仕様書作成は、システムやITサービスを開発するうえで重要なプロセスです。
一方で、時間がかかるあまり納期に追われたり、品質のばらつきが原因でプロジェクトの進行に支障をきたしている場合もあるでしょう。
品質低下のリスクを解消しながら、仕様書作成のプロセスがスムーズに進行できる方法があるとしたら、知りたい人は少なくないはずです。
OpenAI社が開発した生成AI「ChatGPT」を使用すれば、品質を担保しながら仕様書作成を効率化可能です。
本記事ではChatGPTを使用して仕様書を作成する手順について5つのステップで紹介します。また、各ステップで使用するプロンプトの例や、品質を確保する方法についてもまとめます。
ChatGPTを使った仕様書作成の具体的な手順を知り、業務の効率化をはかりたいIT部門責任者やプロジェクトマネージャーは最後までご覧ください。
|監修者
(株)SHIFT AI 代表取締役 / GMO他複数社AI顧問 / 生成AI活用普及協会理事 / Microsoft Copilot+ PCのCMに出演 / 国内最大級AI活用コミュニティ(会員5,000人超)を運営。
『日本をAI先進国に』実現の為に活動中。Xアカウントのフォロワー数は9万人超え(2024年9月現在)
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ChatGPTによる仕様書作成の課題と現状
引用:Open AI
仕様書作成は、システム開発プロジェクトにおいて重要な役割を果たしています。しかし、従来の方法では以下のような課題が存在していました。
- 時間とリソースの消費:詳細な仕様書の作成には多大な時間と労力が必要です。仕様書作成に40時間以上が必要との説もあります。
- 一貫性の欠如:複数の担当者が関わることで、記述スタイルや詳細度にばらつきが生じてしまいます。
- 更新の困難さ:要件変更に伴う仕様書の更新が煩雑で、最新版の管理が困難です。
- 専門知識の必要性:高品質な仕様書作成には、技術的知識とドキュメンテーションスキルの両方が求められます。
上記のような課題があるうえに、従来のレガシーシステムを更新する際には、ブラックボックスされたIT資産を要件定義しなおさなければなりません。
ほかのシステムとの連携を想定すると、難易度はさらに上がってしまうでしょう。
これらの課題に対し、ChatGPTを活用した仕様書作成が注目されています。
しかし、ChatGPTの活用にはまだ課題も残されています。たとえば、機密情報の取り扱いや、AIが生成した内容の正確性の検証などです。
これらの課題に対処しつつ、ChatGPTの利点を最大限に活用する方法を模索して効率化に取り組めば、同業他社に対して優位に立てるでしょう。
ChatGPTがもたらす革新的な解決策
ChatGPTは、仕様書作成プロセスに革新的な解決策をもたらしています。
たとえば、ChatGPTを用いて仕様書作成を行うと、人の手で作成するよりも大幅な時間短縮が可能です。
システム要件や画面フローなどをChatGPTに生成させることで、要件定義の時間が10分の1になった事例もあります。
ほかにも、ChatGPTを用いると一貫性の向上、標準化と品質向上などの効果が期待できます。
さらに、一度仕様書作成に適したプロンプト設計ができれば、高品質な仕様書が再現性高く作成可能です。
ChatGPTがもたらす革新的な解決策は、従来の課題を解決するだけでなく、組織的な仕様書の品質向上と開発プロセス全体の効率化に貢献するでしょう。
ChatGPTを活用した仕様書作成の5ステッププロセス
ChatGPTを活用して仕様書を作成するには、以下の5つのステップが重要です。
- ステップ1:要件定義の自動化
- ステップ2:仕様書テンプレートの生成
- ステップ3:詳細な機能仕様の作成
- ステップ4:非機能要件の定義
- ステップ5:効率的なレビューと修正
本章では5つのステップについてそれぞれ解説します。
ステップ1:要件定義の自動化
要件定義はシステムやサービスを開発する際に、どのような内容にするか、どこまで実装するかなど要件をまとめる工程です。
仕様書作成の出発点であり、プロジェクトの成功を左右する重要なステップです。
対象となるシステム・サービスの概要を決め、機能や画面フロー、画面の詳細化の順でChgtGPTに指示すれば要件定義の大半が自動化できます。
実際に40時間かかっていた要件定義を4時間で終わらせたという事例もあるほどです。
ChatGPTを用いた要件定義の作成方法について、別の記事で詳しく紹介しています。
より詳細な情報を知りたい方は、4つの具体的なシステムの要件定義を行っている下記のリンク先をご覧ください。
ステップ2:仕様書テンプレートの生成
品質にばらつきのない仕様書を作成するためには、共通するテンプレートが必要不可欠です。
一般的なシステムであれば、簡単なプロンプトを指示するだけで必要な内容が生成されます。
具体的に、「顧客管理システムの仕様書テンプレートを作成してください」と指示した結果がこちらです。
顧客管理システム(CRM)の仕様書テンプレートを作成しました。以下の構成に従い、具体的な要件に応じて詳細を調整してください。
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# 顧客管理システム(CRM)仕様書
## 1. はじめに
- **目的**: 本仕様書は、顧客管理システムの設計および開発における基本要件を定義することを目的としています。
- **対象読者**: プロジェクトマネージャー、開発者、テスト担当者、関係者。
- **背景**: 顧客情報の一元管理と営業活動の効率化を目指し、CRMシステムを導入する。
## 2. システム概要
- **システム名称**: 顧客管理システム(CRM)
- **開発対象範囲**: 顧客情報の登録、管理、検索、営業活動の管理、レポート機能、連携API等。
- **利用者**: 営業担当者、管理者、カスタマーサポート担当者
## 3. 機能要件
### 3.1 顧客情報管理
- **顧客登録**: 新規顧客の登録機能(企業名、担当者名、連絡先、住所、業種、売上規模など)
- **顧客検索**: フィルター機能付きの検索機能(企業名、業種、地域、売上規模などによる検索)
- **顧客編集**: 既存顧客情報の更新機能
- **顧客削除**: 不要な顧客情報の削除(論理削除または物理削除)
### 3.2 営業活動管理
- **商談履歴管理**: 商談の履歴管理(日時、担当者、内容、結果)
- **タスク管理**: 営業タスクの登録、編集、完了処理
- **フォローアップリマインダー**: 自動通知機能(次回フォローアップ日など)
### 3.3 レポート機能
- **営業成績レポート**: 各担当者の営業成績を集計し、レポートとして出力(CSV、PDF形式)
- **売上予測**: 予測アルゴリズムを用いた売上予測レポート
- **カスタムレポート**: 利用者が任意の項目で作成できるレポート機能
### 3.4 連携機能
- **外部システム連携**: 他の業務システムとの連携(ERP、MA、SFA等)
- **メール連携**: 顧客に対するメールの送受信ログ管理
- **API連携**: 他社ツールとのAPI連携機能(顧客データの連携)
## 4. 非機能要件
### 4.1 パフォーマンス要件
- **応答時間**: 各操作の応答時間は2秒以内。
- **データベース処理速度**: 顧客データ500万件に対応可能な処理能力。
### 4.2 セキュリティ要件
- **アクセス権管理**: ユーザーロールごとのアクセス権設定(管理者、営業担当者、サポート担当者)
- **データ暗号化**: 顧客データおよび通信データの暗号化(SSL/TLS)
- **監査ログ**: 全操作の監査ログ記録機能
### 4.3 可用性・信頼性
- **稼働時間**: システム稼働率99.9%以上。
- **バックアップ**: 毎日自動バックアップを実施し、障害時の迅速なリカバリー。
## 5. インターフェース
- **UI/UX**: ユーザーフレンドリーなインターフェースデザイン(シンプルで直感的な操作性)
- **レスポンシブ対応**: デスクトップ、タブレット、スマートフォンに対応。
## 6. テスト計画
- **テスト環境**: 開発環境、ステージング環境、運用環境
- **テスト項目**: 単体テスト、結合テスト、負荷テスト、セキュリティテスト
- **UAT(ユーザー受け入れテスト)**: 実際の利用者によるテスト
## 7. 導入・運用計画
- **導入スケジュール**: XX年XX月XX日までに導入完了予定。
- **運用・保守体制**: 24/7対応のサポート体制と定期メンテナンス
## 8. リスク管理
- **主要リスク**: 顧客データの漏洩、システムダウン、データ破損。
- **リスク対策**: 定期的なセキュリティチェック、障害時のリカバリープラン。
## 9. コスト見積もり
- **開発コスト**: 人件費、ライセンス費用、インフラコスト等。
- **運用コスト**: サーバー費用、保守費用、サポート費用。
---
このテンプレートは、要件に合わせてカスタマイズして使用してください。
システムの具体的要件や、個別のニーズに合わせてプロンプトの完成度を高めていきます。
ステップ3:詳細な機能仕様の作成
仕様書のテンプレートが作成できれば、次のステップは詳細な機能仕様の作成です。ChatGPTを活用すれば、詳細な機能仕様の作成が短時間で実行できます。
指示に従いChatGPTは、システムに必要な詳細機能を洗い出し、それぞれの機能について細かく出力します。
「顧客管理システムの詳細な機能仕様を出力してください」と指示すると、下記の結果が生成されました。
顧客管理システム(CRM)の詳細な機能仕様を以下に示します。これは、各機能がどのように動作するべきかを具体的に定義したものです。各項目は開発チームが参照しやすい形に記述されています。
---
# 顧客管理システム詳細機能仕様書
## 1. 顧客情報管理機能
### 1.1 顧客登録
- **概要**: 新規顧客をシステムに登録する機能。
- **入力項目**:
- 企業名(必須、文字列、最大100文字)
- 担当者名(必須、文字列、最大50文字)
- メールアドレス(必須、メール形式)
- 電話番号(必須、電話番号形式)
- 住所(任意、文字列、最大200文字)
- 業種(必須、プルダウン選択形式)
- 売上規模(任意、数値、通貨形式)
- **バリデーション**:
- メール形式の正当性チェック
- 電話番号形式の正当性チェック
- 必須項目未入力時にエラー表示
- **画面操作**: 入力フォームから新規顧客情報を入力し、「登録」ボタンをクリック。
- **エラー処理**: バリデーションエラーの場合、入力エリアにエラー詳細を表示。
- **成功処理**: 正常に登録された場合、「登録完了」のメッセージを表示し、顧客一覧ページにリダイレクト。
### 1.2 顧客検索
- **概要**: 顧客情報を指定の条件で検索する機能。
- **検索条件**:
- 企業名(部分一致検索)
- 担当者名(部分一致検索)
- 業種(プルダウン選択形式)
- 地域(都道府県、プルダウン選択)
- 売上規模(範囲指定可能)
- **出力項目**:
- 企業名、担当者名、メールアドレス、電話番号、業種、売上規模
- **フィルタリング**: 各検索条件に基づきリアルタイムで結果をフィルタリング。
- **表示形式**: 検索結果は表形式で表示し、1ページあたり20件ずつのページネーション。
- **エクスポート**: CSV形式でのエクスポート機能(検索結果をダウンロード可能)。
### 1.3 顧客編集
- **概要**: 既存の顧客情報を編集・更新する機能。
- **操作方法**: 顧客一覧画面から対象顧客を選択し、編集ボタンをクリック。
- **編集可能項目**: 顧客登録時の全項目(企業名、担当者名、連絡先など)
- **エラー処理**: 必須項目が未入力の場合、エラーメッセージを表示し、再入力を促す。
- **成功処理**: 編集完了時に「編集完了」メッセージを表示し、顧客詳細画面へリダイレクト。
### 1.4 顧客削除
- **概要**: 既存の顧客情報を削除する機能(論理削除/物理削除)。
- **操作方法**: 顧客一覧画面または詳細画面から削除ボタンをクリックし、削除確認ダイアログを表示。
- **削除方法**:
- **論理削除**: データベース上で顧客データに削除フラグを付与し、表示対象から除外する。
- **物理削除**: データベースから顧客データを完全に削除(通常は論理削除を推奨)。
- **確認ダイアログ**: 「削除してもよろしいですか?」という確認メッセージを表示し、「OK」を選択で削除実行。
## 2. 営業活動管理機能
### 2.1 商談履歴管理
- **概要**: 各顧客に対する商談の履歴を管理する機能。
- **入力項目**:
- 商談日(カレンダー選択)
- 担当者名(プルダウン形式)
- 商談内容(テキストエリア、最大500文字)
- 商談結果(成功/失敗/保留の選択形式)
- **履歴表示**: 顧客詳細画面に商談履歴を一覧表示(最新順)。
- **エクスポート**: 商談履歴をCSV形式でダウンロード可能。
- **検索・フィルター機能**: 日付範囲、担当者、商談結果でのフィルタリング機能。
### 2.2 タスク管理
- **概要**: 営業タスクの管理機能。
- **タスクの登録**: 顧客や商談に紐づくタスクを作成。
- **入力項目**:
- タスク内容(必須、テキスト形式)
- 締切日(カレンダー選択)
- 優先度(高/中/低の選択)
- **ステータス管理**: 各タスクの状態(未完了、完了)を管理。
- **通知機能**: 締切日の1日前に自動リマインダーを表示(メールやアプリ内通知)。
### 2.3 フォローアップリマインダー
- **概要**: 次回フォローアップが必要な顧客に対して自動でリマインドする機能。
- **設定項目**:
- フォローアップ日(カレンダー選択)
- リマインド方法(メール、アプリ通知、カレンダー同期)
- **自動通知**: 設定したフォローアップ日の前日にリマインドを自動送信。
以下、略
出力された内容は、過不足がないか確認が必要ではあるものの、一から人の手で実行するよりも短時間で作成できることがわかりました。
ステップ4:非機能要件の定義
非機能要件で定義する要素は、システムのパフォーマンス、セキュリティ、可用性、保守性など、システム全体の品質や操作性に影響を与えるものです。
こちらもChatGPTを活用すれば、短時間でたたき台が作成可能です。
パフォーマンス要件や、可用性要件などの視点で要件を定義し、文書化してくれます。
「顧客管理システムの非機能要件を出力してください」と指示すると、下記の内容が出力されました。
顧客管理システム(CRM)の非機能要件を以下に詳細に記述します。非機能要件は、システムが性能、セキュリティ、可用性、拡張性などの観点からどのように動作するべきかを定義する重要な要素です。
---
# 顧客管理システム(CRM)非機能要件
## 1. パフォーマンス要件
### 1.1 応答時間
- **要件**: システムの全機能において、操作に対する応答時間は最大2秒以内とする。
- **検索機能**: 顧客検索機能での結果表示時間は3秒以内。
- **レポート生成**: 大量データのレポート生成は10秒以内で完了。
- **並行処理**: 同時に50ユーザーが操作しても性能低下を起こさないこと。
### 1.2 データベース処理速度
- **要件**: 500万件以上の顧客データに対応可能なデータベース処理能力を有すること。
- **インデックス最適化**: 頻繁に使用されるクエリに対してデータベースインデックスを最適化し、検索速度を向上させる。
- **キャッシュ機能**: レポートや検索結果をキャッシュして、再利用時のレスポンスを短縮。
### 1.3 拡張性
- **要件**: ユーザー数や顧客データが増加した場合でも、システムがスムーズに拡張可能であること。
- **スケールアウト**: 必要に応じてサーバーを追加し、処理能力を分散することができるアーキテクチャを採用。
- **スケールアップ**: 単一サーバーでの負荷が高まった場合でも、CPUやメモリの拡張が容易に行える
以下、略
人の手では見逃しがちな項目も、かなり網羅的に出力されました。
ChatGPTの活用により、人間の経験や知識の限界を上回る包括的な非機能要件の定義が可能となるでしょう。
ステップ5:効率的なレビューと修正
出力された内容をChatGPTでレビューを行えば、効率的に改善点が見つかり修正できます。
たとえば、出力された非機能要件について、クラウドベースでの使用が想定されるようになったとします。
「クラウドベースの顧客システムを想定した場合、この非機能要件で問題ないかレビューしてください」と指示をした結果、下記の内容が出力されました。
クラウドベースの顧客管理システムを前提にした場合、記載されている非機能要件は基本的には問題ないですが、クラウド特有の要件や最適化が考慮されているかを確認し、いくつかのポイントを補足・修正します。
### 1. パフォーマンス要件
- **スケールアウト**と**スケールアップ**の要件は、クラウド環境でのスケーラビリティに適しています。クラウドでは動的なリソース割り当てが可能なため、**自動スケーリング**(リソースの自動追加・削減)をさらに具体的に記述すると良いです。特に需要が急増した場合に自動でサーバーやストレージを拡張できるように設定しておくことで、コストの最適化と高い可用性を両立できます。
### 2. セキュリティ要件
クラウド環境でのセキュリティは特に重要であり、以下の点を追加することを検討すべきです:
- **クラウドプロバイダーのセキュリティ機能の活用**: AWS、Azure、Google Cloudなどが提供する**セキュリティツール**や**アクセス制御(IAM)**の適切な利用を記載。たとえば、**AWS Shield** や **Azure Security Center** を利用することでDDoS攻撃対策やセキュリティ監視が向上します。
- **データのバックアップとリカバリ**: クラウドベースでは、バックアップを**複数のリージョンに分散**させることが容易です。地理的な障害や災害に備え、異なるリージョンでのデータ保管を設定しておくべきです。また、クラウドストレージサービスの**スナップショット機能**を活用することで、定期的な自動バックアップや迅速なリカバリが可能になります。
- **クラウド特有のログ管理**: クラウド環境では、システム全体の監視を行うために**クラウドログ管理ツール**を活用します。AWSの場合は**CloudTrail**や**CloudWatch**、Azureでは**Azure Monitor**などがあり、これらを通じて操作ログやリソースの使用状況を追跡できます。
### 3. 可用性・信頼性要件
- クラウドでは冗長性や高可用性が標準機能として提供されていますが、より具体的に以下のポイントを記載することを推奨します:
- **自動フェイルオーバー**の仕組み:クラウド環境では、自動でフェイルオーバーが実行されることが多いため、**マルチAZ(アベイラビリティゾーン)構成**や**リージョン跨ぎのフェイルオーバー**の利用を前提とします。これにより、1つのデータセンターがダウンしてもシステムは継続して稼働します。
- **可用性SLAの確認**:利用するクラウドプロバイダーのSLA(Service Level Agreement)に基づいて、システムの稼働率を99.9%や99.99%に設定できるか確認する必要があります。
### 4. 運用・保守要件
クラウド環境における運用・保守要件について、次の要素を検討します:
- **運用コスト最適化**: クラウドは利用量に応じた料金体系が一般的です。運用中にリソースが過剰になっていないか、**モニタリングツールを活用**してリソースの最適化を定期的に行うべきです。
- **更新とパッチ管理**: クラウドプロバイダーが提供する**自動パッチ適用**機能を利用し、セキュリティパッチやアップデートが迅速に適用されるようにします。
### 5. ユーザビリティ要件
クラウド対応を前提とした**マルチデバイス対応**や**レスポンシブデザイン**は適切です。また、次の点を追加検討します:
- **オフライン対応**: クラウドアプリケーションが一時的にオフラインでも利用できるように、ローカルでのキャッシュや一部機能のオフライン対応を追加してもよいでしょう。
### 6. 法的・コンプライアンス要件
クラウド環境では、法的要件がリージョンごとに異なるため、次の点を考慮することが必要です:
- **データの所在に関する要件**: クラウドプロバイダーのデータセンターがどこに位置しているか(物理的なデータ保存場所)を確認し、特定の国や地域でデータを保存する必要がある場合は**データのリージョン指定**ができるようにします。
- **コンプライアンス監査**: クラウドプロバイダーが提供するコンプライアンス認証(ISO、SOC 2、GDPR準拠など)を確認し、システム全体で法的な準拠性を担保します。
---
### 改善提案まとめ
1. **スケーリング要件**の詳細化(自動スケーリングやクラウドリソース最適化)。
2. **クラウドセキュリティツール**の活用(IAM、セキュリティ監視、クラウドログ管理)。
3. **データの冗長化**と異なるリージョンでのバックアップ戦略。
4. **フェイルオーバー対応**の具体化(マルチAZ、リージョン跨ぎ)。
5. **クラウドの運用コスト最適化**と自動パッチ管理。
6. **コンプライアンス**および**法的要件**へのリージョン対応。
これらを考慮すれば、クラウドベースのシステムに適した非機能要件を満たすことができるでしょう。
プロンプトを実行するだけで、レビューや修正が行われるため、効率的に仕様書が作成できるようになります。
仕様書の主要セクション別ChatGPTプロンプト例
ここからは仕様書のChatGPTプロンプト例を、以下の3つの主要セクションごとに紹介します。
- 要件定義セクションのプロンプト
- 機能要件セクションのプロンプト
- 非機能要件セクションのプロンプト
このプロンプトをベースに実行すれば、貴社でも一定の品質の仕様書が作成できるでしょう。
効率的に仕様書を作成したい人は、最後までご覧ください。
要件定義セクションのプロンプト
要件定義のセクションは、システムに求められている条件や性能、制約条件などを明確にするプロセスです。
下記に顧客システムを想定した要件定義用のプロンプトを示します。
```
#命令
- 顧客管理システム(CRM)に求められる条件、性能、制約条件を明確にするための要件定義を作成する。
#入力
- 企業の業種および規模(例:中規模のB2Bサービス業、小売業、スタートアップなど)
- 既存の顧客管理方法(例:Excel、既存のCRMシステム、手動管理など)
- 管理する顧客データの種類(例:顧客基本情報、購買履歴、契約内容、サポート履歴など)
- CRMシステムを導入する主な目的(例:営業プロセスの効率化、顧客満足度向上、マーケティングの最適化など)
- 法令遵守要件(例:GDPRや個人情報保護法の対応)
- 運用コストや予算の上限
#制約条件
- 小規模チームでも運用可能なシステムであること
- クラウド型またはオンプレミス型の選択肢があること
- 特定の業界や用途に最適化されている場合、その業界特有の要求に対応できること
- システムのユーザーインターフェースが直感的であること
#出力形式
- 箇条書き形式での要件リスト
```
機能要件と、非機能要件は別途作成するため、それらを除いたプロンプトです。
機能要件セクションのプロンプト
機能要件セクションでは、クライアントの要望をもとにシステムに必要な機能を記述します。
クライアントの要望についてヒアリングした内容を踏まえて、プロンプトを作成しましょう。
```
#命令
- 顧客管理システム(CRM)に求められる機能要件を明確にするためのプロンプトを作成する。
#入力
- 企業の業種および規模(例:中小企業、小売業、大規模製造業など)
- CRMシステムを導入する主な目的(例:営業活動の効率化、マーケティングの自動化、顧客サポート強化など)
- 管理する顧客データの種類(例:顧客基本情報、取引履歴、契約情報、問い合わせ履歴など)
- 既存の業務プロセス(例:営業チームの業務フロー、マーケティングキャンペーン、顧客サポートプロセス)
- 必須機能の優先順位(例:1. 顧客データベース、2. 営業支援機能、3. レポート機能など)
- 自動化の要件(例:メール送信の自動化、タスクのリマインド機能、リードの自動割り振り)
- インテグレーションの必要性(例:他のシステムとのAPI連携、メールプラットフォームとの統合、カレンダーの同期など)
- アクセス権限の管理方法(例:部門ごとのアクセス制限、役職ごとの権限設定)
#制約条件
- 操作が直感的でユーザー教育の負担が少ないこと
- カスタマイズ性が高いこと(企業の特定の業務フローに合わせられる)
- モバイルアクセスに対応していること
- データのバックアップおよびリストア機能があること
#出力形式
- 機能要件の一覧を箇条書き形式で出力する
```
こちらのプロンプトをベースに、貴社に適した内容に変更して使用してださい。
非機能要件セクションのプロンプト
非機能要件は、IPAが定めている非機能要件のリストを元にして作成します。
リストアップした内容をもとに、今回のシステムで必要かどうかを洗い出しましょう。
実際のプロンプト例は下記のとおりです。
```
#命令
- IPAが定める非機能要件に沿って、顧客管理システム(CRM)の非機能要件を明確にするためのプロンプトを作成する。
#入力
- システムの利用規模とユーザー数(例:小規模で同時利用10名、中規模で100名など)
- システムの稼働環境(例:クラウド型、オンプレミス型、ハイブリッド型)
- 想定するアクセス頻度やトラフィック量(例:ピーク時のトランザクション数やリクエスト数)
- セキュリティ要件(例:データ暗号化、アクセスログの監視、認証システムの強化)
- 既存システムとの連携要件(例:ERPや会計システムとの統合)
- サポートするデバイス(例:PC、モバイル、タブレット)
- システムの運用・保守体制(例:社内運用、外部ベンダーによる保守)
- パフォーマンス要件(例:応答時間、スループット、同時接続数の上限)
- 障害対応の要件(例:システムダウン時の復旧時間、障害検知の仕組み)
- 法令や規制に関する要件(例:個人情報保護法、GDPR対応)
#制約条件
- IPAが定める非機能要件(性能・信頼性・可用性・保守性・移行性・運用性・セキュリティ・互換性・環境条件)を網羅すること
- システムの規模や特性に応じて、各非機能要件の優先度を設定すること
- 実際の運用における具体的な数値目標を設定すること(例:99.9%の可用性、応答時間500ms以内など)
#出力形式
- 非機能要件をカテゴリ別(例:可用性、保守性、セキュリティなど)に分類した箇条書き形式で出力する
```
プロジェクトの特性や組織の標準に合わせてプロンプトをカスタマイズし、より適切な出力を得ることが重要です。
ChatGPTで生成した仕様書の品質確保法
ChatGPTを使用して仕様書を生成した場合でも、その品質を確保することは極めて重要です。
品質を確保するには、以下の2つの視点を意識するといいでしょう。
- 10項目チェックリストの活用
- 人間によるレビューのポイント
ChatGPTだけで完璧なものはできません。これらの品質確保法を用いて、仕様書の品質を担保しましょう。
高品質な仕様書を完成させたい人は、最後までご覧ください。
10項目チェックリストの活用
ChatGPTで生成した仕様書の品質を確保するためには、チェックリストを活用するといいでしょう。
下記の10項目に関して、問題がないか確認します。
上記の10項目に加えて、項目を追加しても構いません。チェックリストをうまく活用して、より品質の高い仕様書を作成しましょう。
人間によるレビューのポイント
ChatGPTで生成した仕様書は、人間によるレビューが不可欠です。レビューを行う場合には、いくつかのポイントに気をつけなければなりません。
要件が正しく反映されているか、一貫性と整合性がとれているか、技術的な実現可能性などを評価します。
実際にサービスを構築するにあたり、不可能な内容や齟齬がないか実現性を含めてレビューを行います。
最後に、レビュー結果やフィードバックが反映されているかの確認を忘れてはいけません。最終的な納品の責任は人間にあるので注意が必要です。
人間の専門知識と経験を活かし、ChatGPTの出力を補完しましょう。
ChatGPT活用時の3つの注意点と対策
ChatGPTを仕様書作成に活用する際には、いくつかの重要な注意点があります。ここでは、以下の3つの注意点とその対策について詳しく説明します。
- データセキュリティとプライバシー
- ChatGPT生成内容の限界
- チーム内でのAI活用の合意形成
仕様書作成にChatGPTを活用する前に、上記の内容を知っておくといいでしょう。
データセキュリティとプライバシー
仕様書作成に限らず、ChatGPTを活用する場合、データセキュリティとプライバシーに注意しなければなりません。
個人プランのChatGPTを使用していると、プロンプトで入力された内容が、学習に使われていまいます。
社内の機密事項や、個人情報に関わる内容をプロンプトで入力してしまうと、ChatGPTによって再利用されてしまう可能性があります。
対策としては、法人プランを利用するか、ガイドラインを作成してプライバシーや機密情報に関わる情報は使用しないよう徹底しましょう。
万が一情報漏えいが起きてしまえば、信用問題に発展してしまいます。そのためデータセキュリティとプライバシーは厳格に運用されなければなりません。
ChatGPT生成内容の限界
ChatGPTが生成する内容は、正確性や最新性が担保されておらず、そのまま使用するには限界もあります。
専門知識や組織特有の情報が欠如していたり、創造的な解決策や革新的なアイデアの生成に限界があるからです。
とくにニッチなサービスやシステムを構築する場合、正しくない情報を出力してしまう場合があります。
また、事実に基づかない情報を生成する「ハルシネーション」と呼ばれる現象にも注意が必要です。
対策としては、プロンプトで制約をかけて、正しく出力されるように工夫したり、人間が最終チェックを行うようにしたりするといいでしょう。
ChatGPTが生成する内容を、あくまでもアイデア生成の出発点として使用し、人間の手でさらに発展させることが重要です。
チーム内でのAI活用の合意形成
実際に仕様書作成にChatGPTを活用する際には、チーム内での合意形成が不可欠です。
合意形成が取られていなければ、新たな手法に対して反発するメンバーも現れるかもしれません。
また、使用方法やルールが徹底されていなければ、品質にばらつきの生じてしまうおそれがあります。
まずはメンバーに対して、AI活用のメリットを共有するといいでしょう。メリットがあると納得すれば、メンバーも協力的になるはずです。
そのうえで、ChatGPTの法人プランを利用しましょう。チームで使用することを前提とした機能が揃っているため、同じルールで使用しやすくなります。
チーム内での合意形成が確立すれば、ChatGPTのメリットを最大化できるでしょう。
業界別ChatGPT活用事例
ここからは業界別ChatGPT活用事例を紹介します。今回紹介する内容は下記の3つです。
- IT業界での成功例
- 製造業における活用方法
- 金融サービスでの導入効果
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
IT業界での成功例
生成AIは、ITサービスの一種と考えられるだけに、IT業界ではいち早くChatGPTが活用され、さまざまな成功例が生み出されています。
具体的には、開発プロセスの効率化からサポート業務の改善まで、さまざまな場面で重要な役割を担っています。
代表的な場面といえば、プログラム開発の分野です。ChatGPTによって生成されたコードが実際に使用され、プログラマーの業務効率向上に貢献しています。
また、API仕様書やユーザーマニュアルの草案作成など、時間のかかる文書作成作業もChatGPTが効果を発揮する場面のひとつです。
このように、ChatGPTはIT業界のさまざまな領域で生産性向上や業務効率化に大きく貢献しています。
製造業における活用方法
製造業においても、ChatGPTをはじめとする生成AIの活用が進んでいます。
活用範囲は、製品開発と設計や生産計画と在庫管理、品質管理などさまざまです。
具体的には、製品開発のアイデア創出や設計プロセスの効率化に活用されたり、販売実績や市場動向を分析し、より精度の高い需要予測や在庫管理の最適化に利用されたりしています。
ほかにも製品マニュアルの多言語化や、設計変更が与える影響分析といった場面で、ChatGPTは役立っています。
このように、製造業においても生成AIの活用は広がっており、今後も多くの場面で活用されていくでしょう。
金融サービスでの導入効果
ChatGPTは、金融サービス業界では、業務効率化や顧客サービスの向上に活用されています。
たとえば、顧客サポートや金融アドバイスなどの場面で、業務効率化の役に立っています。
顧客サポートとしては、24時間365日稼働可能な顧客対応ツールが代表例です。いつでもChatGPTが対応可能であるため、顧客満足度向上に役立っています。
資産形成や保険に関する相談、投資信託の分析や選択支援など、顧客の金融に関するさまざまな疑問や相談に対しても、ChatGPTはアドバイス可能です。
このように金融サービスでは、顧客サービスの向上から内部業務の効率化まで、ChatGPTが幅広く活用されています。
仕様書作成だけでなくプログラミングでも使えるChatGPT
ここまで仕様書作成に関して解説してきましたが、ChatGPTで作成できるのは仕様書だけではありません。
すでにIT業界でも活用されているように、プログラミングでもChatGPTは活用可能です。
実際にChatGPTに対して記述して欲しい内容を指示すれば、プログラミングコードを生成してくれます。しかも、JavaやPythonなど、さまざまなプログラミング言語に対応可能です。
ChatGPTを用いたプログラミングレベルは、中級者レベルであるとの報告もあります。
ChatGPTでプログラミングの効率をあげたいのであれば、以下の記事で詳細をまとめているので、そちらをご覧ください。
ChatGPTが変える仕様書作成の未来
ChatGPTを活用すれば、システムやITサービスを開発する際に、重要な仕様書を効率よく作成できることがわかりました。
注意すべき点はあるものの、すべてを人間で実施するよりもかなりの時間短縮ができるでしょう。
さまざまな業界で生成AIの活用が広まるなか、同業他社との競争に負けないためにも、生成AIを業務に活用することは不可欠です。
しかも、生成AIは何も仕様書作成だけを効率化するわけではありません。ほかにもさまざまな業務で活用可能です。
尚、弊社SHIFT AIでは、生成AIを業務に活用する方法を集めた自社オリジナルコンテンツを無料でプレゼントしています。
ChatGPTをカスタマイズして使用する方法をまとめた「GPTs130選」や、効率的に資料を作成する方法をまとめた「生成AI x 資料作成時短術」など、さまざまなコンテンツを用意しています。
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