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ひとり親家庭と地域の“学びの格差”に向き合う、「おうちAIラボ」

生成AIが急速に広がる中、その学びの機会を十分に得られていない層がいます。

その一例が、時間と経済的な余裕が限られがちな「ひとり親家庭」です。

SHIFT AIは、一般社団法人ハートフルファミリーと連携し、ひとり親家庭を対象とした生成AI講座「おうちAIラボ」を立ち上げました。

オンライン講座を中心に、「AIに触れるきっかけ」から「副業への一歩」までをトータルで支援する取り組みとして、CSR活動の一環で推進しています。

ひとり親家庭の「機会格差」をAIで埋めたいおうちAIラボが生まれた背景には、ひとり親家庭が直面する「学びの機会格差」を解消したいという強い思いがあります。

ひとり親家庭では、仕事・家事・育児を一人で担う中で、新しいスキルを学ぶための時間確保が難しく、結果としてキャリア形成につながる学習機会が後回しになりがちです。

プロジェクト担当の仲山知里さん自身もシングルファミリー。ご自身の経験も踏まえ、こう話します。 

「学ぶ時間が取りにくい方こそ、AIを使うことで“時間”と“選択肢”を手にしてほしいです」 

同じ立場だからこそ分かる悩みや迷いを、一人で抱え込まずに済むように。おうちAIラボは、同じ境遇の人たちが安心して集い、互いに背中を押し合いながら挑戦できる場所としても設計されています。

SHIFT AIが掲げる「学習機会へのアクセスを広く届ける」という理念と、この課題意識が重なり、プロジェクトとして形になりました。

仲山 知里さん

肩書き:オンライン秘書

管理本部系のバックオフィス実務を基盤に、2025年4月にフリーランスのオンライン秘書として独立。生成AIとノーコードで業務設計・効率化を支援。 海外やディレクション案件にも携わり、どんな環境でもチームが動ける体制を整え、 現場と経営をつなぐ柔軟な設計力が強み。 SHIFT AIでは秘書チームを担当し、地方リアルイベントやCSR活動にも従事。

生活の時短からマネタイズまで学ぶ、全8回のオンライン講座

2025年度のシーズン1では、7月から9月にかけて全8回のオンライン講座を実施し、約60名が参加しました。

プログラムは、「生活の時短」「親子でAI体験」「副業・マネタイズ」の3つを柱に構成されています。

前半は、日常で役立つAI活用方法を中心に学びました。

家事や書類作成など、日々の負荷を軽減できるAIの使い方を実践形式で体験し、「時間の余裕を生み出す」ことを目的としました。また、画像生成を用いた親子向けのワークなど、家庭で楽しめるコンテンツも取り入れました。

後半では、副業や収入につながるチャレンジを。

具体的には、LINEスタンプ制作や画像販売、応募文作成など、具体的なアウトプットの作成に取り組みました。ただ使うだけでなく、「仕事につながる活用」まで伴走する点が特徴です。

さらに9月には、熊本でリアルイベントも開催。

PCを持っていない家庭も想定し、スマホ1つで完結するAI体験にこだわった構成とし、音声対話型AIを用いた実践が特に好評でした。オンライン参加が難しい家庭にも門戸を開く取り組みとなりました。

参加者の声

講座終了後のアンケートでは、多くのポジティブな声が寄せられました。

  • 「AIを使うハードルが下がりました」
  • 「家事や仕事の時間短縮につながり、余裕が生まれました」
  • 「副業への挑戦が現実的になりました」

難しい実際にLINEスタンプ販売に挑戦した参加者もおり、「自分でもできる」という感覚をつかんだ参加者の変化が見られました。

仲山さんは、この参加者の変化を特に嬉しく感じていると言います。

 「最初はみんな、不安で半信半疑なんです。でも、実際にやってみて『私でもできた』と確信に変わる瞬間を見るのが、一番嬉しいですね」

イベントや講座を終えて、仲山さんはこの活動の真の目的について力強く語ります。

「まずは『AIって生活の一部になりえるものなんだ』と、体でつかんでもらうことが第一歩だと思います。AIを『遠い技術』ではなく、『生活の一部になりえるもの』として感じてもらうこと、これこそが、この取り組みの大きな目的だと考えています」

AIリテラシーが未来の格差を防ぐ

おうちAIラボが目指すものは、単なるスキル習得ではありません。CSRとして、次の2点を重要な価値として位置づけています。

① 時間と心の余裕を生み、生活の質を高める
AIによる時短は、単なる効率化ではなく、「子どもと向き合う時間」「休む時間」など、家庭の余白を取り戻すことにつながります。

② 保護者のAIリテラシー向上が、子どもの機会格差を防ぐ
AIを知らない保護者ほど、「危なそうだから使わないで」と言いがちです。しかし、その結果、子どもが未来の可能性を広げる機会まで失ってしまう危険があります。

「使わない」のではなく、「どう安全に、どう活用するか」を伝えられる大人を増やす──それがSHIFT AIの願いです。

今後の展望

現在、SHIFT AIではシーズン2の準備を進めています。

次期講座では、より明確にマネタイズをゴールとして設定し、プロフィール作成やオンラインで仕事を得るプロセスをより実践的に学べるカリキュラムへと進化させる予定です。

さらに、子ども向けの「SHIFT AIジュニア」との連携を強化し、親子双方に学びの機会を広げる取り組みを推進します。

将来的には、成果を出した参加者が次の参加者のロールモデルとなり、学びの循環が生まれるコミュニティを目指しています。

おわりに

最後に、本プロジェクトについて仲山さんからメッセージをいただきました。 

「AIは未来を切り開く強力な味方です。分からない・できないを、『やってみたい・挑戦したい』に変えるきっかけとして活用していただけたら嬉しいです」 

SHIFT AIは今後も、ハートフルファミリーをはじめとするパートナーとともに、ひとり親家庭と地域の“学びの格差”に向き合い、AIという新しい選択肢を届けてまいります。

執筆者

中田順子