感や感情の理解 | 芸術作品の美しさや人間関係の微妙なニュアンスなど、人間の感情や直感を完全に理解することが難しい。 |
簡単なタスクでのミス | 複雑な処理が求められる場面では優れるが、単純なタスクでは誤りを起こすことがある。 |
未知の状況への完全な適応 | まったく予測不可能な状況や、学習データにない新しい状況への対応が不十分な場合がある。 |
データの偏りによるバイアス | 学習データの偏りにより、不公平または偏った回答をする可能性がある。特に文化や性別に関する質問で影響が出ることがある。 |
このように、o3は世界最高性能のモデルでありながら、人間の活動を完璧にサポートする能力までは備えていません。現在は、これらの課題を克服するために、さまざまな研究開発が進められています。
コラム:o3はAGIといえるのか?
o3の驚異的な性能は、AIの究極目標であるAGI(汎用人工知能)の実現に近づいているのか、という問いを投げかけます。AGIとは、人間と同等以上の知能を持ち、あらゆる知的活動を自律的に遂行できるAIを指します。
o3は、ARC-AGIというAIの適応能力を測る難関テストで、過去のどのモデルよりも高いスコアを記録しました。これは、o3が単なる知識の記憶だけでなく、推論によって未知の問題を解決する能力を獲得しつつあることを示唆しています。
しかし、o3は、まだ学習データやプログラムされた範囲内でしか活動できません。複雑な推論やプログラミングは得意ですが、日常的な会話や、状況の理解においては課題が残ります。また、o3は現実世界と直接接触できないため、自己学習や環境への適応にも限界があります※。
※これは、記号接地問題と呼ばれる、AIが扱う記号(単語やコードなど)と現実世界との対応関係をAI自身が理解することが難しいという問題の一側面を示します
さらに、ARC-AGIは特定のタスク遂行能力を測る指標であり、高得点だからといってAGIを指すわけではありません。そのためo3は、AGIに近づいているといえるものの、現時点ではまだAGIとは呼べないでしょう。しかし、o3が示した推論能力は、AIが人間の知能に近づく上で重要な一歩となります。今後の研究開発により、o3がさらに進化し、AGI実現を前進させることを期待しましょう。
o3のリリースに備えてAIスキルを磨いておこう
o3とo3-miniは、とくに推論能力に優れており、既存のAIモデルと比較して、より高度なタスクをこなせる可能性を秘めています。2つのモデルのうち、o3-miniは2025年初頭に一般公開される予定です。これらのモデルを使いこなし、ポテンシャルを最大限に引き出すことができれば、ビジネスや研究開発などさまざまな分野で、一歩先を行くことができるでしょう。
o3やo3-miniの能力を最大限に引き出すには、適切にAIを使うためのスキルが不可欠です。そのため、今のうちからAIに関する知識やスキルを磨いておくことが重要です。
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記事を書いた人
SEOメディア責任者
大城一輝
フリーランスとしてライター、ディレクター、生成AIコンサルタントとして活動している。AI活用の講師も多数経験。
SHIFT AIではSEOメディア運用を担当。
また、SHIFT AIのモデレーターとしてコミュニティ運営や講師にも携わっている。
G検定・生成AIパスポート・Generative AI Test合格
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