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ChatGPTに社内データを学習させる方法! 注意点や安全性・活用例も

ChatGPTは今や幅広い業界で活用されていますが、「自社データを学習させるにはどうすればいいの?」と疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ChatGPTに社内データを学習させる方法をわかりやすく解説します。

さらに、社内データ学習のメリットや安全性・注意点・活用事についても取り上げます。

本記事を読めば、ChatGPTに社内データを学習させる方法を理解できるだけでなく、自身の目的やレベルに合った適切な方法を選び、業務効率化・生産性向上を実現するための第一歩を踏み出せるようになるでしょう。

ぜひ最後まで読み、参考にしてみてください。

監修者

SHIFT AI代表 木内翔大

(株)SHIFT AI 代表取締役 / GMO他複数社AI顧問 / 生成AI活用普及協会理事 / Microsoft Copilot+ PCのCMに出演 / 国内最大級AI活用コミュニティ(会員9,000人超)を運営。
『日本をAI先進国に』実現の為に活動中。Xアカウントのフォロワー数は9.7万人超え(2024年12月現在)

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ChatGPTに社内データを学習させる方法5選

まずは、ChatGPTに社内データを学習させる方法を紹介します。

代表的な方法には、以下の5つがあります。

  • プロンプトエンジニアリング
  • RAG
  • ファインチューニング
  • エンべディング
  • API連携

各手段の特徴やメリット・デメリットを把握し、あなたの目的やレベルに合った手段を選んでみてください。

ChatGPTに自社データを学習させる方法 一覧表

方法特徴メリットデメリット
プロンプトエンジニアリング指示文を工夫して回答を引き出す手法
モデルの再訓練不要
導入が簡単・低コスト・迅速専門スキルが必要、大規模データに不適
RAG外部データベースをリアルタイムで検索して回答に活用最新データの活用、大規模データ処理が可能高度な技術要件あり、検索負荷の課題
ファインチューニング自社データで再訓練し、用途特化型モデルを構築高精度な応答、業務プロセスへの最適化高コスト、技術要件が高い
エンべディングデータをベクトル化し、検索・処理を効率化検索性能の向上、データ活用の柔軟性データ品質管理と更新作業が必須
API連携外部システムと連携してデータをリアルタイム処理業務システムとの統合性、運用の柔軟性初期構築に時間とコストが必要

①プロンプトエンジニアリング【簡単】

プロンプトエンジニアリングは、ChatGPTへの指示文を工夫することで、特定の回答を引き出す方法です。

自社データを直接モデルに学習させるのではなく、テキストやデータをもとに質問や指示を与えることで目的を達成します。

最も簡単でコストも低いため、誰でも手軽に試しやすい手法です。特に、初期段階でのテストやアイデア検証に適しています。

ただし効果的に回答を引き出すには、指示文の設計力が求められます。

また、扱えるデータ量に制限があるため、大規模なデータを扱う際には不向きです。

プロンプトエンジニアリングでのデータ学習の手順

  1. 対象データを整理する: 社内で利用しているFAQ、マニュアル、顧客対応記録などを整理し、ChatGPTに的確な指示ができるよう情報の構造化を行います。
  2. 指示の設計: 自社データの活用を前提に、特定の質問に対して関連する情報を引き出すためのプロンプトを設計します。
  3. データを取り込む: 必要に応じて、ChatGPTが参照するデータをアップロードし、具体的な情報に基づいて回答が生成されるようにします。
  4. 試行と改善: 回答の精度を確認しながら、プロンプトの設計を改善します。例えば、情報が不足している場合は、必要な追加データを用意することで効果が高まります。

②RAG(Retrieval-Augmented Generation)

RAG(Retrieval-Augmented Generation)とは、社内データを外部データベースとして用いて、リアルタイムで検索しながらChatGPTに統合する方法です。

この手法を使えば、膨大なデータや頻繁に更新される情報を効率よく活用できます。

最新で的確な回答を引き出せる点が大きな魅力ですが、その分、実装には高度な技術と知識が必要です。

また、検索を伴うため即時性が求められる場面には適さない場合もあります。

RAGでのデータ学習の手順

  1. データの準備: 製品仕様書、カスタマーサポートの記録、更新頻度の高いFAQなどの社内データをデジタル化し、データベースに保存します。
  2. データベースとChatGPTの連携: 自社データベースを検索可能な状態にし、ChatGPTと連携させます。たとえば、顧客からの質問が入力されると、それに応じたデータがデータベースから引き出され、ChatGPTの回答に統合される仕組みを構築します。
  3. 学習データの拡充: ChatGPTのプロンプト設計に、自社データベース内の情報を取り込む方法を設定します。これにより、常に最新の情報に基づいた回答が可能になります。
  4. 運用の最適化: ChatGPTが提供する回答が正確かつタイムリーであることを保証するため、データベースを定期的に更新します。また、回答の質をモニタリングし、データの不足や精度の問題を解決します。

③ファインチューニング

ファインチューニングとは、特定のデータを使ってChatGPTを再訓練し、業務や用途に最適化されたモデルを作り上げる方法です。

直接モデルを訓練するため、自社の専門データに特化した高精度な応答を生成できるようになります。

しかし、高度な技術力やコストが必要であり、さらにモデルのセキュリティや著作権に対する配慮も重要な課題となります。

ファインチューニングでのデータ学習の手順

  1. 学習用データの収集: 過去の問い合わせ内容とその回答、業務フロー、マニュアルなど自社データを学習用に整理します。
  2. データの形式化: ChatGPTに学習させるデータを質問と回答の形式で整えます。
  3. モデルの調整: 自社データを用いて、ChatGPTを再訓練します。このプロセスで、モデルが自社特有の知識や業務フローに基づいて回答を生成できるようになります。
  4. 結果の評価と改善: 学習後のモデルを実際に使ってテストし、回答が適切であるか確認します。誤答や曖昧な回答があれば、追加の学習データを用意してモデルを再調整します。

④エンべディング

エンべディングは、データを特定のベクトル形式に変換して、類似検索や情報処理を効率化する手法です。

この技術を活用することで、ChatGPTが自社データをもとに柔軟な応答を提供することが可能になります。

特に、検索機能を強化したり、膨大な情報を精密に整理したりする際に効果を発揮しますが、データの正確なベクトル化や継続的な更新作業が求められます。

エンべディングでのデータ学習の手順

  1. データの準備とベクトル化: 自社データ(例: 製品カタログ、社内文書)をコンピュータが理解できる形式に変換します。これにより、情報間の関連性を数値化できます。
  2. 検索システムの構築: ベクトル化したデータを基に、特定の質問に応じて関連性の高い情報を検索する仕組みを整備します。
  3. ChatGPTとの統合: ベクトル検索で得られた関連情報をChatGPTに提供し、回答の中に適切に反映させます。たとえば、顧客が「〇〇の在庫状況は?」と質問した場合、その回答に関連する情報をリアルタイムで取り込みます。
  4. データのメンテナンス: 新しいデータが追加された際にはベクトル化とデータベースの更新を行い、情報の正確性と最新性を維持します。

⑤API連携

API連携は、ChatGPTと外部システムを統合し、自社データを活用して回答や処理を行う方法です。

このアプローチでは、CRM(顧客管理システム)やERP(基幹業務システム)などの既存の業務システムとChatGPTを接続し、シームレスな情報共有や自動化を実現します。

顧客サポートのチャットボットにおいて、顧客データベースを参照して個別の対応を行うようなケースが典型的な活用例です。

また、売上や業績データを自動で収集・分析し、その結果をレポート形式で出力するなど、効率的なデータ活用も可能です。

APIでのデータ学習の手順

  1. APIの設定: CRM、ERPなどの自社の既存システムとChatGPTを接続するAPIを準備します。これにより、リアルタイムでデータをやり取りできる基盤を作ります。
  2. データの取り込みと活用: ChatGPTが自社システムのデータを利用して、回答や分析を行う仕組みを構築します。たとえば、顧客の購入履歴や在庫情報を取り込むことで、よりパーソナライズされた回答を提供します。
  3. 回答プロセスの最適化: ChatGPTが取得したデータを活用し、ユーザーの質問に対して効率的かつ正確な回答を生成します。具体的には、リアルタイムでのレポート生成や自動化された分析結果の提示が可能です。
  4. 運用と拡張: API連携を活用した業務フローを継続的にモニタリングし、さらなる業務効率化や自動化の機会を見つけます。たとえば、他のシステムとの連携範囲を広げることで、より高度な回答や分析を実現します。

ChatGPTの基本的な特徴や使い方を確認したい方hが、以下の記事もあわせて確認してみてください。

ChatGPTの使い方記事へ遷移します。

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ChatGPTに社内データを学習させるメリットは?

続いて、ChatGPTに社内データを学習させるとどのようなメリットがあるのかを解説します。

主なメリットは以下の3つです。

  • 自社に特化した専門的な回答を得られる
  • 業態・業務に応じた回答を得られる
  • ハルシネーションリスクを軽減できる

以下より、1つずつ詳しく解説します。

①自社に特化した専門的な回答を得られる

ChatGPTに特定業界の専門用語や知識を学習させることで、業界特化型のAIとして活用できます。

たとえば、医療分野では医療用語や診療プロセス、不動産分野では物件情報や契約書の形式などを取り込むことで、業界の専門家と同等の回答が可能になります。

これにより、顧客対応や業務サポートにおいて専門性の高いサービスを迅速に提供できます。

②業態・業務に応じた回答を得られる

独自の顧客情報や取引履歴、業務ノウハウをChatGPTに学習させることで、業態や業務に適応した高精度な回答を生成できます。

顧客ごとのニーズに応じたパーソナライズされたサービス提供が可能になり、顧客満足度の向上に直結します。

また、社内の業務効率化にも寄与し、従業員が必要な情報を瞬時に取得する環境を構築できます。

③ハルシネーションリスクを軽減できる

社内の信頼性の高いデータを用いることで、ChatGPTが誤情報を出力するリスクを軽減し、正確かつ信頼性の高い回答を引き出す環境を整えられます。

これにより、顧客対応や社内業務でのトラブル防止が期待できます。

ChatGPTに社内データを学習させても安全?

ChatGPTに社内データを学習させる場合、直接学習は行われず、セッション内での一時的な利用に留まります。

セキュリティとプライバシーに配慮し、データはモデル改善の目的で使用されません

ただし、重要な情報のアップロードは慎重に行い、機密データの場合は社内での暗号化や匿名化のプロセスを取り入れることが推奨されます。

ChatGPTに社内データを学習させる際の3つの注意点

続いては、ChatGPTに自社データを学習させる際の注意点について解説します。

特に注意すべき点は、以下の3つです。

  • 情報の質と構造によって精度が左右される
  • 機密情報や個人情報の取り扱いに留意する必要がある
  • 著作権に関する法律や規制への配慮が不可欠である

注意点を押さえることで、より高精度で安全性の高いChatGPT運用が可能になります。

逆に軽視すれば、モデルの精度低下や情報漏洩といった深刻なリスクを招くおそれがあります。しっかり把握しておきましょう。

①情報の質と構造によって精度が左右される

ChatGPTの応答の精度は、提供するデータの質と構造に大きく依存します。そのため、正確で一貫性のある情報を準備することが重要です。

より信頼性の高い回答を得るためには、曖昧さやエラーが排除され整理されたデータを投入しましょう。

特にFAQやナレッジベースを作成する際は、簡潔かつ関連性の高い情報を提供することで、モデルの性能を最大限に引き出すことが可能です。

②機密情報や個人情報の取り扱いに留意する必要がある

機密情報や個人情報の取り扱いには細心の注意が必要です。

データの匿名化やアクセス制限を行い、重要な情報が特定されないようにすることで、情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。

また、GDPRや個人情報保護法などの法規制を遵守し、安全な運用体制を構築することが求められます。

③著作権に関する法律や規制への配慮が不可欠である

社内データに他者が権利を持つ著作物が含まれる場合、その利用には慎重を期す必要があります。

データ使用前に権利の確認を行い、必要がある場合には、権利の持ち主から許可を取得しましょう。

また、商用利用に制限があるデータやコンテンツを扱う場合にも、適切な手続きや・対応を行ってください。

法的リスクを回避するためにも、事前に安心してデータを活用できる環境を整えることが重要です。

ChatGPTに社内データを学習させると何ができる?活用例を紹介

最後に、ChatGPTに社内データを学習させることでどのようなことが実現できるのか、活用例を紹介します。

  • 社内FAQチャットボット
  • 文書生成ツール
  • 営業サポートツール
  • カスタマーサポート
  • プロジェクト管理の補助

以下より1つずつ解説します。

社内で活用する際のイメージを湧かせながら、参考にしてみてください。

①社内FAQチャットボット

多くの企業では、従業員からの問い合わせ対応に多くのリソースを費やしています。

ChatGPTを活用して社内のマニュアルデータを学習させることで、従業員がよくある質問に即座に答える自動応答システムを構築することが可能です。

ITサポートや福利厚生に関する基本的な質問への対応が効率化され、サポート部門の負担軽減と従業員満足度の向上が期待できます。

②文書生成ツール

契約書や報告書の作成など、定型的な文書が求められる業務においてもChatGPTは有用です。

あらかじめテンプレートや専門用語を学習させておくことで、文書のドラフト作成を迅速に行えます。

作成時間の短縮だけでなく、フォーマットの一貫性や内容の正確性を確保することが可能です。特に、社内で標準化された書式を多用する業務においては、業務の効率化に大きく貢献します。

③営業サポートツール

営業活動では、顧客データや商品情報を活用して適切な提案を行うことが重要です。

ChatGPTを利用して過去の提案書や営業データを学習させることで、営業担当者が顧客に合わせた提案を迅速に準備するサポートツールとして活用できます。

営業プロセス全体の効率化を促進し、顧客対応の質を向上させると同時に、商談の成約率を高める効果も期待されます。

④カスタマーサポート

カスタマーサポートにおいてもChatGPTは効果的です。

顧客対応履歴やFAQを学習させることで、チャットボットが個々の顧客の状況に合わせた回答を提供できるようになります。

たとえば、過去の購入履歴や問い合わせ履歴をもとに、顧客に適した商品や解決策を提案することが可能です。迅速で的確な対応が実現し、顧客満足度の向上につながります。

⑤プロジェクト管理の補助

ChatGPTをプロジェクト管理ツールと連携させることで、タスクの進捗状況やスケジュールの調整に役立てられます。

過去のプロジェクトデータを学習させることで、次回以降のプロジェクト計画の改善案を提示したり、予測されるリスクを示唆したりと、プロジェクトの円滑な運営を支援します。

企業におけるChatGPTの具体的な活用アイデア・事例を確認したい方は、以下の2つの記事もあわせて参考にしてみてください。

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この記事では、ChatGPTの社内データ学習について、方法やメリット、注意点、活用事例などを網羅的に解説しました。

ChatGPTに社内データを適切に学習させることで、日常業務の効率化や生産性の向上といった大きな可能性が期待できます。

しかし、その効果を最大限に引き出すには、自社や自身に合った方法を選ぶとともに、安全性やデータの取り扱いに細心の注意を払うことが重要です。

ぜひ今回の記事を参考に、自社のChatGPT活用を一歩進めてみてください。

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どなたでも参加可能ですので、ぜひこれを機会に詳細を確認してみてください。

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記事を書いた人

福原瑶子

SEO&ライティング歴5年以上。
ChatGPTやClaude、Notion AIのような文章生成AIツールやMidjourneyのような画像生成AIツールを駆使し、記事作成やプライベートにも積極的に活用。
生産性をアップできる便利なアプリやツール・拡張機能の情報を探すのが好き。