ChatGPTを使ってPDFを要約しようと思ってるんだけど、どのツールがおすすめなのかわからないし、事例やプロンプトも知っておきたい
「ChatGPT」は、質問に対して的確にアンサーを返してくれたり、雑多なファイルをまとめてくれたりと、その便利さから日常使いしている方も、これから使ってみたいという方も非常に多い生成AIです。
そんなChatGPTですが、PDFを要約してまとめることもできてしまいます。
この記事では、「ChatGPT」を使ってPDFを要約する方法やその際の注意点、実際の事例やプロンプトを詳しくご紹介していきます。ChatGPTを活用し、PDFを要約できるようになることで、生産性が飛躍的に向上できるようになれば幸いです。

なにかと便利なChatGPTですが、PDFを要約してまとめてくれる機能は非常に便利です。日ごろからたくさんの資料を読む方にとっては革命的なソリューションとも言えます。ChatGPTを活用してPDFを一瞬で要約することで、個人やチームの生産性向上に活かしていきましょう。
ChatGPTを使ってPDFを要約する3つのメリット
ChatGPTによるPDF要約は、情報過多の現代において、時短や効率の観点から大きなメリットを提供します。具体的には、以下の3つのメリットが挙げられます。
- 大量の情報を短時間で消化可能
- 要点把握に役立つ
- 効率的な情報収集・分析が可能
では、それぞれ解説していきます。
1.大量の情報を短時間で消化可能
ChatGPTを用いてPDFを要約することで、多くの情報が詰まった長文の文書を短時間で理解することが可能になります。特に、ビジネスや研究などで必要とされる大量の専門的な情報資料を効率的に読み解くことができるのは大きなメリットです。
これは、ChatGPTが先端の自然言語処理技術を基に設計されており、文章の意味を理解し、それを短い要約へと変換する能力を有しているためです。PDFの内容を全て人間が読むのには膨大な時間がかかる場合でも、ChatGPTによる自動要約を利用することで、その時間を大幅に短縮することができます。
その結果、時間が限られた中での情報収集や、あるいは一つのトピックについて深く理解するための資料調査など、さまざまな場面での作業効率を向上させることが可能となります。これは、特にビジネスパーソンや研究者、あるいは学生など、日々多くの情報を処理しなければならない方々にとって、大きなメリットと言えるでしょう。
2.要点把握に役立つ
ChatGPTを利用したPDFの要約は、特に長文の文書で要点を把握する際に大いに役立ちます。数十ページにも及ぶ大量のテキスト情報から主要なポイントを抽出するのは人間にとっては時間と労力がかかる作業ですが、AIの力を活用することでこの作業が効率化されます。
例えば、ChatGPTを活用したPDF要約では以下のようなプロセスが考えられます。
- PDFをChatGPTに読み込ませる
- AIがテキスト全体を分析して重要箇所を特定
- その結果を元にした要約文を出力
このプロセスを通じて、PDFの中身を一読せずともその要点を把握することができます。これにより報告書のレビューや学術論文の読解など、情報を迅速に理解する必要がある場面で大いに役立ちます。
3.効率的な情報収集・分析が可能
ChatGPTによるPDF要約のメリットとして、効率的な情報収集・分析が挙げられます。
従来、大量のPDF文書を読み解くためには時間と手間がかかりましたが、ChatGPTを利用することで、その負担が大幅に減ります。一つのPDFから主要な情報だけを抽出し、その要約を作成することが可能です。※実際の例は後の章でご紹介します。
ChatGPTによるPDFファイルの要約方法
コピペしたテキストを要約してくれたり、図を整理してくれたり、翻訳してくれたりと、非常に便利なChatGPT。
この章では、どのようにChatGPTを活用するとPDFを要約できるのか解説していきます。
ChatGPTの標準機能にはPDF要約機能はなし
OpenAIによって開発されたChatGPTは、人間と同様の会話体験を提供するAIベースのテキスト生成ツールです。しかし、基本的なChatGPTの機能としては、PDFファイルを直接要約する機能は含まれていません。
ChatGPTの主な使用法:
- 自然言語処理
- 複雑な問いへの回答
- テキスト生成
これは、ChatGPTが主に人間との対話を模倣するよう設計されているためであり、特定のドキュメントの要約作業はその主要な機能範囲外になります。しかし、月額20ドル(約2,600円)の有料プランである「ChatGPT Plus」では、追加のプラグインをインストールすることでPDF要約機能を追加できるため、詳細な情報が必要な場合はその方向へ進むのが良いでしょう。
PDFを要約可能な有料ユーザー向けプラグイン3選


ChatGPTでPDFを読み込み、ファイルを要約させるのには、有料プランである「ChatGPT Plus」に登録して専用のプラグインを活用することで可能になります。
この章では、ChatGPTでPDFを要約するのに使える以下3つのプラグインについて解説していきます。
- AskYourPDF
- Ai PDF
- Code interpreter
AskYourPDF
AskYourPDFは、PDFドキュメントから情報を抽出するための強力なプラグインで、URLまたはドキュメントIDを提供するだけで、PDFをダウンロードし、ユーザーの質問に対する答えを見つけたり、特定の詳細を取得したりします。エラーが発生した場合でも、手動でドキュメントをアップロードすることで問題を解決できます。
Ai PDF
ChatGPTのAi PDFは、PDF文書の解析と要約作成、特定情報の抽出に用いられるプラグインです。
Ai PDFの主要な機能は以下の通りです。
- 要約機能: PDF文書全体を要約します。
- 検索機能: 特定のキーワードやフレーズに関連する情報をPDFから抽出します。
Code interpreter
Code interpreterは、Pythonが扱えなくとも多くの機能を利用することができるツールです。PDFファイルを読み込むことはできないですが、PDFファイルをWordに変換してChatGPTに要約してもらったり、内容を抽出してもらうことも可能です。
実際にCode interpreterを使ってPDFをWordに変換して要約してみましたが、正直精度はイマイチです。
英語の資料を要約してみたところ、以下の画像のように英語のままで、資料の冒頭のみ日本語でちょろっと要約するだけでした。


再度、日本語訳してもっと詳細に要約するように指示しました。


日本語訳はできたものの、要約に使用したPDFの資料が画像で構成されている割合が多かったのもあり、Code interpreterはうまく読み取れなかったようです。
ChatGPT公式プラグイン「AskYourPDF」を活用したPDFの要約方法
編集部では、ChatGPTでPDF要約するプラグインの中で「AskYourPDF」をおすすめしています。
PDF要約機能のあるChatGPT公式プラグインの中でも、AskYourPDFは最も親しまれているプラグインです。この章では、AskYourPDFをインストールして使えるようになるまでの流れをステップごとに解説していきます。
STEP1:ChatGPTの有料プラン「ChatGPTPlus」に登録
まず初めに、ChatGPTの有料プラン「ChatGPTPlus」に登録することが必要です。このプランは、月額20ドル(約2,200円)で利用可能となっており、様々な高度な機能を追加することができます。
具体的な登録手順は以下の通りです。
ChatGPTのウェブサイトにアクセスします。その後、「Try ChatGPT」のボタンをクリックします。


ログイン画面が表示されるため、既にアカウントを持っている場合は入力し、「Sign In」をクリックします。アカウントを持っていない場合は、「Create Account」をクリックして新規登録します。


ログインが完了したら、画面上部に「ChatGPTPlus」という表示が出るのでそちらをクリックします。
その後、プランの詳細が表示されるので、確認した上で下記画面にある「Upgrade to Plus」をクリックしてください。


その後、案内にしたがって決済情報を入力すると、ChatGPTの有料プラン「ChatGPTPlus」への登録が完了します。次に進む前に、必ず料金や利用条件を確認しておきましょう。これで、AskYourPDFを活用する準備が整いました。
STEP2:AskYourPDFをインストールする
まず最初に、GPT-4を選択し、「Plugins Beta」をクリックします。


すると、「No plugins enabled」と表記のある箇所が出てくるのでそちらをクリックします。


「Plugin Store」という箇所があるのでクリックすると、「Popular」のタブで最初にでてきます。
インストールを押せば有効化完了です。


GPT-4に戻ると、以下のように有効化できているはずです。


まずは、AskYourPDFの使い方をChatGPTにきいてみました。
使ったプロンプトは以下です。
「ChatGPTのプラグイン「AskYourPDF」の使い方をステップごとに分けてわかりやすく教えてください。」
すると、以下のような回答がありました。


上記の方法は、コマンドを書いて利用する方法なので、慣れるまで難しさを感じてしまうかもしれません。
そこで、誰でもできる、コマンドを使用しない簡単な方法をChatGPTにきいてみました。
使用したプロンプトは以下です。
コマンドをわないとても簡単な使い方を、15歳の中学生でも理解できるように教えてください。実際の例文もお願いします。
すると、以下のような回答が返ってきました。


つまり、以下のようなプロンプトを打ち込めばPDFを要約してくれることがわかります。
http://〇〇.com/〇.pdf このレポートの主な結論は何ですか?
実際にAskYourPDFを使ってみました。
例として、「トヨタ自動車株式会社の有価証券報告書」を読み込んで要約してみます。


粒度が粗かったので、「特定のキーワードやセクションに関する質問」をするようにとの回答を参考に、より詳細にきいてみました。
ポイントは、「このドキ/ュメントは」と回答に記載があるので「ドキュメント」という表現を採用し、「質問をしてください」という問いに対して答える形で「なんですか?」と質問の形式のプロンプトにしていることです。
ChatGPTの回答は以下の通りです。


トヨタ自動車株式会社の事業内容について詳しく要約してくれました。
AskYourPDFはエラーがでてしまう場合もあり、その際は以下の回答が出てきます。


AskYourPDFの公式サイトから手動でファイルをアップロードし、サイトから付与されたIDのみをChatGPTのチャットに打ち込んでください。
そうすればChatGPTは動いてくれます。
ChatGPTのプラグイン「AskYourPDF」を使ったPDFの要約事例とプロンプト3選
この章では、実際に異なるタイプの資料ごとに、それぞれプロンプトを使ってChatGPTのプラグイン「AskYourPDF」でPDF資料を要約させてみます。
3つの例をご紹介していきます。
例1.漢方薬の説明資料の要約
ここでは、ツムラの葛根湯の説明資料を要約してみます。
まず、エラーが出てしまったので先述した方法でPDFファイルを手動でアップロードし、AskYourPDFに読み込ませます。
使用したプロンプトは以下の通りです。
PDFドキュメントの内容をわかりやすく要約してください。
実際にChatGPTでAskYourPDFに読み込ませたところ、以下のように要約してくれました。


項目ごとに、非常にわかりやすく要約してくれています。項目ごとに、非常にわかりやすく要約してくれています。
例2.渋谷区の人口についての資料の要約
渋谷区の人口についてのPDF資料をAskYourPDFを使って要約していきます。
使ったプロンプトは以下です。
レポート全体の内容を見出しにわけて要約してください。
ChatGPTから以下のように返答がありました。


資料全体の内容を見出しごとに分けて要約することも可能で、さらにトピックごとに深堀ることもできます。
長いPDF文書をわかりやすく要約するときには非常に役立つでしょう。
例3.英語の有価証券報告書についての資料の要約
パナソニックホールディングス株式会社の英語で記載された四半期報告書のPDFファイルを要約していきます。


日本語訳してくれている上にざっと要約してくれたので、さらに詳細にきいてみました。
使用したプロンプトはこちらです。
このドキュメントに記載のある、パナソニックホールディングス株式会社の財務状況に関してわかりやすく教えてください。


すると、より詳細に財務状況という個別のトピックに関して要約してくれました。
「海外の論文読みたいけど、英語だし長いしきつい…」
そんな方には、ChatGPTのプラグイン「AskYourPDF」は最高のパートナーになり得るでしょう。
ChatGPT以外のAIツールによるPDF要約の方法
PDFを要約できるのはChatGPTだけではありません。他にもいくつかありますが、この記事ではおすすめの以下2つのAIツールをご紹介します。
- SummarizeBot
- FineReader PDF
SummarizeBotの紹介


SummarizeBotは、PDFやウェブページの内容を自動要約するAIツールです。一般的な要約だけでなく、キーワード抽出や意味分析機能も備えています。
要約する際は、PDFファイルやウェブページのURLをボットに送信します。その後、SummarizeBotが分析を行い、文章の主要な部分を抽出して要約を生成します。
また、SummarizeBotはSNSやメッセンジャーアプリとの連携も可能で、その場で情報を要約することも可能です。
下表に、SummarizeBotの主な特徴と利用方法をまとめています。
特徴 | 詳細 |
自動要約 | PDFやウェブページの内容を短縮形で抽出 |
キーワード抽出 | 文章から主要なキーワードを抽出 |
意味分析 | 文章の意味を解析 |
SNS連携 | SNSやメッセンジャーアプリでの直接使用 |
これらの特性により、SummarizeBotはChatGPTとは異なる視点からPDF内容の要約に活用可能です。
SummarizeBot公式サイトはコチラ
AbbyyのFineReader PDFの紹介


AbbyyのFineReader PDFは、PDFファイルの要約に優れたAIツールです。このツールの強みは、その高度なOCR技術と自然言語処理技術にあります。
OCR技術により、スキャンした書類や画像上の文字を正確に読み取ることができます。さらに、自然言語処理技術を用いて、読み取った文字情報を要約することが可能です。したがって、多量のPDF文書を短時間で要約するのに適しています。
また、FineReader PDFは、PDF文書の編集や変換も可能で、要約だけでなく、これらの機能も利用できます。以下の表に主な機能をまとめました。
機能 | 説明 |
OCR技術 | スキャンした書類や画像上の文字を正確に読み取ります。 |
自然言語処理 | 読み取った文字情報を要約します。 |
PDF編集 | 文字の追加や削除、レイアウトの変更などが可能です。 |
PDF変換 | WordやExcelなど他の形式に変換します。 |
FineReader PDFを利用することで、膨大なPDF資料の分析と要約が効率的に行えます。ただし、AIによる自動要約には限界があり、必ずしも完璧な要約が得られるわけではありませんので、その点はご了承ください。
FineReader PDF公式サイトはコチラ
PDF編集ソフト「PDFelement」でもPDFの要約が可能
PDFelementは、PDFの要約に加え、PDF内のテキストを編集したり文字のフォントをリサイズできる便利な編集ソフト。
この章では、PDFelementの概要についてご紹介します。
PDFelementについて
PDFelementは、ユーザーフレンドリーなインターフェースと強力な機能を組み合わせたPDF編集ソフトです。以下にその主な機能をいくつか紹介します。
1.【テキスト編集】: PDFのテキストを直接編集でき、フォントの種類やサイズ、色も自由に変更可能です。
2.【画像編集】: PDF内の画像の追加、削除、移動、リサイズが行えます。
3.【ページ管理】: ページの追加、削除、並び替えが可能で、文書の全体的なレイアウトを管理できます。
また、PDFelementの最大の特長は「OCR機能」です。これにより、スキャンした文書や画像データをテキスト情報に変換し、それらを編集や要約に役立てることができます。ただし、この機能はプロ版でのみ利用可能です。
これらの特性から、PDFelementはPDFを要約する際の強力なツールと言えます。
PDFelement公式サイトはコチラ
ChatGPTや他のAIツールでPDFを要約する際の3つの注意点
ChatGPTや他のAIツールでPDFを要約する際には、以下3つの点を注意することがポイントです。
- 情報の取捨選択の精度
- 複雑な文書の補完
- 保護されたPDFファイルや画像データの取り扱い
それぞれ解説していきます。
情報の取捨選択の精度
まず、最も重視すべきポイントが「情報の取捨選択の精度」です。全ての情報を等しく扱うのではなく、それぞれの情報の重要性を適切に評価し、必要な情報だけを選択して要約する能力が求められます。
例えば、以下のような表を見てみましょう。
表1:情報の重要性
内容 | 重要性 |
基本的な事実 | 高 |
主要な意見 | 高 |
サポート情報 | 中 |
補足情報 | 低 |
このように、基本的な事実や主要な意見は高い重要性を持つ一方で、補足情報は低い重要性を持つと判断されます。AIツールではこのような重要性の評価が自動的に行われ、それに基づいて情報の取捨選択が行われます。
ただし、この取捨選択の精度はAIツールの性能や設定によるため、十分な精度が得られない場合もあります。そのため、結果を信頼する前に必ず確認するようにしましょう。
複雑な文書の補完
ChatGPTや他のAIツールを利用してPDFを要約する際、複雑な文書に対する補完が必要となる場合があります。特に、専門的なジャンルの資料や技術的な文書については、その内容を十分に理解し、適切な要約を生成するために専門知識が求められることが多いです。
一例として、以下の表に示すように、原文とAIによる要約、そしてその補完例を比較することで、その差異を明確に理解できます。
原文 | AIによる要約 | 補完例 |
“本研究では新たな酵素の機能について発見し、それが特定の疾患の治療に役立つ可能性があることを提唱している。” | “新酵素の機能発見、疾患治療への可能性” | “新たに発見された酵素の機能が、特定の疾患の治療法開発に寄与する可能性があると研究で明らかにされました。この発見は、新たな治療法の道筋を示す重要な一歩と言えます。” |
このように、AIの要約結果を人間が補完することで、より詳細かつ具体的な文脈が付け加えられ、理解度が向上します。これは、複雑な文書を要約する際の重要なポイントとなります。
保護されたPDFファイルや画像データの取り扱い
AIツール、特にChatGPTを使ってPDFを要約する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。その一つが、保護されたPDFファイルや画像データの取り扱いです。
保護されたPDFファイルについては、著作権やセキュリティの観点から、その内容をAIツールで読み取るための制限がかけられている場合が多くあります。そのため、AIツールを使用する前に、必ずPDFファイルの保護設定を確認し、その内容を読み取ることが許可されているかどうかを確認してください。
また、画像データについても注意が必要です。一部のAIツールでは、画像内のテキスト情報を読み取るOCR(Optical Character Recognition)機能が装備されているものもありますが、その精度は完全ではない場合が多く、誤解釈や読み取り漏れが発生する可能性があります。そのため、画像データのテキスト情報も要約に含める場合は、その精度を確認した上でご利用ください。
まとめ
この記事では、ChatGPTでPDFを要約することのメリットのほか、実際にChatGPTのプラグインを活用してPDFを要約する方法を、実例とプロンプトも解説する形でご紹介しました。
ChatGPTのプラグイン(特にAskYourPDF)を使えば、各種資料が一瞬で要約できるだけでなく、見出しと箇条書きに整理できたり、知りたいトピックをメインに要約してくれたりと、生産性がグンと上がります。
この記事を参考に、ぜひ様々なツールを活用してChatGPTでPDFを要約してみてください。