2024年9月17日、Microsoft Copilotがアップデートされ、SNSやネット上で注目を集めています。
今回のアップデートでは、ExcelやPowerPointなどOfficeアプリ上のCopilot連携が強化され、できるタスクの幅が大幅に広がります。また、専門知識なしで自社に特化したAIチャットボットを作成できる「Copilot agents」も追加されたことにより、より企業が使いやすい生成AIサービスになりました。
本記事では、Copilotの新機能「Copilot Pages」の導入や、Excel・PowerPointなどOfficeアプリにおける機能強化、さらにはCopilot agentsまで、最新のアップデート情報を詳しく解説します。
この記事を読むことで、Copilotの最新機能を理解し、自社の業務にどのように活用できるかを具体的にイメージできるようになるでしょう。
|監修者
(株)SHIFT AI 代表取締役 / GMO他複数社AI顧問 / 生成AI活用普及協会理事 / Microsoft Copilot+ PCのCMに出演 / 国内最大級AI活用コミュニティ(会員5,000人超)を運営。
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【新機能】Copilot Pagesでリアルタイムで共同作業が可能に
今回の目玉アップデートは、新機能「Copilot Pages」の導入です。
Copilot Pagesの導入により、チームメンバー間のリアルタイムでの共同作業が可能になるため、資料作成やブレインストーミングなどを効率的に行えます。
たとえば、Copilot Pagesを使用して、Copilotが生成したコンテンツを編集、追加、共有できます。チームメンバーはリアルタイムでお互いの作業を確認しながら、Copilotと対話してコンテンツを改善できるでしょう。
また、Copilot Pagesでは社内データを取得し、それをもとに資料を作成することも可能です。
Copilot Pagesでは、Copilotとの対話を行いつつ社内データを参照したり、社内メンバーとアイデアを交換したりできるため、資料作成や意思決定がスピーディになります。
なお、Copilot Pagesの一般提供を2024年9月末に開始すると発表されています。提供開始までの期間を利用して、企業は自社の業務プロセスとCopilot Pagesの統合方法を検討するとよいでしょう。
まずはCopilotで何ができるのか知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
MicrosoftのOfficeアプリの機能も強化
Pagesだけでなく、Officeアプリも強化されています。今回は、主に以下3つのアプリがアップデートされました。
- Excel:データ分析の進化
- PowerPoint:プレゼン作成の革新
- Outlook:受信トレイ管理の効率化
どのアプリも業務で頻繁に活用するものであるため、しっかり確認しておきましょう。
※WordやOneDriveなどのアプリにも微細なアップデートが入りますが、今回は割愛します
Excel:データ分析の進化
今回Excelでアップデートされたのは、以下のポイントです。
- Pythonにより高度な分析タスクの実行が可能
- 数値データだけでなくテキストデータも処理可能
- 表形式でフォーマットされていないデータも処理可能
- XLOOKUP、SUMIF、PivotTable、条件付き書式設定などの高度なExcel機能をCopilotが支援
今回のアップデートで、ExcelでCopilotを使用した際にPython※を使えるようになり、データ分析の精度が大きく向上します。
※世界中で使われているプログラミング言語
従来のCopilotは、簡単な分析タスクしか行えませんでしたが、Pythonによって高度な分析タスクも実行できます。また、ユーザーはプログラミング言語を書くことなく、日本語や英語だけでPythonを使える点も魅力です。
※Pythonの機能はパブリックプレビュー段階であるため、一般ユーザーはまだ利用できません(利用開始時期未定)。
さらに、表形式でフォーマットされていないデータでも処理できるようになりました。従来では、データはテーブル形式でなければ分析できないため不便でしたが、今回のアップデートにより、Excel上でCopilotを使いやすくなります。また、XLOOKUP、SUMIFなどの高度な関数やPivotTable、条件付き書式設定など、Excelの強力な機能をCopilotが支援します。
今回のアップデートによって、Excel上でのCopilotがさらに使いやすくなりました。今後、Excel上でCopilotを使うことが当たり前になることが予想されます。
CopilotをExcelで使う方法については、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:【誰でもできる】ExcelをCopilotで効率化!活用例や注意点を解説
PowerPoint:プレゼン作成が一瞬で
PowerPointで新たに導入されるNarrative builder(ナラティブビルダー)は、ユーザーとCopilotが協力してプレゼン資料を作成する機能です。
Narrative builderは、ユーザーのプロンプトをもとにスライドのアウトラインを作成し、トピックごとに編集や改良が可能です。以下では、新商品のみかんジュースのスライドを作成するためのプロンプトを入力している様子です。
このプロンプトで、以下のプレゼン資料を1分程度で作成できました。
従来のCopilotでは、PowerPointでの資料作成は10枚程度が限界で、細かい指示も困難でした。しかし、Narrative builderを使うことで、Copilotの力を最大限に発揮できるようになっています。
さらに、企業が承認した画像を取り込む機能も今後追加される予定です。この機能により、プレゼンテーションの企業のブランドイメージを保ちつつ、資料を作成できます。
Outlook:受信トレイ管理の効率化
Microsoft OutlookにおけるCopilotの新機能「Prioritize my inbox」は、受信トレイの管理を効率化し、ユーザーの生産性を向上させます。この機能は、メールの内容だけでなく、ユーザーの役割や過去のメール内容など、さまざまな情報を考慮して受信トレイを分析します。
たとえば、以下のように、優先度をCopilotが自動で分析し、メールボックスを整理します。
またCopilotは、各メールの簡潔な要約を自動生成し、優先順位を付けた理由と重要なポイントを提示します。将来的には、ユーザーが重要と考える特定のトピック、キーワード、人物をCopilotに教えることで、より個人向けに優先順位付けが可能になる予定です。
大量のメールを処理する必要がある管理職や営業職にとって、この機能は業務効率の向上に貢献するでしょう。なお、Prioritize my inboxは2024年後半にパブリックプレビューを開始する予定で、一般公開はさらに先になることが予想されます。
OutlookでCopilotを活用したい方は、以下の記事もご確認ください。
関連記事:【完全網羅】OutlookでCopilot活用!できることやプロンプトを紹介
Copilot agentsが使えるように
今回のアップデートでは、CopilotでAIチャットボットを作成できる「Copilot agents」がリリースされました。
具体的に何ができるのか、本章で確認してみましょう。
自社に特化したAIチャットボットを作成できる
Copilot agents(コパイロットエージェンツ)では、新たに導入されるagent builderを使用することで、技術的な専門知識がなくてもAIチャットボットを作成できます。ChatGPTを利用している方は、GPTsをイメージするとわかりやすいでしょう。
agent builderは、Copilot Studioというプラットフォームを基盤としています。Copilot Studioでは、他社のシステムと連携するagentの作成や、既存のagentの編集も可能です。
また、社内資料を事前に与えることで、自社に精通したチャットボットを作成できます。
たとえば、自社の顧客リストや取引データを事前に与えることで、「企業Aとの取引情報は?」という質問に回答できるチャットボットを作成できます。
もちろん、作成されたagentはチーム内で共有し、利用できるため、組織全体で業務効率化が可能です。
Copilot agentsは、2024年9月19日以降の数週間にわたり、一般公開をする予定です。
Visual creator agentで画像・動画・デザインも可能に
Copilot agentsの中でもとくに注目される機能の一つが、Visual creator agent(ビジュアルクエイエイターエージェント)です。この機能により、ユーザーはAIを使って画像、デザイン、近い将来には動画も生成できるようになります。
Visual creator agentを使用することで、マーケティング資料の作成、プレゼンテーションのビジュアル強化、ソーシャルメディア向けのコンテンツ生成など、さまざまなタスクを迅速に実行できます。
動画生成機能の追加は、コンテンツ作成の可能性をさらに広げます。製品デモンストレーション、教育コンテンツ、マーケティングビデオなどの用途で活用が期待されます。
Visual creator agentの導入により、企業は内部のクリエイティブタスクを効率化でき、外部委託のコストを削減できる可能性があります。
GPT-4oによってパフォーマンスが向上
Copilotの最新アップデートでは、従来まで使われていたGPT-4 TurboがGPT-4oになることで、Copilotの応答速度が倍速になり、回答精度が改善されています。
GPT-4oは、ChatGPT開発元のOpenAIの最新モデルです。現存しているAIモデルの中でもトップクラスの性能であるため、Copilotがより使いやすくなるでしょう。
GPT-4oにより、ライティング・プログラミング・数学的タスクなど、多くの業務の生産性が高まることが期待されます。
Copilotは今後もアップデートされる予定
Copilotには、OpenAI o1モデルを含む新しいモデルや、新機能が追加される予定です。o1モデルは高度な推論能力をもつOpenAIのAIであり、Copilotへ実装されることにより、複雑なタスクに対応できるようになると期待されています。
また、Microsoftは約1,000の顧客から、Copilotの使用状況や導入効果が高い職種、改善が必要な点についてフィードバックを得ていると報告しています。
これらのフィードバックをもとに、Microsoftは今年だけで700以上の製品アップデートを行い、150以上の新機能をリリースしました。Copilotは今後も、さらに身近な生成AIサービスに進化するでしょう。
進化したCopilotでOfiice業務を効率化!
最後に、今回のアップデート内容を振り返ってみましょう。
アップデート内容 | 詳細内容 |
---|---|
Copilot Pagesの導入 | リアルタイムでの共同作業が可能 |
Excelの強化 | Pythonを使用した高度なデータ分析が可能 |
PowerPointの新機能 | Narrative builderでプレゼン作成が簡単に |
Outlookの新機能 | Prioritize my inboxで受信トレイ管理を効率化 |
Copilot agentsの導入 | 自社に特化したAIチャットボットの作成が可能 |
Visual creator agent | 画像・デザイン・動画の生成が可能 |
GPT-4oの採用 | 応答速度の向上と回答精度の改善 |
普段からCopilotを使っていた方だけでなく、「Copilotはできることが少ない」と思っていた方にとっても、今回のアップデートは有益です。
ぜひ、新しくなったCopilotを使ってみて、AIの力を実感してみてください。
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