画像生成AIのメリット・デメリット徹底解説!導入前の3つのリスク対策
クライアントからの制作依頼が増えて嬉しいものの、クオリティと納期の両立に頭を悩ませていませんか?
イメージ通りの素材を探すだけでも多くの時間がかかってしまい、制作の効率化が課題になっているのではないでしょうか。
そのような悩みを解決する手段として、画像生成AIの活用が注目されています。
適切に活用すれば、アイデアの具体化から素材作成まで、制作プロセスの大幅な効率化が可能です。
本記事は、個人クリエイターの視点から画像生成AIのメリット・デメリットを徹底解説します。
適切な活用方法を理解することで、リスクを避けながら制作フローを効率化できるようになります。
クリエイターとしてのキャリアをさらに発展させるためのヒントとして、ぜひ最後までお読みください。
監修者
SHIFT AI代表 木内翔大
(株)SHIFT AI 代表取締役 / GMO他複数社AI顧問 / 生成AI活用普及協会理事 / Microsoft Copilot+ PCのCMに出演 / 国内最大級AI活用コミュニティ(会員9,000人超)を運営。
『日本をAI先進国に』実現の為に活動中。Xアカウントのフォロワー数は9.7万人超え(2024年12月現在)
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目次
なぜ個人クリエイターが画像生成AIの導入を検討するのか
個人クリエイターを取り巻く環境は、大きく変化しています。
クライアントからの要望は多様化し、より短納期でのクオリティの高い制作物が求められるようになってきました。
従来の制作フローでは、以下のような課題に直面することが増えています。
- 素材探しや制作に時間がかかり、短納期案件への対応が難しい
- クライアントの要望に応じた修正を重ねるうちに、工数が予算を超過してしまう
- アイデアを具体的なビジュアルとして提案する際、ラフ案の作成にも多くの時間を要する
- 限られた予算内で、クオリティの高い素材を用意することが困難
さらに、競合との差別化のために新しい表現手法も求められる中、従来の制作手法だけでは対応が追いつかなくなってきています。
こうした状況を打開する手段として、画像生成AIの導入が注目されています。
適切に活用することで、素材制作の効率化やアイデアの素早い可視化が可能になり、より柔軟な制作フローを実現できます。
画像生成AIの4つのメリット
画像生成AIの導入によって、個人クリエイターが得られるメリットは多岐にわたります。
具体的には、以下の4つが主な効果として挙げられます。
- 画像生成AIで制作時間を大幅短縮
- コスト削減効果
- 画像生成AIによるアイデアの具体化
- 24時間365日の制作対応
これらのメリットを活用することで、より効率的な制作フローを実現し、多くのクライアントニーズに応えられるようになります。
では、それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
画像生成AIで制作時間を大幅短縮
画像生成AIを活用することで、素材作成にかかる時間を大幅に短縮できます。
テキストプロンプトを入力するだけで、数秒から数十秒で画像が生成され、バリエーション展開も容易に行えます。
従来の制作フローでは、1つの画像素材を作成するのに、素材探しから編集まで数時間かかることもありました。
しかし、画像生成AIを使えば、プロンプトの入力から画像生成まで数分で完了します。
以下のような流れで、質の高い画像のバリエーションを素早く生成できます。
最初の画像を生成
Midjourneyでゴールデンレトリバーの画像を生成します。
入力プロンプト:A golden retriever standing in a lush green meadow, morning sunlight, professional photography, soft bokeh, 8k quality, realistic detail
違うバリエーションの画像を生成
同様の雰囲気のまま、芝犬に変更します。
バリエーション用プロンプト:A shiba inu standing in a lush green meadow, morning sunlight, professional photography, soft bokeh, 8k quality, realistic detail
1単語を変更するだけで、同じ雰囲気・クオリティを保ちながら、異なるバリエーションの画像を数秒で生成できます。
従来のように1からの制作は必要ありません。
このように制作時間を大幅に削減し、バリエーション展開も容易になることで、より本質的なクリエイティブワークに時間を使えるようになります。
クライアントの要望に対しても、素早く複数の選択肢を提示できるため、スムーズなコミュニケーションが可能になります。
コスト削減効果
画像生成AIを活用することで、制作にかかる素材コストを大幅に削減できます。
ストックフォトの購入費用や外注費が不要になり、月額固定の利用料金だけで必要な画像を生成できます。
制作コストの比較を見てみましょう。
多くの画像生成AIは月額固定料金か、1枚あたり数円程度で利用できます。
これにより、プロジェクトごとの素材コストを大幅に抑えられ、とくに複数の制作案を提示する必要がある場合に効果を発揮します。
このように制作コストを抑えることで、より多くのプロジェクトに挑戦でき、ビジネスの幅を広げることが可能になります。
クライアントに対しても、予算に合わせた柔軟な提案ができるようになります。
画像生成AIによるアイデアの具体化
画像生成AIを使うことで、頭の中のアイデアをすぐに視覚化でき、クライアントとのコミュニケーションが円滑になります。
プロンプトを工夫することで、さまざまなバリエーションの画像を生成でき、イメージの方向性を素早く確認できます。
従来のフローと画像生成AIを活用したフローを比較してみましょう。
このように、アイデアの具体化が迅速になることで、クライアントとの認識合わせが早期に完了し、本制作への移行がスムーズになります。
また、複数の方向性を同時に検討できるため、クリエイティブの可能性も広がります。
24時間365日の制作対応
画像生成AIは時間帯を問わず利用でき、急な依頼や締切前の修正にも即座に対応できます。
サービスがクラウドベースで提供されており、インターネット環境があればいつでも利用可能です。
人の手を介さないため、夜間や休日でも制作作業を止める必要がありません。
たとえば、以下のような状況でも柔軟に対応できます。
- 夜間に緊急の修正依頼が入った場合 → プロンプトの修正だけで即座に新しいバージョンを生成
- 翌日朝一の会議前に資料の画像が必要になった場合 → 早朝からでも必要な画像を生成して間に合わせられる
- 週末のプレゼン準備で画像素材が不足した場合 → 休日でも必要な画像を即座に用意できる
このように、時間に縛られない柔軟な制作環境を実現できることで、クライアントの急な要望にも対応が可能になり、ビジネスチャンスを逃さない体制を整えられます。
また、自身の生活リズムに合わせた制作スケジュールを組むことで、ワークライフバランスの改善にもつながります。
画像生成AIの3つのデメリット
画像生成AIは、導入時に注意すべき重要な課題があります。
とくに個人クリエイターが活用する場合、以下の3点について理解を深めておく必要があります:
- 画像生成AIの著作権リスク
- 品質の安定性の課題
- 受注単価への影響
これらのデメリットを知らないまま導入すると、法的トラブルや品質トラブル、ビジネス上の問題に発展するリスクがあります。
クリエイターとして適切な対策を講じるため、それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
画像生成AIの著作権リスク
画像生成AIを利用する際、最も注意が必要なのが著作権に関するリスクです。
AIが学習に使用したデータの権利関係や、生成された画像の権利帰属が不明確なためです。
具体的に、以下のようなリスクに注意が必要です。
リスクの種類 | 具体例 | 対策方法 |
---|---|---|
著作物の模倣 | ・特定のアーティストの画風を模倣 ・有名作品の構図やデザインの流用 | ・プロンプトで特定の作風を指定しない ・オリジナルの表現を心がける |
商標・ロゴ | ・企業ロゴの類似デザイン ・商標登録されている要素の使用 | ・ロゴ生成は避ける ・商用利用時は権利確認を徹底 |
キャラクター | ・既存キャラクターの特徴を含む画像 ・著名人の肖像に類似した画像 | ・キャラクター生成は控える ・オリジナルデザインに留める |
一方で、以下のような使用方法であれば、比較的安全に活用できます。
安全な使用例
- 風景写真やテクスチャの生成
- 一般的な商品画像の作成
- 抽象的なイメージの生成
著作権リスクを理解し適切に対策することで、トラブルを避けながら画像生成AIを活用できます。
とくに商用利用の場合は、各AIサービスの利用規約をよく確認し、必要に応じて法務専門家に相談することをお勧めします。
著作権について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
関連記事:商用利用可能な画像生成AI一覧!著作権違反しないためのポイントも解説
品質の安定性の課題
画像生成AIでは、常に意図した通りの品質や表現を得られるとは限りません。
AIの生成プロセスには確率的な要素が含まれており、同じプロンプトでも毎回異なる結果が生成されるためです。
実務でとくに注意が必要な品質の課題は以下の3点です。
- 手や指の崩れ
- 人物画像を生成する際、とくに手指の表現が不自然になりがちです
- 指の本数が合わなかったり、関節の曲がり方が不自然になったりするケースが多発します。
- テキストの誤生成
- ロゴや文字を含む画像を生成すると、判読不能な文字列や意図しない文字の組み合わせが生成されることがあります。とくにブランド関連の制作物では要注意です。
- 位置関係の矛盾
- 複数のオブジェクトを配置する際、物理的に不自然な重なりや、影の向きが矛盾するなどの問題が発生することがあります。
これらの課題に対しては、以下のような対策が効果的です。
- 重要な制作物は複数回の生成を試み、最適な結果を選択する
- 手や文字など、苦手な要素は極力避けるか、別途加工することを想定する
- クライアントには事前に品質の変動があり得ることを説明しておく
このように品質の課題を把握しておくことで、クライアントへの適切な説明と、手直しが必要な場合の工数設定が可能になります。
また、案件の性質に応じて、画像生成AIの使用可否を適切に判断できるようになります。
受注単価への影響
画像生成AIの普及により、クリエイティブ制作の価値基準が変化していく可能性があります。
AIツールの活用で制作効率が向上することで、従来の工数ベースの料金設定が見直されていく傾向にあります。
具体的に、以下のような変化が予想されます。
価格設定への影響
- 制作時間の短縮により、時間単価での見積もりが難しくなる
- 複数のバリエーション提供が容易になり、1案あたりの単価が下がりやすい
- クライアントのAIツールへの認知が進み、従来の料金相場が見直される
対応すべき方向性
- 制作時間ではなく、提供価値に基づく料金体系への移行
- AIツールの活用による高品質・短納期を強みとした価格設定
- コンサルティングやディレクション業務の比重を高める
これらの変化に対応するため、以下のような取り組みが重要になってきます。
- 付加価値の明確化
- AI活用のメリットをクライアントに明確に説明
- 技術力とクリエイティブ性を組み合わせた独自の強みを構築
- 新しい料金モデルの検討
- 成果報酬型の料金設定
- 月額定額制でのクリエイティブサポート
- パッケージ料金の設定
このように、市場の変化を見据えて自身の価値提供の方法を見直すことで、AI時代においても持続可能なビジネスモデルを構築できます。
むしろ、AIツールを効果的に活用することで、より多くのクライアントに質の高いクリエイティブを提供できる可能性が広がります。
安全な活用のためのリスク対策
画像生成AIを業務に採り入れる際は、適切なリスク対策が不可欠です。
とくに個人クリエイターが注意すべきポイントとして、以下の3点が重要になります。
- 画像生成AIツールの選び方
- 画像生成AIの安全な活用シーン
- クライアントへの説明ポイント
これらの対策を知らないまま利用を続けると、予期せぬトラブルに発展する可能性があります。
スムーズな導入と安全な活用のため、それぞれの対策について具体的に解説していきます。
画像生成AIツールの選び方
画像生成AIを安全に活用するためには、利用目的に適したツールを選択することが重要です。
各ツールには利用規約や機能面で違いがあり、商用利用の可否や生成される画像の特徴が異なるためです。
主要な画像生成AIツールの特徴は以下の通りです。
ツール名 | 特徴 | 用途 | 商用利用 |
---|---|---|---|
DALL-E 3 | ・複雑な指示に対応 ・写実的な画像を生成 | ・マーケティング素材 ・広告用ビジュアル ・コンテンツ制作 | 可能(利用規約に準拠) |
Midjourney | ・芸術的で豊かな色彩表現 ・独特の世界観を表現 | ・アート作品 ・イメージビジュアル ・装飾的なデザイン | 有料プラン加入で可能 |
Adobe Firefly | ・Adobe製品との高い親和性 ・商用利用に特化 | ・デザイン制作全般 ・Photoshopでの編集前提 ・Web用画像 | Creative Cloud会員は可能 |
※2024年11月時点の情報です。各サービスの利用規約は随時更新されるため、最新の条件を確認することを推奨します。
選択の際は、以下のポイントを考慮することをお勧めします。
- 予算に合わせた選択
- 月額固定か従量課金か
- 商用利用時の追加料金の有無
- 制作物の用途による選択
- クライアントワーク向けか
- 個人制作・練習用か
- 既存ツールとの連携
- 普段使用している編集ソフトとの相性
- ワークフローへの組み込みやすさ
用途や予算に合わせて最適なツールを選べば、効率的な制作フローを構築できます。
また、複数のツールを使い分けることで、それぞれの特徴を活かした柔軟な制作が可能になります。
各画像生成AIサービスの詳細については、以下の記事をご参照ください。
画像生成AIでイラスト作成!おすすめ8選や選び方、コツを解説
「イラストを作成するのにおすすめの画像生成AIはどれ?」と気になっていませんか。自分に合った画像生成AIを選べないままでは、AIの恩恵を受けられず、業務効率が下がってしまうでしょう。本記事では、おすすめの8つの画像生成AIや選び方、コツ、活用事例を解説します。
画像生成AIの安全な活用シーン
画像生成AIは、用途によって活用リスクが大きく異なります。
商標や肖像権、著作権などの権利関係が複雑に関わってくるため、活用シーンを適切に選択する必要があります。
リスクレベル別の活用シーンは以下の通りです。
ローリスク(安全に活用できる)
- ブログのアイキャッチ画像 → オリジナリティの高い表現が可能で、権利関係も単純
- プレゼン資料の背景素材 → 社内利用が主で、権利関係の影響が小さい
- イメージ案の作成 → 最終成果物ではないため、柔軟な活用が可能
要注意(事前確認必要)
- 企業サイトのビジュアル → 商用利用の規約確認と権利関係の精査が必要
- SNSの投稿画像 → プラットフォームごとのガイドライン確認が必要
- 広告素材 → 競合製品との類似性や権利侵害に注意
ハイリスク(避けるべき)
- 企業ロゴやブランドマーク → 権利関係が複雑で、独自性の担保が困難
- 商品パッケージ → 法的規制や品質保証の観点で問題の可能性
- 有名人や著名作品の模倣 → 権利侵害のリスクが極めて高い
これらの区分を理解し、適切な活用シーンを選ぶことで、トラブルを未然に防ぎながら画像生成AIを効果的に活用できます。
とくにクライアントワークでは、リスクレベルに応じて従来の制作手法と使い分けることが重要です。
クライアントへの説明ポイント
画像生成AIの活用には、事前にクライアントの理解と合意を得ることが重要です。
AIの特性や制限事項を理解していないクライアントとのトラブルを防ぐためです。
以下の5つのポイントを、必ず事前に説明しましょう。
1. 制作手法の明確化
- 画像生成AIを使用する範囲や工程を具体的に説明
- 従来の制作手法と組み合わせる場合はその内容も明示
- AIならではのメリット(バリエーション提示、短納期対応)を提示
2. 品質に関する説明
- 画像の品質にばらつきが生じる可能性
- 修正が必要な場合の対応方針
- 完全な再現性が保証できない特性
3. 権利関係の確認
- 生成画像の権利帰属
- 使用範囲や期間の制限
- 二次利用に関する取り決め
4. 料金体系の説明
- AI活用による制作時間短縮の反映方法
- 修正対応の範囲と追加料金の有無
- バリエーション提供に関する料金設定
5. スケジュール管理
- 制作進行の具体的なタイムライン
- フィードバックや修正のタイミング
- 最終納品までの想定工程
これらの内容は、必ず見積書や提案書に明記しましょう。
事前に丁寧な説明を行うことで、スムーズなプロジェクト進行が可能になり、クライアントとの信頼関係も構築できます。
画像生成AIのメリット・デメリットを踏まえた導入判断
画像生成AIは、制作時間の大幅な短縮やコスト削減といったメリットがある一方で、著作権リスクや品質の安定性といったデメリットもあることがわかりました。
これらを正しく理解し、適切な対策を講じることで、個人クリエイターも安全に活用できます。
まずは自分の制作フローの中で、リスクの低い業務から画像生成AIの活用を始めてみましょう。
たとえば、クライアントへの提案時のラフ案作成や、ブログのアイキャッチ画像作成から試してみることをおすすめします。
しかし、画像生成AIの導入に際しては、実践的な活用例やプロンプトの書き方など、具体的なノウハウが必要です。
効果的な活用方法や、トラブルを避けるためのポイントを押さえることで、よりスムーズな導入が可能になります。
そこで、最新の活用事例とノウハウをまとめた無料ガイドをご用意しました。ぜひダウンロードして画像生成AIをビジネスでご活用ください。
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記事を書いた人
野口啓介
WEBライター、SNSマーケター、クリエイティブ
クリエイティブと業務効率化において様々なAIツールをフル活用し、成果を出している
- SHIFT AIではメディア記事執筆を担当
- Instagramを中心としたSNSマーケティング
- AIクリエイティブ – AIを駆使した映像制作
- ・Midjourney、Runway、Suno
- 業務効率化 – AIを活用したアプリ作成
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- 実績・成果
- ・GPTsコンテンスト2位受賞
- ・AI活用で月間作業30時間短縮
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